第2回twitter小説大賞に応募してみた。

去年の第1回は締め切りを迎えた頃についのべの世界を知るという間抜けっぷりを晒しました。 で、今年はこの中の10作を選んで応募。さてどれでしょう。当てても何も出ません。
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しーな@GO2完走 @xsheeenax

もう、あなたがいないと何も出来ない。街中で泣いてしまいそうだった。気が付けばすっかり依存しきっていてスケジュールもあの思い出も自分の電話番号も思い出せない。あなたと出会う前の私が想像出来ない。もう二度と離したりしないからずっと私の傍にいて。大事な大事な携帯電話。 #twnovel

2010-12-09 05:28:42
しーな@GO2完走 @xsheeenax

老人は六つめの人生を終えようとしていた。何度も繰り返していれば何とはなくではあるが「その時期」は判る。事故で死んだときは朝から予兆を感じたし、心臓発作や脳卒中でも少し前に感じる。今回のような病死なら余裕がある分気持ちは穏やかだ。今度こそ、ちゃんと死ねるだろうか。 #twnovel

2010-12-06 05:04:55
しーな@GO2完走 @xsheeenax

もう要らないや、と思って自分をゴミの日に出した。夜のうちに雨に降られた。寒い。朝方カラスにそっぽをむかれた。つつかれなくて良かった。爽やかな音楽を鳴らしながら業者がやってきた。「違う日にしてくれ」「生ゴミじゃないのか」「粗大ゴミか産業廃棄物だ」ち、金かかるのか。 #twnovel

2010-11-17 01:55:47
しーな@GO2完走 @xsheeenax

「おやすみ」の言葉と共にかちり、スイッチが切られる。彼の意識はそこで遮断される。……しかし、彼は見たのだ。主人とともに永遠を生きる夢を。自身と同じように外見が変わらず年老いることのない主人。主人と同じように飲み食いが出来る自分。誰にも邪魔されることのない安息地。 #twnovel

2010-11-15 17:37:04
しーな@GO2完走 @xsheeenax

「合コン?」「うん、結婚してからさっぱりだろ?たまには行こうぜ。嫁さんには仕事の付き合いって言えばわかんないって」こういうときだけ頭の回転速いのな、と呆れながらも何だかんだで参加することになった。……で。「何でうちの嫁がいるんだ」今日は同窓会って聞いてたんだが。 #twnovel

2010-11-14 19:42:03
しーな@GO2完走 @xsheeenax

煙草と香水を変えるのは浮気者の証だという話を聞いた。煙草を吸い始めてまだどれが合うのか判らず片っ端から買ってる私はどうなる。香水だってTPOがあるじゃないか。使い分けるのが楽しいんだし。そういうのも浮気ってこと?父親なんて煙草三つくらい銘柄固定してローテ……ん? #twnovel

2010-11-08 02:23:52
しーな@GO2完走 @xsheeenax

その一言で、陥落した。してしまった。「ほんとの名前、教えて?」別れ際に耳元で囁かれる。今日は単なるオフ会。特別な意味なんてなかった、のに。教える必要なんてなかった、のに。うっかり口にしてしまった名前。「知ってるの僕だけだよね?」畳み掛けられて頷いてしまうあたし。 #twnovel

2010-10-27 07:23:49
しーな@GO2完走 @xsheeenax

赤い赤い曼珠沙華は地獄の花だと教えられたが、その鮮烈さに一目で心を奪われた。しかも彼岸、死者の時期に咲く血の色をした禍花。近づいてはいけないと言われるほどその立ち姿に魅入られる。己は白い彼岸花。曼珠沙華と名乗るのもおこがましいと、真紅の帯を見つめ独りここで咲く。 #twnovel

2010-09-24 10:28:45
しーな@GO2完走 @xsheeenax

だましてごめんなさい、やめて。抵抗も虚しくわたしの着物は無残に剥ぎ取られる。自業自得だ、と声が降ってくる。海に濡れ風に晒された素肌が裂けてひりひりする。自慢の白い肌が見るかげもない。わたしの目は泣き腫らして真っ赤になっていたらしく、神様がわたしを見て二度驚いた。 #twnovel

2010-09-15 21:01:25
しーな@GO2完走 @xsheeenax

「好きな人が出来たから、合鍵返して」と言われた。悔し紛れにあいつがいない間に部屋に行ってみた。まだ新しい男の形跡はなかったが、取り込まれた洗濯物は畳んでないし、洗い物は流しに溜め込んであるし、フローリングを掃除した形跡もない。やっぱり。俺がいないと駄目なくせに。 #twnovel

2010-09-14 23:51:50
しーな@GO2完走 @xsheeenax

私の心の中にはずっと貴方が佇んでいる。病めるときも、健やかなるときも、あの笑顔のままで。今日、貴方への思いをひそやかに抱きながら花嫁を迎える。私は彼女にあたたかで幸せな家庭を作ると誓おう。恋愛と結婚は別だと教えてくれたのは、他でもない貴方だった。さあ、鐘が鳴る。 #twnovel

2010-09-11 16:55:06
しーな@GO2完走 @xsheeenax

タクトが手から滑り落ちた。私は平静を装って素手で指揮を続けたが、優秀な演奏家たちは気づいただろう。皆一瞬だけ視線で何事かと訴えながらも手は止めない。音楽に生きる者に必要なのは目でも耳でもなく、手だ。神様、どうか。これだけは奪わないでください。指先の感覚が、段々。 #twnovel

2010-09-11 16:54:11
しーな@GO2完走 @xsheeenax

老人は、地下室から月を見上げていた。このちいさな四角形だけが外界との接触口。罪を犯した訳ではない。老人は世間の喧躁を厭い、倦み疲れ 、自らこの地下室に籠ったのだった。月を暦に、日々を送る。月が窓から消えてしまうと、この上なく孤独を感じる。彼の友人は、夜に現れる。 #twnovel

2010-05-14 19:22:42
しーな@GO2完走 @xsheeenax

彼女が碁石をひとつずつつまみ上げ、明かりに透かしたりしながらうっとりと手触りを愉しんでいる。丁度いいサイズ、つるつるとした光り具合……全てが「彼女好み」であることは間違いようもなかった。私は慌てて彼女の元へ駆け寄った。孫に碁を教える前に、飲み込まれたらかなわん。 #twnovel

2010-05-14 13:11:54
しーな@GO2完走 @xsheeenax

持ち主を呪い殺す宝石ほどでもないが、俺だって「曰く付き」だ。精巧な彫りが施されている指輪。かつて俺は熱烈な愛の告白と共に贈られ、左の薬指で燦然と輝いていた。……今はこんなしけたガラスケースの中だがな。ここに来た経緯? それを語るにゃあ、圧倒的に字数が足りねえよ。 #twnovel

2010-05-08 10:23:18
しーな@GO2完走 @xsheeenax

「夜の実」は、今夜も蜜の滴りそうな黄金色をしていた。きりんは懸命に首をのばすが、食べることが出来ない。時にレモンのように、時にオレンジのように色を変え、先客がかじったような跡を見かけるときもある。他の仲間には教えていない、秘密の果実。いつか、食べられますように。 #twnovel

2010-05-01 00:21:37
しーな@GO2完走 @xsheeenax

まばゆい太陽のいろ。赤や黄色やオレンジやましてやピンクなんて似合わないと思ってた。とりどりの淡いパステルカラーなんて別世界の色彩。瑞々しい命を輝かせる緑やほんのり色づいた蕾。無垢の白すら似合わなかったわたし。けれど今、そんなものにうずもれて、わたしは、わたしは。 #twnovel

2011-01-12 22:49:24