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SF作家・星新一が現代に生きていたら...短編創作SF「現代の星新一」が面白い【定期更新】

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星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

知り合いの知り合いの、そのまた知り合いに大金を払うことで、彼はようやく「むかしの旅行」に行くことができた。 目的地に到着し、南の島の、うみとあおぞらを期待した彼が見たのは、かつての核戦争によって、崩壊した荒野・・・。

2017-07-27 19:16:34

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

部下から勧められたゴーグルを付けてから、仕事が楽しくて仕方ない。 書類を片付けるたびに経験値がたまり、自分のレベルが上がっていく。レベルが上がれば強い敵、すなわち取引先と戦うことができる。 おや、向こうに強い敵がいるようだ。もらえる経験値も相当・・・ 人間と車が衝突する音。

2017-07-29 15:02:06

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「今年の花火も、大きくて、迫力がある。来て正解だったな。」 「ええ、花火はもともと核兵器と呼ばれ、人々に恐れられていただなんて、とても信じられないわ・・・。」

2017-07-29 16:25:43

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

男は人間の価値を測る装置を手に入れた。大金を払い、半年間の予約待ちの末、ようやく届いた品だ。おそるおそる自分に向けると、判定は、価値あり。 安堵した男は、スマートホンを取り出し、1万人のフォロワーに語りかける。「価値があってよかった。」

2017-07-30 20:23:01
星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

しかしツイートを完了させ、スマホを机に置いた瞬間、男に対する判定は、一変した。 1万人のフォロワーがいるアカウントに、アクセスできるスマホを身につけた彼には、確かに価値があった。しかし、ひとたびスマホを手放した彼に、その価値があるかというと・・・。

2017-07-30 20:23:34

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「この組を抜けたいだなんて、お前、それが何を意味するか、分かっているんだろうな。」 「へい、お頭。それは承知の上です。自分の手で箸を持てなくなっても、それは覚悟の上です。」

2017-08-01 19:55:03
星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

そう言うと男は、机の上に両手を差し出した。お頭と呼ばれた男は、部下に指示をし、慣れた様子で、その指を切り落とさせる。 もっとも、再生医療が発達した今では、男の指は30分で生えてくるのだが。

2017-08-01 19:55:37

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「えー、臨時ニュースです。 ただいま、素粒子研究の第一人者、エス博士が新発見をしたとの情報が入っており、確認を進めております。なんでも、素粒子を構成する物質を調べていたところ、

2017-08-02 13:31:47
星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

中から、宇宙のような空間が見つかったとのことで、この発見が正しければ、我々の地球が存在する、気の遠くなるほど広大なこの宇宙も、何かの生き物の、細胞の一つにすぎない可能性が・・・。」

2017-08-02 13:32:14

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

学歴が全ての世界。 人々の頭上には大学名が表示され、争いごとは全て偏差値で決するようになっていた。 「ほう、これは珍しい。W稲田の上位学部とは、少しは骨がありそうだ。」 「K應だからって余裕ぶっこいてんじゃねえぞ、おい。」 両者の攻防は一進一退だった。隣のM治大生が吹き飛んだ。

2017-08-02 14:10:20

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「愛と勇気をお届けする時間が、今年もやってまいりました。この番組では、困難を抱えた人々の挑戦を、みんなで応援する事をテーマにしています。気になる今回の挑戦者は、なんと、生まれつき足が2本しかない人々です。地球という惑星に住む彼らが、必死に登山に挑む様子に、ご声援のほどを・・・」

2017-08-27 12:54:00

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「船長、目的の星が見えてきました。」「ああ、そろそろだな。」 2人の乗組員は、地球から遥か遠く離れた宇宙の彼方に、宇宙船を進めていた。 「しかし、長旅によって犠牲者を出しながら、こんな遠くの星にやってきて、何か価値はあったのでしょうか。」

2017-09-15 22:09:15
星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「悲観的になるのではない。ほら、見てみなさい。我々の予想通り、生体反応がある。」 船長が指摘した通り、船内のメーターは、生命の存在を示していた。 「犠牲者を出してでも、ここまできた甲斐があったではないか。我々はようやく、人類史上初めて、地球外生命体に出会うことができそうだ。」

2017-09-15 22:09:50
星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

その時、2人が乗った宇宙船は、音波を受信した。 「さあ、やってきましたのは、惑星ナンバー3、地球の船のようです。数々の惑星に、無作為に生命を誕生させ、我々の星に到達するまでの、進化のスピードを予想するこの大会、先頭から9、4、3と予想された皆さんには配当金が・・・」

2017-09-15 22:10:32

星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「博士、ようやく解析に成功しましたね。」 「ああ、多少読みにくさはあるが、文字列は認識できる。当時の文化を知る、大きな一歩となるだろう。」 博士達の目の前にはスクリーンが浮かび、そこに無数の文字が映っていた。

2017-09-16 00:23:11
星新一っぽい話を考える人 @tsuchi_yami

「それにしても、仮想空間で、文字や画像しかやり取りできなかった時代とは、かなり不便だったでしょうね。今では脳に埋め込まれた端末が処理してくれる仕事も、手のひら程の大きさの端末が行っていたようですし。」 「我々の時代だって、後から見れば不便な時代さ。文明の進歩とはそういうものだ。」

2017-09-16 00:24:25
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