東西で電気の周波数がなぜ違うのか

某理系学生が「なぜ東西で電気の周波数が違うのか」「なぜ今回西日本で節電が行われないのか」という解説をしていたので、簡単にまとめました。一種の教養なので、あくまで参考としてください。
教養 停電 電気
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Ninomy @ninomy
もうすぐ第5グループ停電の予告時間
Ninomy @ninomy
そろそろ本格的に節電
Ninomy @ninomy
@nobujo 送電線や変電所の送電能力に同様の限界がありますから、いくらでも送るというわけにはいきませんね
Ninomy @ninomy
第5グループの人はPCの電源を落として、コンセントから引っこ抜いてください
Ninomy @ninomy
歴史的経緯があるのです。東日本はドイツから、西日本はアメリカから技術を導入していて、それぞれ50Hz交流と60Hz交流だったのだ QT @nyamph_pf: なんで周波数の違いがあるのか知らない
Ninomy @ninomy
電力クラスタの出番ですか QT @ka9e: もうこの際だから皆さん電力変換と周波数変換所についてお勉強しましょうよ
Ninomy @ninomy
あと「そもそもなぜ計画停電が必要なのか」とかね。「どうやら必要らしいからしかたないね」と思っていても理屈で分かってないひとは多そうだ
Ninomy @ninomy
日本の電力事情を話すには、まずは明治時代に遡らなくてはならない
Ninomy @ninomy
そもそも電力輸送は、初めは直流電源がふつうだった。しかし直流では電気を輸送している間での損失が大きいので、交流電源を用いることになっていった。しかし一口に交流といっても、その周波数はどうしたらいいのか?
Ninomy @ninomy
つづき。交流電源を用いるとして、機器によってその動作に最適な周波数というのはまちまちになってくる。20Hz程度の発電機や、100Hz以上の周波数の発電機もあり、さまざまな交流電源が用いられていた。しかし、それでは汎用性がないので、ある周波数に落ち着ける必要があった。
Ninomy @ninomy
その後、だいたい50Hzや60Hzの電源が主流になってきた。その周波数がいちばん汎用性が高かったから。主にアメリカでは50Hzの電源が使われ、ドイツでは60Hzの電源が用いられるようになってきた。
Ninomy @ninomy
そして明治時代の日本。東京では、ドイツから発電機を取り入れて、50Hz交流電力網が作られていった。そして関西では、アメリカからの発電機を取り入れて60Hz交流電力網が作られていった。
Ninomy @ninomy
この時の技術導入によって、東日本一帯で50Hz発電機が多く使われ、西日本一帯で60Hz発電機が多く使われるようになってしまった。その後発電機の周波数を国内で統一させようとする動きもあったが、莫大なコストがかかることから断念された。
Ninomy @ninomy
このような歴史的経緯があって、東日本で50Hz、西日本で60Hzというふうに異なる周波数の電源が使われるようになった。それぞれのエリア内では、電力融通ができる。
Ninomy @ninomy
(今の電気機器の多くは問題ないものの)当時の電気機器は特定の交流周波数の下で動作する前提で作られていたため、周波数が異なることによる問題も多々あった。例えば西日本向けの電気機器を東日本に持ち込んで使ったらこわれた、ということは当時はよくあった。
Ninomy @ninomy
また、異なる交流周波数の電源は、おなじ送電線を共有することができないので、西日本の電力を東日本に送るとか、その逆のようなことはすることができない。そこで、全国的に電力融通をすることができるように、60Hzと50Hzの周波数変換をする必要が生じてきた。
Ninomy @ninomy
だいたい日本の交流周波数の境界はフォッサマグナに沿っている。そして、日本国内には現在3ヶ所の周波数変換を行うことのできる変電所がある。具体的にどう変換するかの説明は省くが、逆に言えばこの3ヶ所のどこかを通さない限り、東西で電力のやりとりをすることができない。関所のように。
Ninomy @ninomy
そして、それぞれの変電所で変換することのできる電力にも限りがある。関所を一度にくぐれる人数に限りがあるということです。大量に電力を送ろうと思っても、変電所の容量を超える電力は送ることができません。
Ninomy @ninomy
関西で節電しても無意味だという原因はここにあります。関西の発電所では常にフル稼働しているわけではなく、ある程度余裕をもって発電をしています。そして、それを関西で使っています。しかし、東日本で電力不足となれば、少し余分に発電所が稼働して、余計に電力を作り、余った分を東に送ります
Ninomy @ninomy
そして、その余計に作った電力でもう変電所の能力いっぱいになってしまうのです。言い換えれば、変電所を通して東日本に送ることのできる電気を発電所がすべて作ってしまっているので、関西住民は何もしなくてももう電気は足りているのです
Ninomy @ninomy
@ka9e それだと電気の知識がある程度あればいいけど、一般の人にはキツいと思う
