ウィア・スラッツ、チープ・プロダクツ、イン・サム・ニンジャズ・ノートブック #9

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あいつは何なの……?ニンジャ?」「あれはウキヨです。でも、わたしもです」コトブキは振り返らずに言った。彼女の視線の先、あっという間にススキが追いついて来た。「わたしは強いんです。守ります、アンキタ=サン。守るものがあるとき、人は強くなれる……!」 24

2017-07-05 23:40:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ススキは走って来た。勢いのままに、跳んだ。BLAMBLAM!跳びながらススキは両手を突き出し、銃撃を加える。「ハイ!ハイヤーッ!」コトブキは身長ほどの長さのある鉄パイプを振り、致命軌道の弾丸を選択的に弾き返した。背後に着地したススキを振り向きざまに薙ぎ払う。「ハイヤーッ!」25

2017-07-05 23:44:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ススキは前転して難なくボーを躱した。「アイエエエ!」アンキタは倒れ込み、腹ばいで悲鳴を上げた。ススキは前転から水面蹴りを放った。コトブキは軽く跳んで躱した。ススキは流れるようにコトブキのみぞおちに拳を叩き込んだ。「イヤーッ!」「ンアーッ!」くの字!さらに、BLAM! 26

2017-07-05 23:47:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ピガーッ!」コトブキは吹き飛び、転がった。ススキはカイシャクを行うべく、ツカツカと間合いを詰める。コトブキは震えながら身を起こした。ススキは撃ってこない。「賢いですね。貴方、弾切れです」コトブキは言い、腹の損傷を手で払い、親指を舐めて、オイルを吐き捨てた。 27

2017-07-05 23:50:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウキヨ。何をフラフラしている」ススキが尋ねた。「不愉快だ。緊張感が薄い」「そんな事はありません。それに、それを言うなら、わたしだってムカついています」コトブキは素手のカンフー・カラテでステップを踏んだ。「ドンナニモ、ナッチマウゼ!」「お前は勝てない」「そんな事はない!」28

2017-07-05 23:58:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ススキが襲い掛かる!ムエタイの流れをくむ鞭めいたカラテだ。強烈な蹴りが続けざまにコトブキを襲った。コトブキは防御し、掌打を繰り出す。ススキはコトブキの手を跳ね上げ、首を抱え、膝蹴りを繰り出した。「イヤーッ!」「ンアーッ!」強烈な一撃!「このまま壊す」首相撲継続!29

2017-07-06 00:01:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「ンアーッ!」「ンンーッ!」ススキは力を籠め、コトブキを左右に揺さぶった。更なる膝蹴りが襲い来る……ズムッ、ススキは背中に受けた打突を訝しんだ。アンキタだ。先ほどのボーを掴み、後ろからヤリめいて突いたのだ。腰が入っておらず、殺傷するには甘い。だが隙が生まれた。30

2017-07-06 00:04:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイヤーッ!」コトブキは強引に身を深く屈めて潜り込み、担ぎ上げるようにしてススキを地面に投げ、叩きつけた。「ンアーッ!」一瞬の交錯!尻餅をつくように叩きつけられたススキの後ろにコトブキは立ち、後ろからその顔にパンチを打ち下ろした。「ハイハイ、ハイヤーッ!」「ピガーッ!」31

2017-07-06 00:09:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ススキは連続打撃を撥ねのけ、転がりながら離れて、膝立ちになった。アンキタはボーを持って瞬きした。コトブキは攻撃兆候のニューロン・アラートに従い、彼女の盾になるように身構えた。ススキの膝頭が開き、小型ロケット弾が射出された。KABOOOM! 32

2017-07-06 00:12:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」デシケイターはニンジャスレイヤーを殴りつけ、更に殴りつけた。殴りながら彼はしかし、歯噛みした。無意味だ。致命打を食らわせなければ意味が無い。その認識に至った瞬間、不意に彼は虚無の底へ到達したかのような畏怖をおぼえた。 34

2017-07-06 00:17:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

殺せぬならば……逆に致命打をニンジャスレイヤーが打って来るならば……いずれ打って来るのならば?結果的にここまでのカラテ優勢は無に帰する……?デシケイターは血走った目を見開く。その目をニンジャスレイヤーの赤黒の眼光が射る。「イヤーッ!」デシケイターは拳を繰り出す。「イヤーッ!」35

