日向倶楽部世界旅行編第7話「パプアニューギニア・ウェワクの一日」

ジャングルに現れた謎の襲撃者たちを振り切り、日向達は負傷したジャンボを預ける為ウェワクの病院へとやって来た。 病院にジャンボを預け、日向達はホテルへ戻ろうとするが・・・
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回までの日向倶楽部】 扶桑です。 ヒューガリアンへと帰還する為ジャングルを進む私達の前に、なんと凶暴なサルが現れました。 運転手のジャンボさんが重傷を負いましたがなんとか生還した私達、謎は多く残っていますがひとまず一件落着、病院へ急ぎましょう。

2017-07-25 21:30:10
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第6話「パプアニューギニア・ウェワクの一日」

2017-07-25 21:30:28
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〜〜 瑞雲でウェワクへと戻って来た日向達は、重傷のジャンボを預ける為病院へとやって来ていた。 「これだけの出血でよく生きていましたね…」 治療を終えた医師は開口一番にこう言った、言われた方も言われた方で、扶桑以外の皆がその言葉に同調した。

2017-07-25 21:31:02
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今朝会ったばかりである彼の連絡先や親類などを日向達が知るはずもなく、医師には目が覚めたら本人に訊くように言った。 「さて、我々は一度ホテルに行こう、チェックインは三隈が済ませて…」 そこまで言って、日向は大きなくしゃみをして鼻をすする。

2017-07-25 21:32:03
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「日向さん大丈夫ですか?なんか目も赤いですけど…」 「確かに痒いな、戦ってる間に変な花粉でも吸ったか…」 チリ紙で鼻をかむ彼女の目は真っ赤に充血していた、ハタから見れば重度の花粉症である。 「お前達は平気か?」 最上と初霜は首を横に振る、ついでに扶桑は元から目が赤い。

2017-07-25 21:33:02
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「なるほど…私がツイていないだけか。」 やれやれと肩をすくめ、日向は病院の外へと歩き出した…が、最上達が着いて来ない。 「どうした?行くぞ。」 「…大丈夫ですか?」 最上は怪訝そうな顔で声をかける、普段は堂々と歩く日向の足元が、いつになくフラついていたからだ。

2017-07-25 21:34:02
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「私は別に…」 何ともない、そう言おうとした瞬間だった 「日向さん!?」 突然、突風に煽られた木がポッキリと折れるように日向は転倒した、そして何故か足が上手く動かず、そこから立ち上がる事が出来ない! 「な、なんだ…!何が、起きてる…」

2017-07-25 21:35:05
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只事ではない状況に最上達が駆け寄る、日向は自分の身に何が起きているのか分からなかった。 骨は折れていない、内臓も無事、それなのに身体が動かないのだ、最上達の手を借りても、地に足をつけることすら出来ないのだ。 「大丈夫ですか!」 日向の様子を見て看護師達も駆け付ける。

2017-07-25 21:36:02
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「あ、あまり大丈夫では…」 看護師に英語で状況を伝えようとする、しかし呂律が回らない (な、なんだ…、何が起きている…!) 息を荒げ、脂汗をかきながらも冷静に状況を判断しようとしたその時 「日向さん!?」 胸を貫くような激痛が走り、彼女はそのまま気を失った。 〜〜

2017-07-25 21:37:01
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〜〜 …ここは何処だ? 「…………」 誰だ?そこに居るのは誰だ? 「………………」 おい、待ってくれ、何処へ行くんだ 「……………」 待て、ここは何処なんだ?私は何をしてる?教えてくれ、知っているんだろう? 「………」 待て!おい! 〜〜

2017-07-25 21:38:02
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〜〜 気がつくと、日向はベッドに寝ていた 「む…夢か…ここは何処だ?」 目線を動かして辺りを注視する、置いてある物からしてここは病院の個室らしい。 「…なんだこれは」 日向が煩わしさを感じ身体をよく見ると、自身の身体に点滴やら酸素マスクやらが着いていた。

2017-07-25 21:40:03
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(そうか…病院で倒れたのだったな…) 冷静に事を思い出していると、彼女の視界に最上と初霜の顔が入ってきた。 「日向さん、気が付いたんですか!?」 「大丈夫ですか!私の事分かりますか!?」 心底不安げな顔の最上、今にも泣きそうな初霜、日向は若干戸惑いながら返事をする。

