東西で電気の周波数がなぜ違うのか

某理系学生が「なぜ東西で電気の周波数が違うのか」「なぜ今回西日本で節電が行われないのか」という解説をしていたので、簡単にまとめました。一種の教養なので、あくまで参考としてください。
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Ninomy @ninomy

もうすぐ第5グループ停電の予告時間

2011-03-14 16:54:10
Ninomy @ninomy

そろそろ本格的に節電

2011-03-14 16:57:41
Ninomy @ninomy

@nobujo 送電線や変電所の送電能力に同様の限界がありますから、いくらでも送るというわけにはいきませんね

2011-03-14 17:02:36
Ninomy @ninomy

第5グループの人はPCの電源を落として、コンセントから引っこ抜いてください

2011-03-14 17:03:05
Ninomy @ninomy

歴史的経緯があるのです。東日本はドイツから、西日本はアメリカから技術を導入していて、それぞれ50Hz交流と60Hz交流だったのだ QT @nyamph_pf: なんで周波数の違いがあるのか知らない

2011-03-14 17:06:07
Ninomy @ninomy

電力クラスタの出番ですか QT @ka9e: もうこの際だから皆さん電力変換と周波数変換所についてお勉強しましょうよ

2011-03-14 17:08:57
Ninomy @ninomy

あと「そもそもなぜ計画停電が必要なのか」とかね。「どうやら必要らしいからしかたないね」と思っていても理屈で分かってないひとは多そうだ

2011-03-14 17:09:54
Ninomy @ninomy

日本の電力事情を話すには、まずは明治時代に遡らなくてはならない

2011-03-14 17:11:14
Ninomy @ninomy

そもそも電力輸送は、初めは直流電源がふつうだった。しかし直流では電気を輸送している間での損失が大きいので、交流電源を用いることになっていった。しかし一口に交流といっても、その周波数はどうしたらいいのか?

2011-03-14 17:12:20
Ninomy @ninomy

つづき。交流電源を用いるとして、機器によってその動作に最適な周波数というのはまちまちになってくる。20Hz程度の発電機や、100Hz以上の周波数の発電機もあり、さまざまな交流電源が用いられていた。しかし、それでは汎用性がないので、ある周波数に落ち着ける必要があった。

2011-03-14 17:15:02
Ninomy @ninomy

その後、だいたい50Hzや60Hzの電源が主流になってきた。その周波数がいちばん汎用性が高かったから。主にアメリカでは50Hzの電源が使われ、ドイツでは60Hzの電源が用いられるようになってきた。

2011-03-14 17:16:04
Ninomy @ninomy

そして明治時代の日本。東京では、ドイツから発電機を取り入れて、50Hz交流電力網が作られていった。そして関西では、アメリカからの発電機を取り入れて60Hz交流電力網が作られていった。

2011-03-14 17:17:27
Ninomy @ninomy

この時の技術導入によって、東日本一帯で50Hz発電機が多く使われ、西日本一帯で60Hz発電機が多く使われるようになってしまった。その後発電機の周波数を国内で統一させようとする動きもあったが、莫大なコストがかかることから断念された。

2011-03-14 17:18:36
Ninomy @ninomy

このような歴史的経緯があって、東日本で50Hz、西日本で60Hzというふうに異なる周波数の電源が使われるようになった。それぞれのエリア内では、電力融通ができる。

2011-03-14 17:19:58
Ninomy @ninomy

(今の電気機器の多くは問題ないものの)当時の電気機器は特定の交流周波数の下で動作する前提で作られていたため、周波数が異なることによる問題も多々あった。例えば西日本向けの電気機器を東日本に持ち込んで使ったらこわれた、ということは当時はよくあった。

2011-03-14 17:21:31
Ninomy @ninomy

また、異なる交流周波数の電源は、おなじ送電線を共有することができないので、西日本の電力を東日本に送るとか、その逆のようなことはすることができない。そこで、全国的に電力融通をすることができるように、60Hzと50Hzの周波数変換をする必要が生じてきた。

2011-03-14 17:23:21
Ninomy @ninomy

だいたい日本の交流周波数の境界はフォッサマグナに沿っている。そして、日本国内には現在3ヶ所の周波数変換を行うことのできる変電所がある。具体的にどう変換するかの説明は省くが、逆に言えばこの3ヶ所のどこかを通さない限り、東西で電力のやりとりをすることができない。関所のように。

2011-03-14 17:24:58
Ninomy @ninomy

そして、それぞれの変電所で変換することのできる電力にも限りがある。関所を一度にくぐれる人数に限りがあるということです。大量に電力を送ろうと思っても、変電所の容量を超える電力は送ることができません。

2011-03-14 17:25:56
Ninomy @ninomy

関西で節電しても無意味だという原因はここにあります。関西の発電所では常にフル稼働しているわけではなく、ある程度余裕をもって発電をしています。そして、それを関西で使っています。しかし、東日本で電力不足となれば、少し余分に発電所が稼働して、余計に電力を作り、余った分を東に送ります

2011-03-14 17:27:21
Ninomy @ninomy

そして、その余計に作った電力でもう変電所の能力いっぱいになってしまうのです。言い換えれば、変電所を通して東日本に送ることのできる電気を発電所がすべて作ってしまっているので、関西住民は何もしなくてももう電気は足りているのです

2011-03-14 17:28:23
Ninomy @ninomy

@ka9e それだと電気の知識がある程度あればいいけど、一般の人にはキツいと思う

2011-03-14 17:29:05
Ninomy @ninomy

これで周波数変換と関西節電無意味説の話は終わりかな。あとは計画停電について

2011-03-14 17:29:52
Ninomy @ninomy

計画停電をする一番の理由は、全滅を回避するためです。東日本で発電する電力や西日本から分けてもらうぶんの電力の中で消費する分には、何も問題ありません。しかし、あまり電気を使いすぎて需要が供給を上回ると、関東全体で停電が起こります。需要に追いつかないと、発電機がダウンするためです。

2011-03-14 17:31:46
Ninomy @ninomy

せめて発電機は生かしておきたい。というのは、ニュースなどにもあるように交通信号や病院、テレビ局など電気を必要としているところはたくさんある。そういうところへの電気の供給がすべてなくなるのは非常に混乱し、社会的に大きな打撃になる。

2011-03-14 17:33:04
Ninomy @ninomy

そこで全滅を回避するために、一部地域に少しの間我慢してもらう(=人為的に停電させる)措置をとることになります。あらかじめこの地域と時間帯を予告しているので、計画された停電=計画停電という言い方になります

2011-03-14 17:34:03