日向倶楽部世界旅行編第3話「パラオ泊地、観光編」

まとめました
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三隈グループ @Mikuma_company

しばらく船は進む、その間も阿賀野はガイドを続ける 「はーい、この中に艦娘の知り合いがいるとか、艦娘です!って方はいますかー?」 最上達は顔を見合わせ一斉に手を挙げた 「うわぁ、皆さん艦娘でしたかぁ、では所属はどちらですか?」 一同、トラック泊地であると応える

2017-06-27 22:26:04
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「トラック泊地!じゃあ結構ご近所ですね〜、私もガイドの仕事始める前は護衛任務とかしてて、トラック泊地にも寄った事がありますよ〜。」 パラオに比べるとかなり都会的だったと阿賀野は語る 「街並みがすごく整備されていて、日本にいた頃を思い出しちゃいましたね〜。」

2017-06-27 22:27:05
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しばらく最上達と雑談に興じていた阿賀野は、やがてある地点で船に止まるよう合図した。 「はーい、皆さんあちらの方をよく見てください、海の底に何か沈んでいるのが分かりますか?」 彼女が示す先には、朽ちた何かが浅い海に沈んでいた。

2017-06-27 22:28:02
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「あれは零戦ですね…?」 扶桑がそう言うと、阿賀野は大正解とポーズを取る 「そう、あれは第二次大戦時に撃墜された零戦の残骸です。パラオは大戦時日本の軍事拠点も存在し、激戦地でもありました、その爪痕がこうして残っているんですね。」

2017-06-27 22:29:02
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もう少し近くに寄ってみましょう、と彼女は船を誘導する 「しかし、そんな戦争の爪痕である零戦もこんな風にパラオの自然と同化しつつあります、大自然は人間の戦いすら呑み込んでしまうものなんですね。」 海草が張り付き、魚が住み着き、彼女の言うように残骸は自然の一部となりつつあった。

2017-06-27 22:30:18
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その後もいくつかの名所の解説を受けつつ、やがて船は一つの島へと上陸した。 「はーい皆さん、ここはガルメアウス島です!」 ガルメアウス島、ロックアイランドの中でも特に人気のある島である。 大自然に囲まれながらも便利な施設が揃っており、観光の中継地にもってこいの島なのだ。

2017-06-27 22:31:11
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最上達は桟橋からぞろぞろと島に降り立つ、阿賀野の方は近くの小さなドックに行って艤装を外し、そして戻ってきた。 「皆さんお昼はまだですよね、大丈夫!この島にはレストランもきちんとあるので!」 一行は阿賀野の案内でガルメアウス島の奥へと進んでいった。 〜〜

2017-06-27 22:32:07
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〜〜 最上達は昼食を済ませた後、島のビーチでゆっくりとしていた 「ほんっとに綺麗な海だねー」 「そうね」 最上と初霜は裸足で海水に浸りながら、真っ白な砂浜を散歩していた 「全くだ、飲み水になる気すらしてくるな。」 そんな彼らの背後から日向の声がする

2017-06-27 22:33:09
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「そうです…ね?」 最上は日向の方を二度見する、いつの間にか彼女は水着姿となっていた。 「日向さん、いつの間にその格好…」 「折角綺麗な海があるんだ、たまには艤装なしで楽しむのも良いだろう。」 口角を上げながら日向はビーチの売店を指差す、あそこで買ったらしい。

2017-06-27 22:34:12
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「お前達もどうだ?」 よく見ればゴーグルもいつの間にか用意している、軽装だがやる事はやるつもりらしい 「いや…ボクは良いです。」 「私も。」 そうか…と少し残念そうな顔をして、日向はズンズン海の方へと入っていった。 「元気だね…」 「そうね…」

2017-06-27 22:35:03
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遠くで泳ぎ始めた上司を見つつ最上は砂浜に腰掛けた、初霜の方は隣でヤドカリを眺めている。 そんな彼らを大きな影がヌッと包んだ、扶桑である。 「あっ、扶桑さん…」 「扶桑です、楽しんでいますか?」 二人は首を縦に振る、はしゃぐだけが楽しさの表現ではない。

2017-06-27 22:36:12
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「それなら良かった。折角各所を見て回るのですから、見て、聴いて、感じて下さいね。」 「はい、是非そうします。」 二人の答えを聴くと、扶桑は微笑んで隣にしゃがみこんだ。 彼女の服装は見るからに暑そうなもので、最上達はそれが気になって仕方なかった。

