日向倶楽部世界旅行編第1話「豪華客船ヒューガリアン」

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三隈グループ @Mikuma_company

だがそんな時 「…あら、何の音かしら…」 海の上ならそう耳にしないであろう音が 「…パトカーかな?でもここ海…」 パトカーのサイレンが彼らの耳に入って来たのだ。 ウゥゥゥゥゥゥゥ…というけたたましいサイレン、それも一つではない、いくつものサイレンが!鳴っている!

2017-06-13 21:56:02
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「日向さん、あれ見て!」 初霜の指差す先には白い何か、赤いパトランプを光らせた白バイ、いや、真っ白な水上バイクが海の上を走っていた!サイレンの正体は彼らだ! 「白バイ!?いや、ここは海だぞ…なんだあいつらは!?」 あいつら、そう、それは何台も走っているのだ!

2017-06-13 21:57:01
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「あれは海賊!?これちょっとまずいんじゃ…」 最上がそう言う間にも白バイ達は船との距離を詰め、こちらを取り囲むように陣を組み始めている! 「一旦ブリッジに…いや、さっきの格納庫に行こう!武器だ!」 左腰部の刀が無いことを確認し、日向は最上達を船内に促す。

2017-06-13 21:58:01
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最上と初霜が船内へと走る、そして日向も後を追おうとした直後、デッキの手すりに金属製のフックが絡みつき! 「クッ、本当に海賊じゃあないか…!」 そこから白いヘルメットを被った一団がシュルシュルと船へと乗り込み始めた! 多勢に無勢、そう見た日向はひとまず最上達の後を追う。

2017-06-13 21:59:04
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「日向さん!こっちにも!」 最上達の行く手を白ヘルが塞ぐ! 「こんなにもか…!下がっていろ!」 日向は瑞雲の鼓動を刻み、指先に緑色の光を纏う! 「少し眠ってもらう!」 そして放つ!緑の光線、光の弾丸!食らった白ヘルは小さく声をあげ、気を失ってその場に倒れこんだ。

2017-06-13 22:00:01
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「居たぞーッ!」 だがその後ろから三人の白ヘルが現れる!日向は立てかけてあったモップを手頃な長さにへし折り、それを持って走り出す! 「航空戦艦を舐めるなよッ!」 ピストルを構える彼らの懐に飛び込み、打つ!打つ!打つ! 「来い!」 白ヘルをあっさりと片付け、最上達を呼ぶ!

2017-06-13 22:01:02
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「日向さん、何なんですアレ!」 「さあな、しかしマトモな連中ではないだろう!あんな乗り込み方ならなおさらだ!」 三人は廊下を走り格納庫を目指す! しかし! 「おっと、ここは通さへんでぇ、観念しいや。」 三人の白ヘルと、赤いキャップを被った一人の少女が彼等の行く手を塞いだ!

2017-06-13 22:02:01
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「次から次へと…!」 「それはこっちの台詞やんなぁ、ちょっとは大人しくした方がええんとちゃう? …やれ。」 赤キャップの少女が指示すると、三人の白ヘルがピストルを構える! 「シュートッ!」 が!撃つよりも速く日向が鼓動の弾丸を飛ばし、一人が気を失う!

2017-06-13 22:03:12
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「二人とも伏せろ!」 しかし残り二人は健在だ!素早くピストルを撃つ!撃つ!銃弾が日向の元へと迫る! 彼女はそれを機敏に避け、廊下の壁を蹴る!そして三角飛びの要領で白ヘルとの距離を詰め! 「だぁァァァッ!」 棒で打つ!打つ!二人の白ヘルは拳銃を落としてノックダウンだ!

2017-06-13 22:04:02
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「ほぉ〜ん、海賊風情がようやるわぁ、こりゃ久々にウチがやらなあかんなぁ。」 それを見ていた赤キャップの少女は、懐から警棒とピストルを取り出した 「死なれると色々面倒やしぃ、よろしゅうお願いするでぇ?」 「こいつ、やる気か…」 それを見て日向はダッシュで少女との距離を詰める

2017-06-13 22:05:02
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「刻むぞ鼓動、シュートッ!」 詰めつつ日向は鼓動の弾丸を放つ! だがしかし、少女はそれを平然と見切る! 「はぁ〜?あんさん波紋使いかいな、でも扶桑はんに比べると、随分弱っちいなぁ」 「扶桑様を知っているのか!?」 「それウチの台詞やでぇ、取らんといてえやぁ」

2017-06-13 22:06:02
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日向は棒で袈裟打ちをかける!少女は警棒でそれを受け止め、流し、反撃とばかりに殴りかかる! モップの柄と警棒の激しい打ち合いだ! 「あかんあかんあかん強いやないかぁ、こりゃあ近距離やと分が悪いなぁ」 そう言って少女は日向の横薙ぎを避けつつバク転、後方へ大きく移動する。

2017-06-13 22:07:10
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それと同時! 「何ッ!」 日向の持つ棒が弾き飛ばされた! 棒はカランカランと音を立てて床に転がる 「そろそろ観念しいや、こっちはこれ持っとるんやで?」 撃ち抜いたのだ、少女の弾丸が、日向の棒を、バク転するあの一瞬で! 少女は転がった棒を再度撃ち、完全に無力化する。

2017-06-13 22:08:08
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だがそれで怯む日向ではない、両手に鼓動を纏い、徒手空拳での戦いに備える。 その時!日向の背後から男の叫ぶ声! 「黒潮さん!確保!確保しました!」 「は、離せ!くそッ!」 「やめて!離してよ!」 彼女が振り返ると、そこでは白ヘルの一団に取り抑えられた最上と初霜の姿が!

