彼のトリセツ

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はち公。 @funkastic_8er

【彼のトリセツ×大倉忠義】 1 彼に出会った頃の印象は イケメンで スタイル良くて よく笑う人で よく食べる人で ・・・だけど その印象は半年も持たず変わって 今の印象は 私史上稀に見る 最低な男 #彼のトリセツ pic.twitter.com/lGzCtUOp5L

2016-03-10 20:13:18
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はち公。 @funkastic_8er

2 そもそも彼に出会ったのは・・・ 大学入学を機に 住むようになったアパート 初めての街での一人暮らしに 両親がセキュリティのいい 家賃高めのアパートを選んでくれた ────だけど 隣の男がどんな奴なのか そんなセキュリティチェックは されてる訳もなく #彼のトリセツ

2016-03-10 20:13:35
はち公。 @funkastic_8er

3 ────ピンポーン 『はーい?』 インターフォン越しの 彼の声にドキッとしつつ 「あの!隣に越してきた者です!」 思わず大きな声出しちゃって しばらく待った後 出てきたのが彼でした。 『初めましてー!』 「あ、初めまして! 吉田と申します!」 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:13:44
はち公。 @funkastic_8er

4 『吉田何ちゃん?』 「へ?」 『下の名前!』 「あー!茜です!」 『おっけー茜ちゃんね! 俺、大倉忠義。よろしく♡』 第一印象は かっこよくて 気さくな感じで 「よろしくお願いします!」 私は新生活が 楽しみでしょうがなかった。 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:14:01
はち公。 @funkastic_8er

5 大学が始まって 同じ大学の先輩だと知って 『あ!茜ちゃんや!』 たまに構内で会うと 手を振ってくれて 私は照れながら小さく手を振って 《あれ誰!? 超絶カッコイイんすけど!?》 って慌てる友人に 「内緒♡」 って思わせぶりに返して楽しんだり #彼のトリセツ

2016-03-10 20:14:15
はち公。 @funkastic_8er

6 ────ピンポーン 「大倉さん?!」 『茜ちゃん料理得意やんな?』 「え、あ、人並みに?」 『じゃあこれでコロッケ作って♡ 実家のオカンから めっちゃ大量の ジャガイモ送られてきてんwww』 「ええええ!?」 そんな感じで 私の家でご飯食べたり #彼のトリセツ

2016-03-10 20:14:29
はち公。 @funkastic_8er

7 だけど そんな楽しい時間は一瞬で 私はあっという間に 現実を知った ────それは夏の暑い日 「あっつ・・・」 アパートの空調が壊れて 蒸し風呂のような部屋 「無理・・・」 耐えられなくて外に出ると 夜風はそれなりに心地よくて 「ふぅ・・・」 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:14:44
はち公。 @funkastic_8er

8 ほっとしたのも束の間・・・ 《あっ・・・はぁ》 生温い風に乗って 乱れた女の声が聞こえた ・・・え? 慌ててその方向を見れば そこは・・・彼の部屋 全開になった窓から その声が聞こえて 《忠義・・・あっ・・・好き!》 『ふはっ・・・アホな女』 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:15:00
はち公。 @funkastic_8er

9 ナニコレ・・・気持ち悪 慌てて部屋に戻り 思いっきり窓を閉める 「最悪」 もう暑さなんか無視で 私はタオルケットにくるまり耳を塞ぐ 「最低」 こんなカタチで 恋が終わるとか 「もぉ・・・キライ」 汗なのか涙なのか わからない液体が頬を伝った #彼のトリセツ

2016-03-10 20:15:20
はち公。 @funkastic_8er

10 そんな風に 彼の現実を知れば 私が幻想を重ねたばかりに 見落としていた 本当の彼の姿が見えてきて ───私の隣の 大倉忠義という人は 大学でお弁当食べてる子と 家へご飯を作りに来る子が違ってて バイクの後に乗せる子と 車で迎えに来てくれる子が違う #彼のトリセツ

2016-03-10 20:15:32
はち公。 @funkastic_8er

11 つまり・・・彼女が沢山いる人 ────ある日のこと 家へご飯を作りに来る子を 見送ってる彼に出くわして 『あ!茜ちゃん』 って呑気に手を振るのを 思いっきり無視したら 『あ、待ってーや!』 他の女を見送った直後に 私を追いかけてきて #彼のトリセツ

2016-03-10 20:15:53
はち公。 @funkastic_8er

12 『茜ちゃん?なんか怒ってる?』 ヘラヘラ笑うその顔にムカついて 「今日も色んな女の子の相手 お疲れ様ですー!」 って嫌味で返した だけど 彼は怒るでも焦るでもなく 『ほんまにー。 ちょっと疲れたーwww』 って悪びれる素振りもない #彼のトリセツ

2016-03-10 20:16:13
はち公。 @funkastic_8er

13 それが余計に頭に来て 「ほんと最低! 何人女の子弄んでるんですか!?」 って思わず声を荒らげた そしたら・・・彼はくくっと笑って 『何?俺が色んな女の子と遊んでるん もしかして気になってんの? ってか、混ぜてほしい?』 逆に私を挑発してくる始末 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:16:29
はち公。 @funkastic_8er

