東西で電気の周波数がなぜ違うのか

某理系学生が「なぜ東西で電気の周波数が違うのか」「なぜ今回西日本で節電が行われないのか」という解説をしていたので、簡単にまとめました。一種の教養なので、あくまで参考としてください。
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Ninomy @ninomy

一部地域で電気が使えなくなるのは確かに不便です。しかしそのおかげで、他の大多数の地域は通常どおりに電気を使うことができます。発電所もダウンせずに済みます。

2011-03-14 17:34:53
Ninomy @ninomy

電気を人為的に止めるときに、戸別に止めることはできません。細かすぎるからです(といってもスマートグリッドなどの技術もありますがそれはまた別の話)。だいたい大雑把に、変電所単位で電気を止めることになります。

2011-03-14 17:35:53
Ninomy @ninomy

そして、あまり日本の送電網は地名字で区切って作られているわけではないので、同じ地域でも別々の変電所から電気がきているということがあります。「どちらのグループに属するかはっきりしない」原因はここにあります。

2011-03-14 17:36:57
Ninomy @ninomy

東京電力はたぶん送電網を細かく把握していると思うのですが、いかんせん細かいので、それをすべて取りまとめるのは大変です。そこで、今回のようなやや混乱を招く発表のしかたになってしまったのだと思います。電気が止まってみないと分かりませんが、一度止まればどのグループなのかははっきりします

2011-03-14 17:38:33
Ninomy @ninomy

でも、こうして変電所単位で細かくコントロールできるのは、むしろすごいことです。幹線でぶった切ると大きな地域で一斉に電気が落ちますが、こうして細かくコントロールすれば小さいエリアでたくさん停電する状況になります

2011-03-14 17:40:37
Ninomy @ninomy

計画停電はしばらく続くでしょう。日本の発電の多くは火力発電と原子力発電です。その発電所は海沿いにありますから、東日本太平洋沿岸の発電所はほぼ使えなくなっています。そのため、需要に対して供給が1000万kWも足りないということになっています

2011-03-14 17:42:11
Ninomy @ninomy

内陸の水力発電や、風力・太陽光では少しの電気しか作れません。火力発電所と原子力発電所の発電能力はとても大きいです。これらが復旧しない限り、この状態はずっと続くでしょう

2011-03-14 17:43:16
Ninomy @ninomy

東北地方の発電所もやられているので、東北でも計画停電の計画があるようです。現在の茨城含めて被災した後で大変なのは分かりますし、そこを優先的に使えるようにしろという話も分からなくはないのですが、我慢するしかありません

2011-03-14 17:45:12
Ninomy @ninomy

計画停電では、時間をくぎって停電をします。1日中停電するワケではないし、あるていど時間帯があらかじめ分かるので、それに備えておくこともできるはずです。また、みんなががんばれば今日の昼間のように停電回避もできます。需要が少なければ停電する理由がないからです。

2011-03-14 17:46:10
Ninomy @ninomy

よくある間違いとして、昼に一斉に停電にしてその分の電力を夜送ればいいじゃないか、というのがあります。大規模に電力を蓄えておくことはできないので、そのようなことはできません。小さい単位で燃料電池や蓄電池を持っているところはありますが、関東一円をカバーするのは無理です

2011-03-14 17:47:31
Ninomy @ninomy

電気は、生産と消費が同時に起こっています。今消費されている電気は、同じ瞬間に生産された電気です。時間差はほとんどありません。

2011-03-14 17:48:18
Ninomy @ninomy

したがって、需要のピークを迎える夕方~夜は、その時に需要が供給を上回る恐れがある場合は、全滅を防ぐためにその時にどこかの電気を落とすしかないのです

2011-03-14 17:49:20
Ninomy @ninomy

発電機の段階で周波数が決まってしまいます。一部にはどちらの周波数でも発電できるものもあり、いま長野の水力発電所がそれをやろうとしています QT @h_nodacchi: 電気の周波数統一って発電機変えないといけないんだっけか?

2011-03-14 17:50:16
Ninomy @ninomy

計画停電についてはだいたいこれくらいの説明があればいいんじゃないかと思うんですけど何かあったらreplyください

2011-03-14 17:51:02
Ninomy @ninomy

あ、揚水発電の話をしていない

2011-03-14 17:54:34
Ninomy @ninomy

まず揚水発電について。本来発電所の出力は3100万kWなのに、揚水発電のおかげで200万kW追加されて供給力が3300万kWとなっています。揚水発電は、「電気を使って電気を生み出す発電」です。余った電気で水を汲み上げて、その水で発電をします。ある意味では電気の貯金になっています

2011-03-14 17:56:13
Ninomy @ninomy

電気が余っていないと揚水発電の水の汲み上げはできず、発電所だけで足りなくなったときの発電もできません。だから、昼間や夜間の節電はまったくの無意味ではありません。心がけたいものです。

2011-03-14 17:57:45
Ninomy @ninomy

送電系統について。電力は、発電所で作られたときには非常に高い電圧となっています。そのほうが長距離を運んでも損失が少ないからです。しかし、家庭で使う分にはそれこそ死人が出るレベルなので、電圧を落としていく必要があります。しかし、電圧が低いと輸送での損失は大きくなります

2011-03-14 17:59:08
Ninomy @ninomy

そこで、発電所で作った電気はいくつかの変電所を経て、段階的に電圧が下げられていきます。家庭に届く直前では、電柱の上にあるトランスという桶のような形の変圧器で実効100Vまで下げられます

2011-03-14 18:00:12
Ninomy @ninomy

ある変電所を出た電気は、また別の変電所へ、変電所へ、最終的には家庭へと流れていきます。ただし、ある変電所がカバーするエリアと、行政区画は、必ずしも一致しません。というか、それがふつうです。電気を輸送するコストや工事のコストを考えて整備されているはずです

2011-03-14 18:01:59
Ninomy @ninomy

そのため、同じ市内の別々の地域を別々の変電所からの電気が来ている、ということが多々起こっています。大きい市区町村になるとそれは顕著です。また、市内の同じ町名でもそれが起こっているため、事情はさらに複雑になっています

2011-03-14 18:03:06
Ninomy @ninomy

電力会社は送電線図を把握していると思うので、どの家がどの変電所からの電気をもらっているかというのは分かるはずですが、しかし変電所の経路も送電線や発電の様子、需要の分布によって刻一刻と切り替えられているので、話は簡単ではありません。物理的ルートは変わっていきます。

2011-03-14 18:04:34
Ninomy @ninomy

だから、電力会社も細かいことを言いきるのには時間と手間がかかります。だいたいこのへん、とはいえても、町名番地レベルで特定するのはそれこそ1件1件精査しないといけないので、非常に難しいです

2011-03-14 18:05:30
Ninomy @ninomy

だからもう、止まってみないと分からないが、止まれば分かるのでそれでいいじゃないか、というふうに僕は言うようにしています

2011-03-14 18:06:04
Ninomy @ninomy

いま鍵付きの人からコメントいただきました。テロ対策のため、本来は送電経路は極秘事項です。そこをぶった切ればどこがダウンする、というのが分かってしまいますからね

2011-03-14 18:06:41