日向倶楽部世界旅行編第3話「パラオ泊地、観光編」

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三隈グループ @Mikuma_company

【前回までの日向倶楽部】 本格的な出発準備を終え、ヒューガリアンはトラック泊地を発つ。 扶桑のアイデアにより賽の目で目的地を決める事となった彼等は、最初の目的地となったパラオ共和国を目指し、ヒューガリアンの航海を始まった。

2017-06-27 22:00:03
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第3話 「パラオ泊地、観光編」

2017-06-27 22:00:27
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〜〜 トラック泊地を出発した最上達は、これといったトラブルもなく航海を続けていた。 あまりに何も起こらない為、最上は初霜と共に狭い部屋でダラける有様である。 「ゲーム類持ってきておいて良かったね、おかげで暇しないや。」 「揺れないから船酔いしないし、そこは良いわね。」

2017-06-27 22:01:11
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ヒューガリアンの生活スペースは豪華客船の流用、機関部は最新式というだけあり、その安定感たるや抜群のものであった。 「動く家っていうか、ここまで揺れないともうただの家だよね…」 コントローラー片手に最上は呟く、画面ではレトロゲームのキャラがぴょこぴょこ動いている。

2017-06-27 22:02:04
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初霜はその隣で、ダンボールに寄りかかってスマートフォンを弄る。 乗船して間もない為、部屋の荷物はほとんどがしまいっ放しであった。 「初霜何見てるの?」 「旅行サイト。パラオって観光地だから、予め調べておこうと思って。」 「へぇ〜…」

2017-06-27 22:03:02
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パラオ共和国、日本のはるか南に位置する島国である。 トラック島のような焼け野原にこそならなかったものの、この国も深海棲艦出現により大打撃を受けた。 観光業と漁業を主軸に据えている国にとって、海に怪物がはびこるというのは悪夢以上の悪夢だったのだ。

2017-06-27 22:04:03
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最も、現在では落ち着きを取り戻し、以前と変わらないかそれ以上の活気を持つ観光地として栄えている。 艦娘を一目見てみたいという物好きな外国人観光客の存在もあり、艦娘を兵力としてだけでなく、観光資源として利用したビジネスモデルを持つ国、それがパラオであった。

2017-06-27 22:05:10
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「パラオにも艦娘っているよね、パラオ泊地」 コントローラーを置き、最上は初霜の方を向いた 「ええ、最近ではツアーガイドに艦娘を採用する事業も始まってるそうよ。」 「へぇ〜面白いなぁ、トラックはそういうのやるには少し危ないもんね。」 「未だに前線ではあるものね。」

2017-06-27 22:06:17
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二人がそんな風に話していると、船内にアナウンスが響き渡った 「…です、扶桑です。パラオが見えてきました、下船の準備をお願いします…」 最上と初霜はカバンに軽く手荷物を突っ込み、部屋を後にした。 〜〜

2017-06-27 22:07:23
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〜〜 パラオに到着した最上達だったが、時はすでに夕暮れ、手続きだけを済ませて本格的な上陸は翌日に見送り、その日はヒューガリアンにて一泊する事となった。 〜〜

2017-06-27 22:08:29
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〜〜 翌朝、三隈の根回しによって面倒な手続きを軽く済ませた一行は、無事パラオへと上陸したのだった。 「ここがパラオかー」 「トラックに似てるけど、こっちの方が観光地って感じがするわね。」 ベージュの帽子を被った最上と、白いキャップを被った初霜、二人は辺りを見回して言った。

2017-06-27 22:10:03
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初霜の言うように泊地の雰囲気そのものはトラック泊地によく似ている、しかしトラックに比べると、所々に古めかしさがあった。 「パラオは深海棲艦による直接的な被害は少なかったから、道路や建物は昔の物がそのまま使われているんだ。」 日向はサングラス片手に説明した、天気は快晴だ。

2017-06-27 22:11:03
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「ところで扶桑、貴女の言う通りこの島に降りたが…、我々はどうしたら良い?」 日向が問う、皆が半袖の涼しめな服を着る中、扶桑は長く重い着物そのままであった 「そうですね…どうしましょうか…」 顎に指を当てて彼女はうーんと考え始めた、一抹の不安が日向や最上の間に生まれる

