RPGの「僧侶職(Cleric)」はいつ回復呪文を唱えはじめ(その後さらにヒーラー役割を期待されるようになっ)たのか?
ほぼ『高僧伝』(の奇跡譚の部分)や『今昔物語集』(の仏教僧侶が登場する説話の部分)の、中世欧州キリスト教文化圏版に相当しそうだし……>ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』
2017-06-27 23:44:59@tricken 『指輪物語』の「王の手は癒やしの手」が元ネタと思います。AD&Dのパラディンのレイ・オン・ハンズですよ。 『カーミラ』にしろ『ドラキュラ』にせよ、ゴシックホラーはどちらかといえば「科学的」。ホジスンのカーナッキ、ブラックウッドのジョン・サイレンス等のオカルト探偵が近いか。
2017-06-27 20:07:41@tricken 付言すると、「王=アラゴルン」にアーサー王的なイメージが担保されているというのは、先行研究があった気がします。そしてアーサー王は、キリスト教の聖者でもあり、一方でドルイド的な「アイルランド・ケルト」のイメージも重ねられていますねえ。
2017-06-27 20:25:06なるほど、「アラゴルンら人間の中で癒やしの力を持つ人々を(野伏や戦士ではなく)パラディン的なものと見立てる」という方向もあるんですね! twitter.com/orionaveugle/s…
2017-06-27 20:24:43@tricken いや、「王の手は癒しの手」の場面は『指輪物語』の後半、「王の帰還」の話で、すでに「野伏の馳夫」ではなく、ミナス・ティリスに帰還した王、すなわちパラディンそのものです。
2017-06-27 20:26:47@orionaveugle なるほど、そういう受け取り方でよかったんですね。僕は『王の帰還』時点でのアラゴルンも「高レベルファイター(ロード)」のようなものであって、宗教的属性を持った聖騎士(パラディン)という側面から観るのは躊躇していました。中つ国の人間の信仰について不案内なのもあります……
2017-06-27 20:38:25@tricken @orionaveugle 特に論証などがあるわけではありませんが(というか以下の本、読んでません。すみません)、それもマルク・ブロックの『王の奇跡』 amzn.to/2sN0xLr で取り上げられている観念から来ているのかなと思います。
2017-06-27 22:12:46@kilica @orionaveugle 【ロード(パラディン)の奇跡】:欧州中世の「王の奇跡」(→指輪物語の後半アラゴルンのパワーの元ネタに?) 【クレリックの奇跡】:『黄金伝説』等の中世聖人崇敬の中に観られる治癒の技のほか、中世修道士が、武闘派でありつつ従軍して衛生兵相当の働きをしたことから? みたいな区分でしょうか
2017-06-27 22:36:11@kilica @orionaveugle 今日の今日まで、【クレリックの奇跡(神聖魔法)】【ロードの奇跡(神聖魔法)】【パラディンの奇跡(神聖魔法)】の力の泉源を「まあ似たようなdeitiesからだろ」と思ってたんですが(←雑)、元ネタである地球の神話や信仰は三クラスそれぞれに、少しずつ違いそうですね。話を聞くに。
2017-06-27 22:38:11@tricken @orionaveugle 修道士はいろいろな出自の人がいたので中にかつて戦場に出ていた人もいましたが、特別武闘派というイメージは無いんじゃないかな。どうだろう。
2017-06-27 22:49:40まあ全然専門じゃないので可能性探ってみた程度だけど、薬草師集団としての地位を持つ修道士らが十字軍には兵士として参加していたりするので、聖職者でありながら兵士であり、他人を治療するスキルをもつ者のイメージはこのあたりにあるのかも。 amazon.co.jp/dp/4588010093 twitter.com/tricken/status…
2017-06-27 21:53:29フィクション側アプローチでは、(a1) 中世欧州にも潤沢に聖人の治癒の奇跡にまつわる伝承があった(のでキリスト教の分化が借用されたのでは)という考察 (a2) 指輪物語にも実は『王の帰還』等でアラゴルンが回復魔術使ってる(ので『指輪物語』もクレリック的要素あるよ)という考察、
2017-06-27 21:15:45ケルト神話北欧神話ギリシャローマ神話などで、(キリスト系の神の奇跡に拠らない)回復魔法の伝承があれば、それも参考になってる可能性はあるのかもしれない。ただその辺になると完全に他力本願です。
2017-06-27 21:11:30コメント欄にて「ヒュギエイアの杯」「アスクレピオスの杖」など、治癒の神格ファミリーがいるよね、というコメントを頂きました。ギリシャ神話だとそのあたりかー。
2017-06-27 22:46:58【ドルイド僧(その他古今東西のシャーマン)の治癒の魔術】【ギリシャ系の治癒の神々の加護】【キリスト教系の癒やしの技】【中世欧州における“王の手は癒しの手”】【中世修道院/修道士の「戦う衛生兵」的モチーフ】などが提案されております。
2017-06-27 22:49:39こう眺めると、D&D3e以降には既に整理が終わっていた、治癒能力を持つクラス(クレリック/ロード/パラディン/ドルイド等)は地球の各伝承群とまだ対応しやすい。OD&D前後のクレリックは、まだ古代から近代までの多様な伝承が混ざったまま基本クラスになってた可能性がありそう。
2017-06-27 22:55:32@tricken あ、あと同じくHAWK & MOORからHealing Spellはポール・アンダースンの著作からの影響ではないかとの記述も。 pic.twitter.com/sdZh576Fc8
2017-06-28 07:29:40@alpharalpha_jj 『折れた魔剣』『魔界の紋章』『天翔ける十字軍』! このあたりなら、確かに1950-60sのSF/ファンタジー/ホラー/冒険ジャンルの読み手のあいだでも、ある程度共有度が高そうですね。
2017-06-28 07:49:07@tricken その三作は『Playing at the World』でも言及されてました。『折れた魔剣』は『指輪物語』と同じ1954年。これは北欧神話のエッセンスをスタイリッシュに書き直したもの。参照先が似ているためか、トールキンの『シルマリルの物語』に通じるエピソード多数。
2017-06-28 18:06:28@tricken 『天翔ける十字軍』(1961)は打って変わって、宇宙人の侵略先が、14世紀のイングランドだったら、という思考実験。『魔界の紋章』は異世界往復中世ファンタジーの古典。特に後者には、世界の因果律の「ズレ」を整理するような場面があり、ロジカルな思考がゲーム的に明快。
2017-06-28 18:09:48@tricken 『魔界の紋章』については、新和の「ドラゴンマガジン」2号にあった、オージェ・ル・ダノワ氏の紹介が秀逸。ほか、D&Dに影響を与えたと散々言及されるのは、ディ・キャンプ&プラット『ハロルド・シェイ』シリーズです。邦訳もあります。
2017-06-28 18:12:32