2017-07-06 00:19:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」仰け反ったのはデシケイターだった。ニンジャスレイヤーはデシケイターの腕に己が拳を当て、添わせ……スピンすれすれの車両が高速でガードレールに車体後部を擦りながら曲がっていくようにして……顔面に拳を叩きつけていた。更に彼は拳を引きながらデシケイターの襟元を掴んだ。36

2017-07-06 00:23:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイイ……」ニンジャスレイヤーはその左手でデシケイターの首をグイと引いた。その瞬間の爆発的なニンジャ膂力は凄まじく、デシケイターは緩急に抗えなかった。彼は腕を上げて防ごうとした。ニンジャスレイヤーが横に振りかぶった右腕が消えた。顔面に叩きつけられていたのだ。「グワーッ!」37

2017-07-06 00:26:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは掴んだ手を離さぬ。離さずに再び右腕を横に振りかぶる。「イヤーッ!」再び顔面に!「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」デシケイターは混濁するニューロンを振り戻そうとする。だがニンジャスレイヤーの、拳!「イヤーッ!「グワーッ!」38

2017-07-06 00:30:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「待……」「イヤーッ!」「グワーッ!」その首が殴られた勢いで約160度回転!「何故貴様は俺を……」「言ったはずだ」ニンジャスレイヤーはジゴクめいて言った。「サツガイという男を知っているな」掴まれた襟元が今や赤黒の炎に変じている。ニューロンが焼け始めた。「サツガイ……!」 39

2017-07-06 00:33:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブラスハートはサツガイを呼ぶ方法を知っている筈だ」ニンジャスレイヤーは言った。「奴の居所を言え」「奴は……ハ、ハハ」デシケイターは震えながら笑い出した。「俺は奴に……何の義理も無い……よかろう。せいぜい狂った目的を……果たせ」「言え」「奴がサンズ・オブ・ケオスを創始した」40

2017-07-06 00:37:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

憎悪に加速するニンジャスレイヤーのニューロンは、彼の言葉に偽りがない事を読み取った。デシケイターは咳き込んだ。「ブラスハートはただ奴自身の目的を果たす為にサンズ・オブ・ケオスを作った。俺にはどうでもよい……奴の野心など誇大妄想に過ぎない。利用できるコネクションに過ぎない……」41

2017-07-06 00:42:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「奴は何故サンズ・オブ・ケオスを作った」「サツガイ接触者の体験をサンプルし、サツガイの出現アルゴリズムを解析する為に。事実、奴は……一度成功した……」「……」ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。「ブラスハートは何処だ」「……。……奴はクラバサ・インコーポレイテッドの上級社員だ」42

2017-07-06 00:48:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クラバサ・インコーポレイテッド」ニンジャスレイヤーはその名を焼きつけた。デシケイターはうなだれ、譫言めいて呟いた。「企業軍の責任者……ハ、ハハハハ。神にでもなるつもりか?ナンセンスだ……くだらない……所詮、数字だよ……世界は数字だ。数字を増やすのが素晴らしい。そうだろう」43

2017-07-06 00:52:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ならば何故恐れる」ニンジャスレイヤーは言った。デシケイターは目を剥いた。得体の知れぬ怨嗟を呟きながら、顔もわからぬ者達がデシケイターの足元に湧き集まり、這い上ってこようとしていた。「嘘だ……!あああああ、やめてくれ、やめてくれ……」 44

2017-07-06 01:00:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デシケイターを苛む黒炎は、既に彼の知る情報を搾りつくした。今の彼は、彼自身が我知らず抱えてきたものに呑まれようとしていた。それが何なのか、デシケイター自身にもわかりはしない。数字の陰、澱のように内奥に溜まってゆくものに彼が興味を払ったことなど、終ぞ無かったゆえに。45

2017-07-06 01:03:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは目を閉じ、開いた。その目が燃えた。「イヤーッ!」水平に構えたチョップで、デシケイターの首を刎ねた。「サヨナラ!」デシケイターは爆発四散した。虫たちは篝火に誘われて自死する蛾めいてニンジャスレイヤーの装束に取り付いては、黒く焼かれ、散っていった。 46

2017-07-06 01:07:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アンキタが恐る恐る目を開くと、視界に入ったのはコトブキの小さな背中だった。アンキタは息を呑んだ。生きている筈はない。「ケガはありませんでしたか」コトブキは少し振り向きながら、アンキタに優しく言った。「わたしは頑丈です。心配ありません」「確かにな」ススキが言った。 48

2017-07-06 01:11:49