亜里沙のことが大好きな雪穂 短編(6)「つなげたい想い」
- yukiho_0_arisa
- 1019
- 3
- 0
- 0
今にして思えば、μ’sはスクールアイドルの力をすでに端的で完璧な言葉に閉じ込めている。私たちは、あらためてその言葉を紐解いて、未来につなげよう。 『みんなで叶える物語』 μ’sへの感謝と、スクールアイドルの未来に向けて歌おう。
2017-03-22 19:56:06「まだ、過去のものにはしたくない」 希さんはそう言った。 μ’sが活躍した時間は過去のものになっていくけど、きっとμ’sの思いの上にスクールアイドルの世界は広がっていく。この思いは、残り続けるんだ。 その気持ちを――素直な言葉で、歌った。
2017-03-22 19:56:14歌い終わったあと、みんなでいっぱい拍手をしてくれた――くれる、前に、お姉ちゃんがすぐに飛び込んで抱きついてきた。 「雪穂~~~っ! ありがとーー!! もー……大好きっ! 雪穂がスクールアイドルやってくれてよかったー!」 ぎゅうっと強く抱きしめられる。目にはうっすらと涙も見えた。
2017-03-24 20:13:35「う……雪穂ー! 生まれてきてくれてありがとー!」 「いや、さすがに大げさだよ」 「雪穂が私のことこんなにわかってくれるなんて……ほんとに、嬉しいんだよ……」 「あのー、お義姉さん、私もいますよー」 亜里沙が苦笑いしながら、自分を指差しながら言う。 …… いや。誰がお義姉さんか。
2017-03-24 20:13:53「うん、うん、亜里沙ちゃんも、ありがと……! 私は幸せだよっ」 「ありがとうございますっ」 亜里沙はそう言いながら、なぜか私の腕にしがみついた。 いや。お姉ちゃんに対抗してる場合じゃなくてね? ……嬉しいけど。嬉しいけど。可愛いなこいつ。
2017-03-24 20:14:01「二人で考えてくれたの? この歌」 ことりちゃんも、嬉しそうに笑顔で言う。 「はい。μ'sの思いを私たちなりに解釈して」 「穂乃果ちゃんが乗り移ったみたいだったよ」 「μ'sのことを隣で見てきたみたいな臨場感ある展開だったわね。穂乃果から聞いたのかしら」 今度は、真姫さんの問い。
2017-03-24 20:14:49「いえ……実は、希さんからみなさんの話を、いろいろ伺いました。希さんにも、この歌のことは話してないんですけど」 「あー、希ね」 「なるほど、細かい感情まで再現できるわけだね」 「希ちゃんなら間違いないもんね」 私の言葉に、みんな「納得」という反応だった。……希さん、信頼感すごい?
2017-03-24 20:15:10「この歌で予選出るの? 出るんだよね?」 「うん。そのつもり」 「そっかー! みんなにまた私たちの思いが伝わるといいな」 「じゃあ、それまでにしっかり完成度を上げておかないとね」 真姫さんが、当然のことのように言った。まあ、そうだよね、と思う。 「やっぱり、イマイチですか?」
2017-03-25 21:30:55「二人だけで作ったにしては、とてもよくできてるわ。びっくりするくらい、成長してる」 「そうですよ。私も感動しました」 「曲も作って、歌詞も作って、ダンスも自分たちで考えたんだよね! すごいにゃ! 凛には無理だよー」 真姫さん、海未ちゃん、凛ちゃん。それぞれの言葉で褒めてくれる。
2017-03-25 21:31:37「でも、進行に不自然なところがあるし、直したほうがいいわね。もうちょっと気持ちよくできると思うの」 「歌詞も、まっすぐで伝わりやすいですが、もう少し気持ちよくリズムに乗せるようにしたほうがすっと耳に入ってくると思いますよ」 「やっぱりまだまだ敵いませんね……」
2017-03-25 21:31:45「本当はそろそろ私たちだけの力でどこまでやれるか、試してみたかったんですけど」 精神的にも、技術的にも、そろそろμ'sを卒業するタイミングだと思って。全力でやった……んだけど。 「ええ。見せてもらったわ。ありがとう。感動しているのは、本当よ」 真姫さんは優しい声で言ってくれた。
2017-03-25 21:31:51「だから、私も力になれることなら、力になりたい。大丈夫、あなたたちの歌の大事なところに手は加えないわ。私ができることは――勝てる歌にするため、少し前に進めること。手伝わせてくれないかしら?」 「ありがとうございます! 真姫さん」 亜里沙が、元気に礼を言った。
