山本幸三地方創生相の「観光マインドがない学芸員は全部首」の事実確認
【地方創生相「学芸員はがん」】山本地方創生担当相は観光を生かした地方創生に関する質疑に答え、学芸員を批判。「一番のがんは文化学芸員と言われる人たち」。 yahoo.jp/BcRFAM
2017-04-16 19:55:12山本幸三地方創生相の発言
以前より主張している様子
朝日新聞:「学芸員はがん。連中を一掃しないと」 山本地方創生相より
"山本幸三・地方創生相が16日、大津市内のホテルで開かれた滋賀県主催の地方創生セミナーで、文化財観光の振興をめぐり見学者への案内方法やイベント活用が十分でないことを指摘し、「一番がんなのは学芸員。普通の観光マインドが全くない。この連中を一掃しないと」と発言した。
学芸員は博物館法で定められた専門職員で、資料の収集や保管、展示、調査研究などを担う。今回の発言はセミナーでの講演後、滋賀県長浜市の藤井勇治市長から「インバウンド観光振興について助言を」と質問された際にあった。外国の有名博物館が改装した際のことを引き合いに出し、「学芸員が抵抗したが全員クビにして大改装が実現した結果、大成功した」などとも述べた。"
第193回国会 内閣委員会 第2号 平成二十九年三月九日(木曜日) 午前十時開会より)
"ロンドン・オリンピックのときに観光を盛り上げるという意味で成功したと言われているのが、文化プログラムをつくって、ロンドンのみならずイギリス全体の美術館、博物館を観光客のために大改革をしたんですね。例えば、大英博物館の中の壁を取っ払って、真ん中に人が集まるところをつくって、そこからいろんな部門に行くというように全部やり替えました。そのときに一番抵抗したのが学芸員でありまして、そのときは観光マインドがない学芸員は全部首にしたというんですね。それぐらいの取組をやって、その後、ロンドンにまさに大英博物館を始め大変な観光客が継続して続くようになりまして、オリンピック終わってもにぎやかさを保っているというようなことであります。"
東京大学の加治屋健司(@kenji_kajiya)准教授の事実確認
「大英博物館の中の壁を取っ払って、真ん中に人が集まるところをつくって、そこからいろんな部門に行くというように全部やり替えました」というのは、ノーマン・フォスターによるグレート・コートのことだと思うのですが、これは、オリンピック開催決定の4年前の2001年に完成しています。 twitter.com/kmzwhrs/status…
2017-04-16 23:15:26この大改装が行われたのは、1997年までそこにあった大英図書館がセントパンクラスの新館に移ったからで、オリンピックのためではないですよね。
2017-04-16 23:20:20「観光マインドがない学芸員は全部首にした」事実があったかは分かりません。ロンドンオリンピックの文化プログラムを含むイギリスの文化政策については研究が進んでいるので、明日調べてみます。
2017-04-16 23:43:49訂正です。グレート・コートは、2000年12月6日にオープンしたので、2001年完成ではありませんでした。失礼しました。 twitter.com/kenji_kajiya/s…
2017-04-17 11:25:11調べました。ニール マグレガー館長の時代に大英博物館が人員削減をしたのは事実ですが、「観光マインド」に関する記述は見つかりませんでした。おそらく事実ではないでしょう。以下はこの本の102-103頁の記述です。 amazon.com/dp/1781685916/
2017-04-17 11:27:01大英博物館は長らく赤字体質で、文化省の勧めで投資銀行出身のスザンヌ・タヴァーンがマネージング・ディレクターになり、研究者出身の館長ロバート・アンダーソンとともに二人体制で館の運営にあたることになった。
2017-04-17 11:28:12タヴァーンは、館運営の現代化、人員削減、コスト削減に着手したが、後任の館長にはなれないと悟り2001年に辞任した。辞任時に「遺物の世話をするキュレーターという聖職。彼らが、組織のこの聖なる炎を担っている」と述べたが、これはキュレーターに対する負けを認めたということでしょう。
2017-04-17 11:30:11アンダーソンの後任がマグレガーで、スタッフと意思疎通を図り、館の士気と評判は徐々に回復したが、赤字が600万ポンド超まで増えそうだったので、人員削減を続けざるを得なかった。2004年に政府の支出見直しで博物館の年間予算が4000万ポンドに増えるまで状況は変わらなかったとのこと。
2017-04-17 11:31:46この本はロンドンオリンピックにおける文化政策についても論じていますが、そこには準備時の大英博物館の「観光マインド」に関する話は出てきませんでした。ただし他の記事を見ると、2010年頃政府の予算削減のため採用や補充を見合わせたようです。artlyst.com/news/british-m…
2017-04-17 11:36:39すみません。スザン「ナ」・タヴァーンで、マネージング・ディレクターになったのは1999年です。こういう記事もあります。 telegraph.co.uk/news/uknews/13… theguardian.com/uk/2001/sep/15…
2017-04-17 11:47:20大英博物館の人員削減の件、学芸員と修復家の増減が分かりました。決定から開催までの7年間の推移です。 2006 468 △22 2007 457 △11 2008 489 32 2009 500 11 2010 502 2 2011 490 △12 2012 469 △21
2017-04-18 14:06:30左から報告書の発行年、学芸員・修復家の数、増減です。年次報告書にありました。britishmuseum.org/about_us/manag… 数字は前年4月から3月までの平均値です。05年度から06年度、10年度から11年度は減少しています(理由は不明)。7年間全体ではほぼ変わりません。
2017-04-18 14:09:43