ゴールデンカモイ #4

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劉度 @arther456

「ただいまー」「おかえ……うえええ!?なにしてるんですかあなたたちはー!?」ボコボコにされたロシア人を、朗らかな顔で引きずってきた杉坂に、やましろは悲鳴を上げた。「いや、タバコ吸ってたら襲い掛かってきたからさ。とりあえず捕まえた」「とりあえずでここまでやります普通!?」23

2017-07-20 22:10:03
劉度 @arther456

やましろの悲鳴は無視して、杉坂と不知火は手近な木にロシア人たちを縛り直した。「おい、起きろ」杉坂がロシア人たちの頬を叩く。目を覚ましたロシア人たちは、状況を理解すると、喚きながら暴れ始めた。あいにく、杉坂はロシア語に詳しくない。24

2017-07-20 22:12:03
劉度 @arther456

「誰かロシア語わかる奴いるかー?」「では、不知火が」杉坂と代わった不知火は、早速ロシア人たちに拳を振り下ろした。「イヤーッ!」「グワーッ!」「では質問します。イヤーッ!」「グワーッ!」質問よりも殴打の回数の方が多いのは効いたようで、ロシア人たちは早速何事か話し始めた。25

2017-07-20 22:15:06
劉度 @arther456

「ふむ、なるほど、そうですか。イヤーッ!」「グワーッ!」「他に何か隠していませんか?イヤーッ!」「グワーッ!」「容赦ないわねえ……」やましろは真っ青な顔でインタビューの様子を伺っている。「そうか?」一方、杉坂は平然とした顔でオハウの残りを食べていた。26

2017-07-20 22:18:01
劉度 @arther456

「コロポックル……?」不知火が拳を止めた。「え?」妙なつぶやきに神威が反応した。不知火が首を傾げながら戻ってくる。「お疲れさん。鍋、冷めないうちに食べたほうがいいんじゃないか?」「そうですね。では早速いただきます」「いや、そのまま食べるの!?」27

2017-07-20 22:21:14
劉度 @arther456

やましろの叫び声に、不知火は一瞬、何のことか、といったように首を傾げたが、すぐに気付いた。「ああ、汚れていましたか。申し訳ありません」不知火は血で汚れた手袋を脱ぎ、椀と箸を手に取った。左手人差し指の指輪が光る。やましろが言いたいことはそうではないのだが、もう諦めた。28

2017-07-20 22:24:12
劉度 @arther456

「ところで、あの人たちは何だったんですか?」神威が聞くと、不知火が答えた。「『アメリアの柩』のことを嗅ぎつけたロシアンマフィアです。一攫千金を狙ってこの島に来たら、私たちに出会ったと」「誰から聞きつけたんだ、それ」「彼らも詳しくはわからないそうです」「ふうん……?」29

2017-07-20 22:27:01
劉度 @arther456

「で、さっきのコロポックルって、なんだったの?」「……コロポックルをこの島で見たそうです」コロポックルとは、北海道に伝わる妖精の一種である。「ただ、本物ではありません。特徴を聞いた感じだと、不知火たちの鎮守府に所属する艦娘のことだと思います」30

2017-07-20 22:30:13
劉度 @arther456

「なんだ、他にも艦娘がいたのか?」「すみません……この島に来ていたとは思いませんでした」不知火はどことなく困った様子であった。「もしも出会えたら合流したいのですが、いいですか?」「俺はいいぜ」「私も」神威も黙って頷いた。それで、この先の方針は決まった。31

2017-07-20 22:33:07
劉度 @arther456

「ここ?」「ここ」地図の通りに山を登り、松林を抜け、塹壕を乗り越え、ほっぽちゃんとごーちゃんはいよいよお宝の隠し場所にやってきました。崖崩れを起こした山の斜面に、大きな穴が空いていました。きっとここがお宝を隠した洞窟です。「入ってみよう!」「うん!」33

2017-07-20 22:36:11
劉度 @arther456

なんだかゴロゴロしている岩とか木を乗り越えて、2人は洞窟の中に入りました。「くさい……」「くちゃい……」洞窟の中は、洗っていない雑巾みたいな臭いでむわっとしてて、2人は顔をしかめました。「暗いよう」「かいちゅうでんとう!」ごーちゃんは灯台から持ってきた懐中電灯を点けました。34

2017-07-20 22:39:10
劉度 @arther456

「ぴえっ!?」明るくなった洞窟の中はぐちゃぐちゃで、端っこに変な機械とか家具の残骸、折れ曲がった銃や刀が退けられていました。その中には、ネオエゾシカやユキウサギの骨も混じっています。「きちゃない……」まあ、深海棲艦なんで死体にビビったりはしないんですが。35

2017-07-20 22:42:02
劉度 @arther456

「お宝あるの?」「探してみよう!」ゴミの山を片っ端からひっくり返して、ほっぽちゃんとごーちゃんはお宝を探し始めました。「ごっ!」しばらくすると、ごーちゃんが何かを見つけました。「なに?」「はこ!」ガラクタの山の中に、人1人ぐらい入れそうな、大きな箱がありました。36

2017-07-20 22:45:02
劉度 @arther456

「きっと、たからぼこ!」「そうだよ!すごい、ごーちゃん!」2人は早速宝箱を開けようとしました。だけど、どうやっても開きません。「……そのまま持っていこうか?」「そうしよ」そこで、宝箱をそのまま持っていくことにしました。37

2017-07-20 22:48:01
劉度 @arther456

「ぽっ」「ごっ」さながらお神輿のように、2人は宝箱を入り口まで運んでいきました。しかし、前を歩くほっぽちゃんが急に止まりました。「ふぎゅ。どうしたの?」後ろのごーちゃんが見ると、知らないお姉さんがほっぽちゃんの前に立っていました。「ぬいっ」おやおや、穏やかではありませんね。38

2017-07-20 22:51:01
劉度 @arther456

【ゴールデンカモイ】#4おわり#5へ続く

2017-07-20 22:52:03