Ninomy @ninomy
これで周波数変換と関西節電無意味説の話は終わりかな。あとは計画停電について
Ninomy @ninomy
計画停電をする一番の理由は、全滅を回避するためです。東日本で発電する電力や西日本から分けてもらうぶんの電力の中で消費する分には、何も問題ありません。しかし、あまり電気を使いすぎて需要が供給を上回ると、関東全体で停電が起こります。需要に追いつかないと、発電機がダウンするためです。
Ninomy @ninomy
せめて発電機は生かしておきたい。というのは、ニュースなどにもあるように交通信号や病院、テレビ局など電気を必要としているところはたくさんある。そういうところへの電気の供給がすべてなくなるのは非常に混乱し、社会的に大きな打撃になる。
Ninomy @ninomy
そこで全滅を回避するために、一部地域に少しの間我慢してもらう(=人為的に停電させる)措置をとることになります。あらかじめこの地域と時間帯を予告しているので、計画された停電=計画停電という言い方になります
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コメント

みゅーと @lochtext 2011年3月14日
>テロ対策のため、本来は送電経路は極秘事項です。そこをぶった切ればどこがダウンする、というのが分かってしまいますからね  これ大事
Nao.T @ebsnt 2011年3月14日
良まとめ。なぜ中部電力以西で節電しても意味が無いか、なぜ計画停電をしなければならないかがすべて解る。
KZ78 @kz78_b 2011年3月14日
>テロ対策のため、本来は送電経路は極秘事項です。 23区内の停電を避けるのはそういう意図もあるのかな、と思った。
Ninomy @ninomy 2011年3月14日
2011-03-14 17:16:04のpostが間違ってますね。ドイツが50Hzでアメリカが60Hzです。
ぼんじゅ〜る・Fカップ @France_syoin 2011年3月14日
電気の周波数を2つにしておくメリットって何かあるのかな?なければコストがかかっても追々一本化していくとかした方がいいね
Ninomy @ninomy 2011年3月14日
メリットというか、導入するときに別々に導入してしまって置き換えられないまま今日に至るというほうが合っていると思います。一本化は昔からずっと言われていることですが、費用対効果の面から現実的ではないです。日本のどちらか半分の電力設備の総とっかえが必要になるわけですから。
@fourier64 2011年3月14日
電気系ドクター学生を名乗ってる自分もこのような丁寧な解説投稿するべきやったな.非常にわかりやすくツボを抑えてまとめられています.お疲れさまです.
@fourier64 2011年3月14日
全滅を防ぐための計画停電に補足.予期せずに需要が供給より大幅に超過し停電が発生すると,最初は地域停電ですが,停電の連鎖が発生し2003年の北アメリカ大停電のようなことが起こり得ます.
Ninomy @ninomy 2011年3月14日
「60Hzエリアでの節電は無意味」というのは、東日本に送電するという点で意味をなさないということです。どの地域においても、節電は資源の節約になりますから悪いことではありません。でも、東日本の電力が厳しいので、西の工場にはしっかり稼働して経済を回していただきたいものです
Ninomy @ninomy 2011年3月15日
周波数の統一が無理なら変換設備の充実を!という声もあるのかもしれませんが、不幸なことに周波数境界がフォッサマグナ周辺にあるので安全で大規模な設備が作りにくいものと思います。一方で日本には数千の発電所があり、発電所1基あたり数百億~数千億円のコストがかかります。変電所その他配電設備や移行期間のことを考えると個人的にはあまり現実的でないように思ってしまいます。
(。╹◡╹。)@シロ組🐬🍁🍀🎶🍑 @epuboro 2011年3月15日
電気料金の支払いが延滞するとピンポイントで1軒だけ電気止められるけどあれはどうやってるんだろう。ピンポイントで止める方法があるなら一般家庭だけ止めて信号や病院には送電すればいいと思うんだけど。
Ninomy @ninomy 2011年3月15日
ただし、現在は昔と違って50/60Hzのどちらでもつかえる電気機器というものが多いので、昔懸念された「周波数移行による混乱」は少ないかもしれません(が今の地デジ化が混乱しているところを見るとやっぱり混乱すると思いますね
Ninomy @ninomy 2011年3月15日
電気代の滞納で1戸単位で電気が止まるのは、電気メータのところで止めているからです。さすがに今回は1軒1軒を歩いて回って止めるわけにはいかないでしょう
Imudak @imudak 2011年3月15日
よくまとまってます。東電に文句を言いたくなったら深呼吸してご一読を。
showBOO @showBOO 2011年3月15日
電力の復旧には長くかかりそうですね。例えば早急に西日本に50Hzの発電所を作る、もしくは既存の発電所で50Hzの発電機を追加して、周波数変換設備なしで送電できるようにするというのは?