2017-06-13 22:09:02
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「最上!初霜!」 「ようやった村上!そいつらにピストル突きつけとき。」 白ヘル達はピストルを日向と二人に向ける 「見ての通りや、大人しくせんとガキ共の頭にアリさんが巣を作るで。」 「クッ…」 絶望的な状況を見て、日向は戦闘の構えを解いた。

2017-06-13 22:10:07
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「全く手間かけさせおってからに、確保や確保。」 少女はぼやきながら手錠で日向を拘束する、すると突然、彼女が持っていた無線機にノイズが入り始めた。 「なんやなんや一体…こちら黒潮、ブリッジ制圧したんか?」 少女は無線機越しに会話を続ける 「…そっかぁ、分かったわぁ。」

2017-06-13 22:11:05
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やがて彼女は無線機を切ると、ため息をつきながら今度は日向の手錠を解いた。 「村上ぃ、こいつら海賊ちゃうみたいやでぇ、その娘達離したってえなぁ。」 「ええっ!?そうなんですか!?」 黒潮がせやせやと言うと、白ヘル達は最上達を解放し、手を差し伸べて立ち上がらせる。

2017-06-13 22:12:02
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「…どういう事だ?貴様ら海賊じゃないのか?」 状況がいまいち飲み込めず、日向は困惑していた 「ごめんなぁ、お互い誤解しとったみたいやわぁ、取り敢えず話あるから、ブリッジまで案内してなぁ。」 「あ、ああ…分かった…」 日向達は白ヘルと少女を連れてブリッジへと向かった。

2017-06-13 22:13:01
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ブリッジでは扶桑、三隈、あきつ丸、そして見慣れぬ一人の女性と、数人の白ヘルが待機していた。 「黒潮さん、お疲れ様です。」 「飛鷹、さっきの話ホンマにぃ?」 入るなり黒潮と呼ばれた少女は見慣れぬ女性に訊いた、二人は顔見知りのようだ。

2017-06-13 22:14:05
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「はい、横須賀の物で間違いないと、何より…」 見慣れぬ女性…航空母艦娘飛鷹は扶桑の方を向いた 「久しぶりですね、黒潮。」 「扶桑はん?え?なんで?」 扶桑の顔を見て、少女…駆逐艦娘黒潮は眉を上下させる。 「人質かぁ?ちゃうわなぁ、めっちゃくつろいどるもんなぁ…」

2017-06-13 22:15:01
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黒潮は扶桑とその周囲をまじまじと見る 「うーん…なんで?」 「実はですね…」 扶桑は彼女に事の次第を説明した。 「ハァーッ、登録済んでないのに出港したんか、しかも予定より早く…」 「そうなんです。」 「ウチ、あんさんはもうちっと落ち着きのある人やと思っとったで…」

2017-06-13 22:16:01
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一連の話を最上達も聞いていた。 どうやらこの船、本来の出港より一週間ほど早く出発したらしく、公的な手続きが完全には終わっていなかった。 その為「所属不明船舶」と認識されてしまい、黒潮率いる海の警察こと「海上保安艦隊」に海賊船として捕捉された、というわけであった。

2017-06-13 22:17:01
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「あーあー…よう見たら通信機器の設定終わっておらんやないかぁ、どうりで応答ないわけやわぁ。」 黒潮はコンソールを見て呆れた様子で言った 「機械には疎くて…」 「なら言って誰かにやってもらいや…」 二人の様子を最上達は眺めていた、扶桑に対する印象が変わりつつある。

2017-06-13 22:18:02
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少し考えた後、黒潮は思いついたように言った 「…まあ手荒な事してしもたし、扶桑はんとの仲やしなぁ、機器とか諸々の設定代わりにやったるわ。」 「まあ…ありがとう、黒潮。」 「気にせんといてえなぁ、飛鷹は本部に連絡、村上は機械いじりな。」 二人はこれを了解し、事を始めた。

2017-06-13 22:19:06
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やがて一通りの指示を出し終えた後、黒潮は日向達の前へとやってきた。 「…さて、二人ともさっきはごめんなぁ、ウチらプロやねん手ェ抜けへんのや、堪忍してな。」 そう言って彼女は最上と初霜の手を取る 「いえこちらこそ…」 「ちょっと怖かったけど…うん、平気よ。」

2017-06-13 22:20:02