ウィア・スラッツ、チープ・プロダクツ、イン・サム・ニンジャズ・ノートブック #8

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ウィア・スラッツ、チープ・プロダクツ、イン・サム・ニンジャズ・ノートブック】#8

2017-06-28 22:33:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「धियान रखो!」「アイエエエ!」「アイエエエエ!」KRAAASH!交差路を直進してきた車両をアンキタは衝突寸前で回避し、慌ててハンドルを切りながら再発進した。家紋リムジンは当然のように交差路の車両にドリフトしながら衝突し、それを利用して最短時間の90度方向転換を果たす。1

2017-06-28 22:39:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

しかも家紋リムジンの装甲は車対車接触ごときで少しの損傷も受けていない様子であった。アンキタの眉間を冷や汗が流れ落ちた。「全然引き離せない……!」「わたしが食い止めます……まあ!」コトブキは目を丸くした。リアガラスに不意に逆さ向きにヌゥと現れた顔……「忍」「殺」のメンポである。 2

2017-06-28 22:42:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤー=サン!」「アイエエエ!」アンキタが運転しながら悲鳴を上げ、路上の鶏を危うく避けた。「味方です!」コトブキが請け合った。「この人がエドゥアルトを……デシケイターを倒そうとしているんです!」「そのまま走れ」ニンジャスレイヤーはガラス越しに言った。 3

2017-06-28 22:43:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何か……なにかお手伝いを!」コトブキがガラスに口をつけて必死に言った。ニンジャスレイヤーはただ言った。「おれが奴を殺す!」顔は上に消えた。「ニンジャスレイヤー=サン!」コトブキはIRCセッションを繋いだ。「タキ=サンのソーシャルハックの成否が不明……連絡が取れないんです!」4

2017-06-28 22:47:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『わかっている。確かめた』ニンジャスレイヤーの音声が返った事で、コトブキは少し安堵した。少なくともヤケクソ的な無謀攻撃を試みるわけではないのだ。それから自らを少し恥じた。もっと信頼すべきだ。彼女は応答した。「例の攻撃に対する解決策が必要です!まずは距離を取り、凌ぎましょう!」 5

2017-06-28 22:50:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「攻撃!?攻撃ッて何?」アンキタが叫んだ。コトブキは答えた。「デシケイターは先日、テロリストないし対立企業の攻撃を受けました。その折に彼が用いたのは金属の甲虫です。これはアダナス社のテクノロジーですが、彼自身のニンジャとしての力も加わっています」「何だって!?」「虫攻撃です!」6

2017-06-28 22:54:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まあ、いいわ!知らない!」アンキタはギアを切り替え、更に加速した。正面には堆積するゴミの山!果敢に突入し、駆け上る!そしてジャンプだ!放物線を描く社用バン!「アイエエエエ!」「舌を噛まないように!」コトブキが叫んだ。「そしてアンキタ=サン、銃火器はありませんか……ングッ!」7

2017-06-28 22:56:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

社用バンはゴミの川の向こう岸へ着地し、ほとんどスピンしながらドリフトした。ナムサン!恐るべき事には、家紋リムジンも破天荒なルート選択に一切の躊躇なく追随し、放物線を描いて飛んで来ると言う事だ!「どこか……どこかに」アンキタはダッシュボードやハンドル下、シフトレバー付近を探った。8

2017-06-28 23:01:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そしてニンジャスレイヤー!ニンジャである彼は驚異的なニンジャバランス感覚を発揮し、この逃避行の最中に振り落とされる事もなく、ルーフ上でカラテを構えているのだった。「……イヤッ!イヤーッ!」狙いすませた二枚連続スリケン投擲!フロントガラスに立て続けに突き刺さり、真っ白に砕く! 9

2017-06-28 23:03:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フンッ!」ススキは拳でフロントガラスを殴って粉砕し、視界をクリアにした。右手でハンドルを操作しながら左手を突き出した。BLAM!BLAM!BLAM!銃弾をニンジャスレイヤーに撃ち返す!ニンジャスレイヤーは蛇行運転と上体のスウェーを駆使して回避!当たらない! 10

2017-06-28 23:05:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投擲した。銃弾すら受けきる家紋リムジンの車体が抉れ、火を噴いた。「アイエエエ!」出店の商品籠が破砕し、赤と黄色の粉末がぶちまけられた。ゴウ……それら粉塵の中から再び家紋リムジンが現れると、ルーフ上にはニンジャの姿があった。 11