14 「そんな訳ないでしょ!?」 堪らず手を挙げたら あっけなく掴まり 引き寄せられて 『またまたぁー。 俺がエッチしてる声聞いて 慌てて窓閉めたくせに? その日以降俺を 無視するようになったクセに?』 そう詰め寄り・・・ 段々近づく・・・その唇 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:16:44
はち公。 @funkastic_8er

15 思わずギュッと目をつぶった瞬間・・・ 『あははwww ほら!やっぱ俺の事意識してるやん? 今もキスされると思ったんやろ?』 「な・・・最低!ほんと、最悪!」 そう返すのがやっとで 今にも泣きそう 恥ずかしくて 逃げ出したくて 思い切り手を振り払う #彼のトリセツ

2016-03-10 20:16:59
はち公。 @funkastic_8er

16 そして部屋のドアに向かって 思いっきり駆け出した ────そんな私の背中に トドメの言葉が放たれる 『茜ちゃーん? 俺はいつでも大歓迎やで?』 その言葉に 立ちどまった私もバカだった 『茜ちゃんは俺にとって どんな女の子になってくれる?』 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:17:18
はち公。 @funkastic_8er

17 『ご飯作ってくれる子。 弁当作ってくれる子。 遊んでくれる子。 貢いでくれる子。 それは間に合ってるから・・・ 他にどんな女の子になってくれる?』 ────ほんと最低 こんな男・・・見たことない 「強いて言うなら・・・ 無関係な女にして!!!」 #彼のトリセツ

2016-03-10 20:17:46
はち公。 @funkastic_8er

18 なんとか言い返して 部屋に飛び込んだ 「最低!!」 ────そう呟きつつ 何より腹が立ったのは 一瞬・・・考えた自分 彼の《女》になる為 私が出来る事は何?って 「・・・バカ」 私も・・・最低 #彼のトリセツ pic.twitter.com/TFjT9DjLf4

2016-03-10 20:18:04
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はち公。 @funkastic_8er

19 それからしばらくは 出来るだけ出くわさないように 朝は早めに家を出たし 帰ってくるのは バイト終わりの深夜未明 帰っても何も考えなくて済むように すぐ眠った 眠れない夜は 静まり返った深夜に 余計な音を聞かないよう ヘッドホンで音楽を聴いて耐えた #彼のトリセツ

2016-03-12 14:16:49
はち公。 @funkastic_8er

20 そんなある日のこと 「うぅ・・・38.3℃」 一人暮らしをして初めて 風邪でダウンした。 なんとか病院を探して行って それだけで精一杯で 「お腹空いた・・・」 って呟いても 何も出てこない環境で 「お母さんー」 って泣きそうになった夜の事 #彼のトリセツ

2016-03-12 14:17:04
はち公。 @funkastic_8er

21 雨が降り出して 雷も鳴り出して 「怖っ・・・」 心細さ極まりない私に さらに追い討ち ────ズドーン 大きな音をたてて 「え!?」 迎えたのは停電 「・・・ウソ」 ────真っ暗な部屋 何も見えなくて 「うっ・・・うぇ・・・」 #彼のトリセツ

2016-03-12 14:17:24
はち公。 @funkastic_8er

22 もう我慢出来なくて 「うわぁぁん!」 声を上げて泣いた 一人が怖いし 暗闇が怖いし お腹も空いたし 熱も下がらないし 「助けて・・・」 ・・・と、そこに ────ドンドン!!! 「ふぇ?!」 ビクッとしつつ 『茜ちゃん!?大丈夫か!?』 #彼のトリセツ

2016-03-12 14:17:43
はち公。 @funkastic_8er

23 その声に惹かれて フラフラとドアに向かう 「大倉しゃ・・・」 その顔を見た途端 なんか安心しちゃって 『なんか泣いてた? って・・・おい!』 そのまま崩れる様に 彼にもたれていく 『茜ちゃ・・・ってか、熱っ!』 彼の大きな手が 額に当てられ #彼のトリセツ

2016-03-12 14:18:02
はち公。 @funkastic_8er

24 あー・・・ひんやり気持ちいい なんて思ってる間に 私は意識を失って 『あー!もぉ!!!』 彼が私を抱き上げ ベッドに運んでくれた時 『早よ頼れや・・・アホ』 そう呟いたのを 聞くことが出来なかった #彼のトリセツ pic.twitter.com/hpFZWpYJyD

2016-03-12 14:18:27
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はち公。 @funkastic_8er

25 「ん・・・」 目を覚ますと まだ部屋は真っ暗で 「んー・・・」 寝返りをうつと 何かにぶつかった 「へ?」 『痛っう・・・』 「え!?」 『あーもぉ、いきなり大きい声 出さんといてぇ?』 「あ、ごめんなさ・・・」 って謝ってる場合か!? #彼のトリセツ

2016-03-12 14:19:16
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