KenEm0 @kenemo 2011年3月15日
原発復旧させるよりも東西の周波数の変換機を増設する方が早く安く出来て効率的な気がする。東日本の電力的な問題は当分続くだろうし、素人目には必要に思うが、実際のところどうなんだろう。
草壁。 @ta2_1976 2011年3月15日
日本全体で考えると、西日本でも節電して発電所がフル稼働しなくてもよくなれば、元となる燃料の消費を抑えられると思うんだけどどうだろう。そこまでの事態ではないのかな?
藁科 英司 @hamanako 2011年3月15日
長野の水力発電書の件は、これですね 関西電力、長野の2発電所から東電管内に送電 http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819A96E3E1E2E2918DE3E1E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=ALL
amateras @logarizm 2011年3月15日
今から周波数変換用の変電所つくるわけにはいかんのだろうか。どれくらいかかるか分からないけど。
まー某 @mabow 2011年3月15日
敗戦時復興計画立てるとき周波数一本化が研究されたそうですがあの状況でも難しく。そういう成功例は小さいけど伊勢湾台風被害の近鉄名古屋線の広軌での復旧でしょうか?
斉藤悠介 @nshjm 2011年3月15日
今は店舗などは停電するかしないかに振り回されないように停電しないことを前提に動いてますね。止まったらそれでしょうがないと。するかわからない停電に逐一備えるほうが大変みたいです
tsubasasa @tsubasasa 2011年3月15日
今更だけど、こういう経緯があって異なる周波数だったのか…
神無月@12/30東5マ34b「十月茶会」 @mizuka_kan 2011年3月16日
東西の周波数の違いから現在の計画停電の事情までとてもわかりやすくまとめられててとてもありがたいです。これで知り合いにも説明できる。
架乃 @kuroikano 2011年3月16日
東電への不満でパンクしそうになってたので良いクールダウンになりました。丁寧な説明で分かりやすかった。
Ninomy @ninomy 2011年3月17日
計画停電を実施していても、実施範囲外の地域で電力を消費しすぎると結局発電機のダウン・大規模停電を招きます。徹底した節電を心がけたいものです。
撃壌◆ @gekijounouTa 2011年3月18日
他に鉄道では列車の運行を1日止めて連結器の変更、なんて事例も。http://j.mp/fCpy1B
はぎ @hagi9730 2011年3月18日
そういえば燃料電池が蓄電池と並んでいてまるで燃料電池が充電式の電池の一種のように書かれていますが燃料電池は電池というよりは発電機と考えるのが正しいと思いますが、如何でしょう。
Ninomy @ninomy 2011年3月18日
そうですね、燃料電池は余剰電力を「蓄える」ものではありません。ここでは電力不足の場合の電力の供給源という意味合いで使ったつもりですが、誤解を招く部分もあるかもしれません。
トドノツマリ @Todono 2011年3月19日
>そもそも電力輸送は、初めは直流電源がふつうだった。しかし直流では電気を輸送している間での損失が大きいので、 直流送電は電圧変換が難しいから採用されなかったという経緯だったと思うのですが...どうでしょうか?
Ninomy @ninomy 2011年3月19日
日本の電化は最初から交流でした(鉄道は直流の場合もありますが)し、日本国内でそもそも直流送電が普及していてそこから交流になったという事実はないはずです。世界最初の送電はエジソンが直流で行ったもので、交流送電はそれ以後です、という意味合いで書きましたが、わかりにくかったですね。さらに言えば直流送電が「ふつう」というのは確かに語弊がありそうです。
Noname Kamisawa@4/6-7山陰 @nnm_t 2011年3月19日
周波数の統一に関しては家庭用の機器は両対応が一般的になってきたから障害は減ったとはいえ、業務用の据え置き型の機械は移動する必要性がない関係で片方の周波数しか対応していないものが多く、それが大きな障害になっているというのもありますからね…
雑草スレイヤー @gc_cic 2011年3月19日
非常に分かりやすくまとまっていますね。この解説をパンフレットにして配布したら良いと思いました。
新世界うずら™️ @vitalsine 2011年3月20日
ギリギリまで計画停電を確定しないのって、停電中の地区での計画的犯罪を予防するためってのもあるよね
Okamoto S @so_kamoto 2011年3月24日
テンポラリな改善策として変電所を増やせばいいのではと思っていたけど、それもコスト高なのですね。ぐぬぬ
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