2017-06-28 23:12:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チェイス車両それぞれの屋根上で、二人のニンジャはあらためて互いを見据え、オジギした。互いの耳はニンジャ聴力によってアイサツを聞きとった。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」「ドーモ。デシケイターです」オジギを終えたデシケイターの周囲がキラキラと鈍色に輝いた。例の攻撃の予兆だ。 12

2017-06-28 23:15:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((マスラダ……!)))ナラク・ニンジャが警告を伝えて来る。(((あれは恐らくハチニンジャ・クランが用いたドローン・ジツだ。ヌウウ……しかし注意せよ。近代テクノロジーの力を利用しておるうえに、サツガイの力をも混ぜておる筈。敵を涸らして殺すミナヅキ・ジツに似ておる!))) 13

2017-06-28 23:18:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

対峙の最中もデシケイターはホロキーボードをタッチタイプし、株取引を継続していた。「貴様の目的を聞いておこう、ニンジャスレイヤー=サン」彼はドリフトする車上で問いかけた。「一期一会の言葉もある。せめて俺の納得のゆく説明を吐いて死ぬがいい。何故サンズ・オブ・ケオスの連中を狙う?」14

2017-06-28 23:20:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「サツガイという男を知っているか」ニンジャスレイヤーは問うた。「あるいは、ブラスハートというニンジャを」「サンズ・オブ・ケオスはサツガイにまつわるコネクションだ。くだらん質問だな。しかし……」デシケイターはぴくりと瞼を動かした。「ブラスハートの名まで出たか。よく調べている」 15

2017-06-28 23:23:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……知っているな」ニンジャスレイヤーは声のトーンを読み取った。「貴様を殺す。その際に、奴の居場所を吐かせる」「ンッフフフ!俺の経済活動と無関係のアサシンは新鮮だ。脳に良い刺激になる……」キャバアーン!取引継続!「……落ち着かん男だ」ニンジャスレイヤーは呟いた。 16

2017-06-28 23:30:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「当然だろう。たかが不測の事態ひとつで、何故俺の生き方を変える必要がある?」デシケイターは答え、株をショートした。「……同感だ」ニンジャスレイヤーは目を細めた。「おれは構わん。そのまま死ぬまで手すさびを続けていろ。サンズ・リバーの渡し守も大道芸人は歓迎だろう」「言いおるわ!」17

2017-06-28 23:38:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キャバアーン!ホロキーボード操作!そのさなかにも、鈍色の輝きは次々にデシケイターの周囲に増えてゆく。ニンジャ動体視力をお持ちの方ならばわかる。即ちそれは小刻みに羽ばたく鋼鉄製の甲虫である。ドローン・ジツで動作するアダナス社のプロダクトは、彼の経済活動に支障を与えない! 18

2017-06-28 23:40:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投擲した。チュン!チュンチュン!アダナス・ドローンは飛翔するスリケンの的となり、火を噴いて撃墜されてゆく。しかしドローンは反撃に出られない。追随するのが精いっぱいだ。この位置関係はニンジャスレイヤーにとって有利である! 19

2017-06-28 23:44:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デシケイターが痺れを切らせて車両の飛び移りを試みようものなら、ニンジャスレイヤーは狙いすました対空チョップ突きを心臓に見舞い、一撃で仕留める腹積もりだ。しかし敵もさる者、淡々とホロキーボードを操作し、決してリスクある行動は取らぬ。いずれ攻撃機会が来る事を確信しているのだ。20

2017-06-28 23:46:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤッ!イヤッ!イヤーッ!」チュン!チュンチュン!アダナス・ドローンが爆ぜ散る。そのたび新たな羽虫が飛翔し、隊列を補充する。ニンジャスレイヤーは腕を打ち振り、炎の軌跡から新たなスリケンを生み出す。このまま遠距離攻撃を続け、相手にアウト・オブ・アモーさせるのも手ではある。 21

2017-06-28 23:50:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが……ニンジャスレイヤーは眉根を寄せる。そのような生ぬるい手段で切り開けるジツならば、このデシケイターの余裕は無い!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを数枚同時投擲!デシケイターはブリッジ回避!そして……KRAAAASH!「ンアーッ!」車内から悲鳴!追突である! 22

2017-06-28 23:53:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺の秘書は有能だ」デシケイターは言った。「そのパフォーマンスにブレは無い。つまり」ギャルルルル!粉塵を吐き、必死の足掻きのように社用バンが再加速した。助手席窓からコトブキが上体をはみ出させ、リムジンを銃撃した。BLAMBLAMBLAM!「フン……そちらの"秘書"はどうかな」23

2017-06-28 23:56:14