2017-06-27 22:37:02
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なので訊いた 「あの、その格好って暑くないんですか?」 扶桑は涼しげな顔で答える 「いえ、これは結構涼しくできているのです。」 「そうなんですか…」 言われてみれば通気性は良さそうな気もしてくる、それでも多湿なこの環境では絶対暑そうではあるのだが。

2017-06-27 22:38:03
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最上と初霜はあまり扶桑と話せていなかったので、良い機会とばかりに話しかけ始めた 「扶桑さん、何が好きなことってありますか?」 「好きな事…ですか?」 「ゲームとか読書とか、スポーツとか、何か趣味みたいなもので」 「そうですね…」 扶桑は少し考え込む

2017-06-27 22:39:03
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やがて答えた 「小さい頃は川で遊んだり、折り紙などをしていましたね、折り紙は今でもたまにやっています。」 へぇ〜と最上は相槌を打つ、思ったより普通だった 「折り紙…鶴が限界かな…」 「私、カニなら折れるわ。」 「すごいなぁ…」 初霜はふふんと得意げな顔をする。

2017-06-27 22:40:12
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そんな二人を見て、扶桑は懐から何かを取り出した。 「やってみますか?」 それは新品の綺麗な赤い折り紙 「えっ?折り紙ですか?」 「良いじゃない、扶桑さんに教えてもらいましょう、折り紙!」 砂浜でかと困惑する最上に対し、初霜は随分と乗り気であった。

2017-06-27 22:41:02
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「…嫌でしょうか?」 「い、いえ、じゃあ是非…」 扶桑は哀しそうな顔をしたが、最上の答えを聞いてニッコリと微笑んだ。 「では初霜さんも知っているというカニを折ってみましょう、まず…」 三人は何故か海岸で折り紙を始めた。 〜〜

2017-06-27 22:42:06
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〜〜 「で、出来た〜!」 折り紙に熱中し、気が付けば最上は一時間近く紙と向き合っていた。 「よく出来ていますね、これがカニです。」 パラソルの下に移動したとはいえ、暑さの中折り紙に集中した最上の額は汗に濡れていた。

2017-06-27 22:43:12
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「はぁーっ、難しかった…!」 「この折り方は初めてだわ…こんなのもあるのね…」 最上だけでなく初霜も同様に汗をかいていた、二人は達成感と共にドリンクを飲み干す。 「二人共よく頑張りましたね、お疲れ様です。」 「ありがとうございます…大変だったけど、達成感がすごい…」

2017-06-27 22:44:22
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三人の前には赤い紙で折られたカニが三匹並んでいる。 「砂浜に置くと雰囲気が出るわね。」 「アハハ、そうだね。」 三人は折ったカニをのんびりと眺め、しばらくしてからその場を後にした。 〜〜

2017-06-27 22:45:09
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〜〜 一行はガルメアウス島を後にし、クルーザーでの観光を再開した。 阿賀野による観光ガイドも相変わらず続き、皆パラオの雄大な自然を満喫していた。 そんな時、あきつ丸が海上で何かを見つけた 「阿賀野殿、彼らは何をしているんでありますか?」

2017-06-27 22:46:01
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あきつ丸の指差す先には、艦娘のように海の上に立つ人間達が居た。 それを見た瞬間、先程まで笑顔だった阿賀野の顔が豹変した。 「…!彼らは密猟者です!すみません、皆さん少し待ってて下さい!」 阿賀野は無線機を取り出し、耳を当てながら密猟者の元へと駆け出した!

2017-06-27 22:47:02
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「こちら阿賀野、保護区域内に密猟者です!交戦許可を願います!」 彼女は空に向けて信号弾を撃ち、密猟者の元へ突っ込む! 「チッ、泊地の奴だ!」 「いや違う、こいつは観光協会だ!」 密猟者達は三人、全員艤装を着けており、うち二人は砲を持って武装している!

2017-06-27 22:48:14
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対する阿賀野は火器の類を持っていない、持っているのは槍のような武器のみ! 「観光協会なら怖がる事はねえ、撃て!」 「舐めないで!密猟なんて、させないんだからぁーっ!」 密猟者達の砲撃、しかし精度は低い為阿賀野はこれを避け、接近する!

2017-06-27 22:49:11
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しかし、接近すればするほど砲撃が当たるリスクは上昇する! 「一発当てりゃ良い!そしたらズラかれる!」 密猟者達は阿賀野を近づけさせまいと撃つ!撃つ!撃つ! 「こんなところでそんなもの撃って、やめなさいよ!」 彼女は避けつつ接近を試みるが、出来ない!

2017-06-27 22:50:06