2017-06-27 22:12:01
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「…三隈さん、あきつ丸さん、どこか良いところはありますか?」 扶桑が丸投げするように問うと、二人は得意げに笑った 「まあ、そういう事なら」 「ふふっ、我らに任せるであります。」 あきつ丸はタブレット片手にグッと親指を立てた。 〜〜

2017-06-27 22:13:02
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〜〜 「ロックアイランド」 海上に顔を出したサンゴ礁が風や雨で削られて丸みを帯び、その上に木々が生い茂る摩訶不思議な無人島が並ぶ場所。 パラオ共和国の一大観光スポットであり、世界遺産にも登録された偉大な場所である。

2017-06-27 22:15:02
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「予約していた三隈ですわ。」 「お待ちしていました、足元に気を付けてお乗り下さい。」 そんな観光名所を回るため、最上達は小型クルーザーに乗り込もうとしているのだった。 「日向さん、これってボクらは艤装を…」 「それじゃあ観光にならんだろう、これで良いんだ。」

2017-06-27 22:16:03
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六人が乗り込むとクルーザーはエンジンを唸らせて出発する、操舵士も含めて貸切だ。 「綺麗な海ですね。」 と、天井に頭が届きかけている扶桑に 「そうですね、大きな水晶玉の上にいるみたいだ。」 最上はそう返す、彼女の言う通り海の水は底まで見えるほど透き通っていた。

2017-06-27 22:17:10
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船が出発してから少しした頃、スサァァァァッという波音と共に、何者かが海の上を滑って現れた。 「はーい、皆さんこんにちはー!」 それは長く黒い髪をし、爽やかな服装に身を包んだ少女、艤装を背負っている事から艦娘である事は一目瞭然だ。

2017-06-27 22:18:04
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少女はその場でくるりと一回転し、ポーズを取りながら言った 「私、今回皆さんのガイドを担当させていただきます、軽巡洋艦娘阿賀野です!よろしくお願いしまーす!」 きらりん、と言いながら顔の隣でピースを決める、胸元には「パラオ観光協会」の文字、一同は手を叩いて彼女を歓迎した。

2017-06-27 22:19:04
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「ありがとうございまーす。さて皆さん、パラオに来るのは初めてですか?」 一同は互いに顔を見合わせる、三隈とあきつ丸以外は初めてであった。 「そうですかー、では阿賀野の方から、パラオについて軽くご説明いたしまーす!」 阿賀野は船の側面に移動し、最上達の見やすい場所に立つ。

2017-06-27 22:20:06
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「パラオはスペインの植民地、ドイツの植民地を経て、第一次大戦後は日本の委任統治下、第二次大戦後はアメリカの委任統治下に置かれ、冷戦終結後の1994年に独立を果たしました、まだまだ新しい国です。」 阿賀野はジェスチャーを交えながらパラオの歴史を語る。

2017-06-27 22:21:06
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「日本とは関わりの深い国で、なんと日本語を公用語としている州もあるんです!」 深海棲艦出現によって艦隊が置かれる事になった際も、協力的な現地住民によりパラオは一際スムーズに事が運んだのだと阿賀野は言った。 「まあその頃は私、まだキラキラの高校生だったんですけどね。」

2017-06-27 22:22:08
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彼女がそんな風に話していると、彼らの右手に沢山の島が見えて来た。 「はーい、今あそこに見えているのが、"マリンレイク"と呼ばれている場所です。」 いくつもの島に囲まれた塩水湖「マリンレイク」 静寂に包まれた海上の下で、自然の恵みを享受した命達が躍動する幻想空間である。

2017-06-27 22:23:11
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「なんとマリンレイク、名前の通り外海に面して居ない凄いところなんです、おかげでダイビングスポットとして大人気!」 マリンレイクは深いところでも水深4メートルほど、ド素人でも安心の場所なのである。 「でも艦娘やってると、海の中に潜るのちょっと抵抗あるんですよねー。」

2017-06-27 22:24:06
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分かる分かる、最上と初霜は二人して首を振った 「でも本当に綺麗なんですよ!私も何度か潜ったけど、毎回違う発見があるんです!あんなに静かな場所でも、自然ってのは雄大で偉大なんですよねー。」 さりげなくシュノーケリングコースの宣伝をしつつ、阿賀野はマリンレイクの説明を終えた。

2017-06-27 22:25:02