川本隆史『現代倫理学の冒険』読書メモ集
- arishima_takeo
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「「適応的選好形成」とは、J・エルスター(1940-)がイソップの寓話「酸っぱいブドウ」を「欲望の生成」という文脈で読み破った用語である」(川本隆史『現代倫理学の冒険』p21)。へぇー。それにしても「酸っぱい葡萄の思想史」って誰か書いてるんだろうか。面白い気がするんだけど。
2017-07-16 16:51:15「センとウィリアムズは「功利主義が心理学と政治学を欠落させている」という診断に基づいて、功利主義に伏在するエリート主義を「ガヴァメント・ハウス(植民地総督官邸の功利主義)として抉り出した」(川本隆史『現代倫理学の冒険』p22)。統治功利主義すぎる。
2017-07-16 16:54:45「言うまでもなく、インド生まれのセンにとって「植民地総督官邸」は単なる比喩以上の重みを有している」(川本隆史)。おぉ…。
2017-07-16 16:56:08「「財産所有の民主主義」は、もともと経済学者ジェームズ・E・ミード(1907‐)の用語である」(川本隆史『現代倫理学の冒険』p35)。メモ。
2017-07-16 17:05:30「日本人の外来語信仰――柳父章のいう「翻訳語のカセット効果」(中身は不明でも素敵な何かが入っているはずだ、信じ込ませてしまうこと)――が邪魔をして、きちんと議論すべきことがらが覆い隠されてしまう危険性」(川本隆史『現代倫理学の冒険』)。分かる。
2017-07-17 13:29:39私の関心でいうと「他者」とかナ(「他者のインフレーション」参照)。「ハラスメント」や「暴力」のインフレ的使用に関する心配も同様で、言葉の乱用が必ずしも現実的改善を帰結させるわけじゃないし、反対に凡てが暴力なら暴力でいいじゃん、という開き直り=脱問題化が生じてしまう。
2017-07-17 13:36:21気がついたらいつのまにか、私たちは「ケア」にとり囲まれ、十分な理解もないまま、種々のケアを「ケアする」(気にかける)よう煽られているだけなのではないか。by川本隆史『現代倫理学の冒険』p198
2017-07-17 13:38:33川本隆史『現代倫理学の冒険』読了。前に思想の科学研究会で講演したときに会員だからとメールを貰って、一寸意外に思ったけど、なるほど確かに、重要なところで鶴見俊輔が出てくる。あと、ケイパビリティ・アプローチへの評価高いな。未だにどっかで恣意的な運用になるんじゃないか疑惑があるんだが。
2017-07-17 13:57:25