2017-03-25 21:31:58「それと、衣装までは手が出なくて……そろそろなんとかしないとと思っているんですけど。どこかに頼むとして、おすすめのお店とか――」 「雪穂ちゃんと亜里沙ちゃんが卒業するまでは作るよ! 作らせて、くれないかな?」 大事なところを尋ねようとしたら、ことりちゃんが即答した。
2017-03-27 21:40:15私が息を呑んでいる間に、「でも、ことり」と海未ちゃんのほうが不安そうな声で言った。お姉ちゃんもことりちゃんのほうを振り向いて、心配そうな顔をしている。たぶん、私と同じことを考えている。 ああ、うん――ことりちゃんは、少しバツが悪そうに声のトーンを落として言った。
2017-03-27 21:40:22「そうだね、ごめんね、二人の卒業までって責任持つことはできないね。ことりが東京にいて、ちゃんと力になれる間は……かな。ううん、別にどこかに行くって決まってるわけじゃないんだけど、やっぱり留学とか多い世界みたいだから」 寂しそうな声。やっぱり、いつかは――
2017-03-27 21:40:33「でも、3月までは間違いなく大丈夫だから。今回は手伝わせてくれないかな? この歌の衣装、一緒に作りたいの!」 「……うん。ありがとう、ことりちゃん」 「実は衣装の案は考えてあります!」 「そうなんだー、楽しみ♡」 なかなかみんなから卒業できないけど……ううん、少しは前進したはず。
2017-03-27 21:41:25「ねえねえ! この歌って、絵里ちゃんたちはまだ知らないんだよね?」 お姉ちゃんが手を上げて言う。 「うん。今のが初披露だよ」 「じゃあさ! きっとみんなラブライブ見に来るから、そのときに初めて見せてびっくりさせようよ! 雪穂と亜里沙ちゃんから、卒業したみんなへのプレゼントだよ」
2017-03-29 19:59:22「そうだね。喜んでくれるといいな」 他に披露する機会がない以上は、どちらにしてもそのつもりだった。まあ、絵里さんに練習を見てもらうことはできなくなっちゃうけど。 「手伝ってもらえるんだから、、先輩たちからお姉ちゃんたちへのプレゼントにもなりますね!」 亜里沙も嬉しそうに続けた。
2017-03-29 19:59:51「でも、これはあくまであなたたちの歌よ。私たちは、技術的な点以外には触れない。でしょ、海未?」 「そうですね。私は、このままのこの歌も大好きです。あとは――せっかくですから、少しでも多くの人に届けられるような、そんな力になれたら、嬉しいです」 真姫さんと海未ちゃんが微笑む。
2017-03-29 19:59:59「きっと伝わるよ! この歌は私の気持ちそのものだもん! 私たちと雪穂と亜里沙ちゃんの気持ちが一致してるんだから、パワー100倍だよ!」 お姉ちゃんが叫ぶ。根拠も計算もまったく意味がわからないけど、なんだかお姉ちゃんがそう確信してるならそうなんだろうなって気がしてしまう。
2017-03-29 20:00:06それから―― 「こんな感じ。どう?」 「わあ! 確かにもっと気持ちいいメロディになりました!」 「そう、自然で気持ちいい進行があるの。それに、歌いやすさも重要なポイント」 真姫さんのピアノを聞きながら、二人でまた音楽の勉強をしつつ曲を改善していって。
2017-03-31 20:10:51「やはりもう少し短くまとめたほうが、印象に残りやすいと思います。伝えたいことが多いので削るのは難しいと思いますが、一緒に考えて工夫してまとめていきましょう」 「さすが海未さんですっ」 海未ちゃんとは相談しながら歌詞の改造をして。
2017-03-31 20:10:57「うんうん、とってもかわいいデザインだよ! 二人とも、センスあるね!」 「μ'sの思いをテーマにしているので、μ'sっぽさをどれくらい、どうやって出そうか迷ってるんだよね」 「うーんと、でも、二人に似合う衣装で考えればいいと思うよ」
2017-03-31 20:11:08ことりちゃんとは衣装の相談。 「μ'sっぽさは前面に出さなくても、たとえば……そうだ、こうやって小物でさりげなーく」 ことりちゃんはスケッチブックにさらさらとアクセサリを描いていく。はやい、うまい。 「どうかな?」 「わあ! かわいいっ」
2017-03-31 20:11:14今回は途中まででも私たちだけで作ったということ、そしてμ'sの物語と私たちの思いを私たちなりの表現で示したということもあって、私たちのオリジナルはとても大事にしてくれた。そのうえで、しっかり完成度は高まっていく。この経験は、今まで以上に、勉強になった。
2017-04-01 20:12:52