ゴールデンカモイ #3

護衛棲姫の艦載機のデザインは衝撃的だった 2:https://togetter.com/li/1130260 4:https://togetter.com/li/1132318
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劉度 @arther456

《そちらは陸上戦力を用意してないのか?》「陸軍第128連隊の一部が来てますけど、本格的な交戦は流石に……」ガングートは僅かに顔をしかめた。その表情に提督は違和感を抱いた。だが、モニター越しの会話では、ガングートの心を読むことはできなかった。23

2017-07-17 22:09:08
劉度 @arther456

《いいだろう。戦力不足は否めないが、我々が来た甲斐があると言うものだ。深海棲艦が来たときは、我々に任せるがいい》「お願いします……」ホロムシロの情勢は、いよいよ混沌としつつあった。24

2017-07-17 22:13:01
劉度 @arther456

「ごちそうさまでした!」阿頼度島の小さな灯台。ここに北方棲姫はお泊まりしていた。今日の朝食は、たくあんを乗せたお茶漬けと、ほうれん草のおひたし、そしてリンゴ。シンプルな和食は、灯台に住んでいる老人が作ってくれたものだ。26

2017-07-17 22:15:08
劉度 @arther456

「ごちそうさまでした!」そして、北方棲姫の隣には、もう一人深海棲艦がいた。彼女が、田舎の親戚の子こと護衛棲姫だ。朝ご飯を終えた2人は、歯を磨き、パジャマから着替え、帽子を被って水筒とリュックサックを持った。出掛けるつもりだ。27

2017-07-17 22:18:03
劉度 @arther456

「お爺ちゃん!遊びにいってきます!」「いってきます!」準備ができた2人は、新聞を読んでいた老人に呼び掛けた。「ん?おお、気をつけてな。お昼ご飯のおにぎりは持ったか?」「持った!」「持った!」2人はリュックサックを揺らす。「よしよし。じゃあ、晩ご飯までには帰ってこいよ」28

2017-07-17 22:21:12
劉度 @arther456

「はーい!」元気よく返事をして、北方棲姫たちは灯台を出た。少し歩いた所で、北方棲姫が護衛棲姫に聞いた。「今日は何する?」「たからさがし!」「ほぽっ!?」北方棲姫はびっくりした。お宝があるなんて、初めて聞いたからだ。「なにがあるの?」「わかんない!」「どこにあるの?」「ここ!」29

2017-07-17 22:24:19
劉度 @arther456

護衛棲姫はリュックから古い紙を取り出した。それは、この島の地図だった。山を少し登ったところに、×印がついている。いかにもな宝の地図だ。「おー!」「お爺ちゃんが持ってたの!」「勝手に持ってきたの?良くないよー」「でもね、お爺ちゃん、この地図見てため息ついてたの」「なんで?」30

2017-07-17 22:27:08
劉度 @arther456

「わかんない。でも、お爺ちゃん、お爺ちゃんだから、たからさがしができないと思うの」「ほぽー」確かに、体力的に登山は難しいだろう。「だからごーが探しに行ってあげるの!」護衛棲姫は胸を張った。その姿に、北方棲姫も頷くしかなかった。「わかった!ほっぽも手伝う!」「ありがとう!」31

2017-07-17 22:30:14
劉度 @arther456

2人が山に向かって歩き始めると、空からバサバサと羽音が降りてきた。「ぽ?」北方棲姫が見上げると、鳥のような深海の艦載機が降りてきた。「でっけえカラス!」「タカだよ」護衛棲姫は、降りてきた艦載機の足に結ばれていた紙を手に取った。32

2017-07-17 22:33:09
劉度 @arther456

「ゲー」艦載機は一鳴きすると、また飛んでいった。「あれ、勝手に飛んでくの?」「うん」「ほっぽのヒコーキと同じだ」「そうなの?」「うん。勝手に飛んでくから、今日は城島おじさんの家に置いてきたの」「へえー」護衛棲姫は紙に書かれた文字を読んでいる。33

2017-07-17 22:36:14
劉度 @arther456

「なんなの、それ?」「お手紙。なんか、変な人が出るんだって」「変な人って?」「へんなひと……」護衛棲姫は難しい顔をしている。北方棲姫も手紙を見てみる。難しい漢字がいっぱいあって、読めない。「変な人……」2人揃って、むむむ、と唸るしかなかった。34

2017-07-17 22:39:02
劉度 @arther456

阿頼度島西海岸。やや入り組んだ海岸から、忍び込むように上陸する男たちがいた。日本陸軍第128連隊第3中隊である。彼らは幌筵泊地の出城であるこの島の守備を買って出た。もちろんそれは建前の話で、本当は『アメリアの柩』を探すためだ。36

2017-07-17 22:42:03
劉度 @arther456

「全員、上陸しました」「よし、出発するぞ」榛少佐の号令を受け、第3中隊は山に向かって歩き始めた。「広い島だ」同行していたゾルダーが、辺りを見回しながら言った。寒冷気候のせいか、背の高い木や植物が無く、非常に見通しがいい島だ。「目的地はどこだ?」「ちょっと待て」榛は地図を見る。37

2017-07-17 22:45:11
劉度 @arther456

榛は阿頼度島の詳細な地図を手に入れていた。かつてこの地をソ連から守った、士魂部隊の活動記録の一部だ。砲台や各種施設、更には万一の上陸戦に備えた塹壕や山中の隠し基地の場所などが記されている。榛が属する日本陸軍第11旅団が密かに保管していたものだった。38

2017-07-17 22:48:01
劉度 @arther456

「あの山の、木が生えてない、あの辺りだ。あそこの洞窟に隠し基地がある」「ふむ、ちと遠いな。我々が先行しよう」「……いいのか?」「構わん。フランク、シュタイナー、ついてこい」ゾルダーと2人の部下は、早速走り出した。3人の姿はあっという間に小さくなった。人間の足の速さではない。39

2017-07-17 22:51:03
劉度 @arther456

「先行させて大丈夫なんですか?」部下が榛に聞いた。「大丈夫だ。『アメリアの柩』はそう簡単に持ち運べるものではない」彼は『アメリアの柩』が金塊の詰まった箱だと聞かされていた。旧日本軍が隠した75トンの金塊。現在の価値にして8000億円となる。40

2017-07-17 22:55:04
劉度 @arther456

それを手に入れる権利は、士魂部隊の誇りを継いだ我々にある。榛はそう考えていた。ロシアの連中に渡す訳にはいかない。「行くぞ。野生動物と火山ガスには気をつけろよ」北海道であらゆる敵と戦い続けてきた兵士たちは、島の中心部に向かって進み始めた。41

2017-07-17 22:57:05
劉度 @arther456

【ゴールデンカモイ】#3おわり#4へ続く

2017-07-17 22:58:08