2017-07-25 21:41:04
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「良かった…良かったわ…」 返事を聞いた途端、泣きそうだった初霜は泣き出して最上に縋り付く、状況がイマイチ飲み込めない日向 「おいおい、どうしたんだ突然…」 「それはこっちの台詞ですよ、突然倒れて心配したんですから…」 初霜の肩を叩きつつ最上は言った、顔には疲れが見える。

2017-07-25 21:42:01
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詳しくは分からないが相当な心配をかけたらしく、日向は軽い罪悪感を覚えた 「じゃあボクは先生を呼んでくるから、日向さんに説明してあげてね。」 「うん…分かったわ。」 初霜を置いて最上は病室を出る、残った彼女は涙を拭って椅子に腰掛けた。

2017-07-25 21:43:01
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「心配かけたようだな…」 よっこらせと身体を起こす、その様子を見て初霜は改めて安堵の溜息を吐いた 「ホントです、丸二日も目を覚まさなくて、死んじゃうかと思ったんですよ。」 「ふ、二日…?」 想像以上に大ごとだったらしく、日向は思わず自分の顔に触れた。

2017-07-25 21:44:01
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そんな風に困惑しつつ説明を欲していると、病室に最上と医師が入って来た 「失礼します、目が覚めたそうですね。」 少しイントネーションの変わった日本語で医師は言った、日向はひとまず自分の身に何が起きたのかを尋ねた。 「二日も気を失っていたのだろう、私に一体何が?」

2017-07-25 21:45:01
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彼女の問いに、まあ気になりますよねぇと医師は頷いた 「ピトフーイ…という名前を聞いた事はありますか?」 「ピトフーイ?」 ピトフーイ、聞き慣れぬ言葉に最上と初霜は首を傾げる、しかし日向はこの言葉を知っていた。 「ピトフーイ…世界でも珍しい、毒を持った鳥達の呼び名だ。」

2017-07-25 21:46:01
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「毒を持った鳥なんているんですか?」 「凄いわねぇ」 ギョッとする最上と感心する初霜、毒を持った鳥はここニューギニア島に何種類か実在する。 「正確には餌にその成分が含まれていて、それを自衛に使っている…これで合っているか?」 日向はそう付け加え、医師の反応を仰ぐ。

2017-07-25 21:47:01
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「正解です、よくご存知ですね。」 医師は手を叩いて称賛する、その様子を見て日向は訝しむように訊いた 「…まさか、私がその毒にやられたと?」 「そのまさかなんですねぇ、ステロイド系神経毒と全く同じ症状が診られました。」 「そんな馬鹿な…」

2017-07-25 21:48:02
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医師の話によればこの病院以外の場所で倒れていれば死ぬか、仮に生きていても後遺症が残っていただろうとの事だった。 「毒の手当てに関して地元の我々はプロフェッショナル、そこで倒れたのは不幸中の幸いと言ったところですね。 見慣れないヤバそうな生き物には触れないよう注意して下さい。」

2017-07-25 21:49:09
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「ああ…気をつけるよ、ありがとう。」 忠告に苦笑しながら答える、そんなものに触れた覚えはなかったが、毒についてなら心当たりがあった。 (この傷から盛られたのか…本当に殺しにかかられた様だな…) 包帯の巻かれた二の腕を抑え、日向は思わず息を呑んだ。

2017-07-25 21:50:03
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その後、医師は軽く説明をして病室を後にした。 目さえ覚めてしまったのならもう安心、一日様子を見て何もなければ退院との事だった。 「お金の事は私がやりますから、ゆっくり休んでらして?」 電話ごしに三隈からそう言われ、日向は精神的にもホッと一息つく事が出来た。

2017-07-25 21:51:02
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三隈からの電話を終えると、日向は院内のシャワーを浴びた、ジャングルでの汗をようやっと流せた為、とても清々しい気持ちになる。 「全く…こんな所、見舞いにしか縁がないと思ってたんだがな。」 髪を乾かし、鏡を見ながらため息一つ、日向は病院というものがあまり好きではなかった。

2017-07-25 21:52:01
三隈グループ @Mikuma_company

複雑な気分になりつつ、それでもなんだかんださっぱりした彼女は、スリッパの音をスタスタと立てて病室へと戻った。 「あっ、お帰りなさい。」 戻ると、そこにはまだ最上と初霜が居た 「なんだ…お前達まだ居たのか、もう私は平気だぞ。」 そう言いつつベッドに腰掛ける、結構硬い。

2017-07-25 21:53:01