ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

【ボクエイド】 0 ねぇ、亮ちゃん？ 『いつかお前よりでかくなったら 迎えに行くから！！』 そう言うたやん？ 『今度は俺がお前を･･･ 助けられるようになるから！！』 そう言うたやんか･･･ ねぇ、亮ちゃん ねぇ早く･･･ タスケテヨ──── #ボクエイド pic.twitter.com/WhVEcTbvgR

拡大

はち公。 @funkastic_8er

1 「う･･･」 ゆっくりと 目を覚ます 本当はまだ 夢の余韻に浸っていたいけど 「ふぁ･･･」 こぼれたアクビに手を当てつつ ちらりと視線を落とすと 「あ･･･」 そこには現実が スヤスヤと寝息をたてていた 「･･･はぁ」 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

2 喉が渇いてキッチンに向かうと 途中 昨晩脱ぎ捨てた2人分の衣服が 点々と落ちていた （･･･クズだな） そう思いながら 自分自身を鼻で笑って 冷蔵庫から取り出した水を飲んだ 「はぁ･･･」 喉を通る冷たい水が 彼を 思い出させる #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

3 「夢に出てきたの･･･久しぶりだな」 しかも 最後のお別れの時の彼 「･･･元気かな、亮ちゃん」 大きくなった彼を思い描いては 「まぁ･･･無理かw」 こんな 薄汚れてしまった自分には 彼に会う権限はない そう自分を否定して また 笑った #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

4 ────私の1日は 実に平穏で 朝起きたら仕事に行って 終わったら帰ってきて ご飯を食べて お風呂に入って眠る ･･･だけど時々そこに 【葉月ちゃん、今夜会える？】 悪魔の囁きが降りてきて 私は ダメな女に成り下がる #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

5 彼の夢を見るのは 大抵そんな夜 私を戒めるみたいに･･･彼が出てきた （そろそろ夢じゃなくて リアルに叱りに来てくれw） なんて 思うようになっていた頃 1枚の葉書が届いた それは 中学時代の同窓会開催を告げる葉書で 実家から転送されたものだった #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

6 「え」 何かの間違いかと思った でも 間違いじゃなかったようで 〈もしもし？葉月！？久しぶり！〉 中学時代の友人が 母親経由で私に連絡をくれたんだ 〈葉書届いた？同窓会の！〉 「あ、うん。 うちあれ、行ってええん？」 〈ええから出したんよw〉 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

7 〈みんなで計画しながらゆーててん！ やっぱ葉月誘おうって！ 卒業前に転校したけど やっぱジャイアン葉月おらんと おもんないなぁってwww〉 「ジャイアンwww」 懐かしいな そのあだ名w 〈せやからな、おいでよ葉月！〉 「うん･･･絶対行くwww」 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

8 ふと 聞こうとして やっぱり止める ･･･彼は、来る？ 〈あ！そや！ 錦戸も来るから！ 久々に凸凹コンビ揃うね！！〉 あ･･･ 彼に 会える･･･ 〈楽しもーね！じゃ！〉 楽しみ と 不安 ･･･私を見て彼は ガッカリしないかな #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

9 おもむろに 洗面所に行って 鏡の前に立つ シャツ1枚で 乱れた髪の私 ･･･鎖骨には、赤い跡 「私だって･･･気づいてくれるかな」 私は 彼に気づけるかな 「大きくなった？亮ちゃん･･･」 目を閉じたら 今でもニコニコ笑う彼が浮かぶ 『葉月！』 #ボクエイド pic.twitter.com/SYdTALcoDA

拡大

はち公。 @funkastic_8er

10 亮ちゃんと私は 同じ団地に住む幼なじみで 中学校の時転校するまでは なんだかんだずっと一緒にいた･･･ ────当時 背が高かった私と 背が1番低かった亮ちゃん 凸凹コンビって呼ばれたり ジャイアンとのび太って呼ばれたり まぁ、そんな関係だったw #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

11 小さいくせに 負けん気の強い亮ちゃんは すぐ他の男子とケンカをして 「ちょお！ケンカ止めや！」 止めに入るのが私の役目 『葉月･･･邪魔すな！』 「アホ！負け試合 自分から挑むバカが どこにおんねん！」 『ここや！』 「ドアホ！！！」 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

12 ブツブツ言う亮ちゃんに付いた 擦り傷の手当をしながら 私がお説教をする 「はい、完了！」 最後に貼った絆創膏を指で弾く 『いったぁ(泣)』 「やなくて。他に言う事は？」 『･･･ありがとーございます』 「よろしw」 そんな･･･懐かしい日々 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

13 ────「じゃあ行くから･･･」 仕度をして 同窓会に向かうため家を出ようとする 《あ、葉月ちゃん待って》 そしたらバタバタとやって来て 《俺今夜も動けるから 必要だったら迎えに呼んで？》 「え･･･いいよそんなのw」 何言ってんだこの人･･･ #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

14 《でも、ほら、心配･･･》 「え？」 《葉月ちゃんに･･･ 変な男が言い寄ってこないかなーとw》 それは･･･ 《って、俺にそんな事言う権利ないかw》 その通り 「気持ちだけ受け取っとくw」 《んw》 そう言って 軽くキスを交わし部屋を出る #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

15 今日だけは･･･現実を忘れたいな （亮ちゃんとの思い出に浸りたい） 浸れる保証は何も無いけど （とにかく･･･行こう） 私は 逃げ出すみたいな感覚の中 かつて自分が住んでいた街に向かう 電車に乗り込んだ──── #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

16 その街は 引っ越した実家からは 車で2時間かかるんだけど いま、ひとり暮らししてる街からは 快速電車で30分で行ける 近かったけど なかなか勇気がなくて 行けなかったその街 （緊張するなぁ･･･） 思いつつ 駅に降り立つと 〈葉月！？ねぇ！！〉 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

17 急に懐かしい声がした 「え、みっちゃん！？」 電話をくれた かつての親友だった 〈そーだよ！うわぁ！懐かしい！〉 一気に空白の時間をすっ飛ばして あの頃に戻る 〈うちも今来てん！一緒にいこ！！〉 「うん！」 一気に ホームに戻った感覚 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

18 会場に向かう間に 私が転校してからの街の様子を聞く 〈よく行った駄菓子屋な？ もうコンビニになってん！〉 〈あのカラオケは残ってるんよ！〉 それを聞くのが すごく楽しいし 何より 〈葉月、なんも違和感ないなぁw〉 それが嬉しかった #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

19 「そら良かったわw あんた誰言われたらどうしよか思てたw」 〈言わへんよ！ 葉月全然変わってへん！ あ、いい意味でやで？w〉 ･･･良かった これなら 楽しめるかな ────ガラガラッ 〈ちゃーす！〉 元気よく中に入る みっちゃんに付いて中へ #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

20 すると 〈え！ジャイアン！？〉 〈はづっちゃん！？〉 〈葉月だ！！！！〉 仲の良かったグループの面々が 私を迎えてくれた 〈ね？みんな分かるってw〉 「良かったw」 だとしたら このメンバーが揃ってるなら･･･ 〈亮！ジャイアン来たで！！〉 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

21 見覚えのある男の子が そう声を上げて彼を呼ぶ すると 『･･･葉月？』 その声が聞こえた ･･･人の輪の向こうから 現れたその人 その顔は 昔とは少し違うけど面影のある･･･ 「亮･･･ちゃん？」 『葉月！！？』 彼だった──── #ボクエイド pic.twitter.com/rYSv5o8gFe

拡大

はち公。 @funkastic_8er

22 ────〈カンパーイ！！！〉 幹事の合図で その場に集まった皆が乾杯する 人数は･･･結構なもので 4クラス分いた同級生の 半分くらいは集まってて 貸し切ったビアホールは 満員状態だった #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

23 立食だった事もあり 時間を追うごとに かつての仲良しグループが集まり出す 〈改めて、乾杯！〉 私のいるグループの中心は 昔からムードメーカーの みっちゃんだった 〈いやー、みんな変わらへんなぁw〉 卒業して10年 25歳になった私達 #ボクエイド

はち公。 @funkastic_8er

24 変わった所も勿論あるけど そこかしこに面影が残る面々 〈1番変わったのは･･･錦戸かなw〉 そう誰かが言って 視線が彼に集まる すると亮ちゃんは 少しイラッとしながら 『どーせ！俺、チビやったもんな！』 ぷんと拗ねて見せた その様子は昔のままで #ボクエイド