ゴールデンカモイ #8

「ソ連と聞いて病院から走ってきました」 7:https://togetter.com/li/1133617 9:https://togetter.com/li/1134867
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劉度 @arther456

「きゃあああっ!?」爆撃?否、砲撃である!北端上陸姫は気が付かなかったが、スツーカの下には巨大な対戦車砲が吊り下げられていた。それが泊地へ一方的に砲撃を加える砲台小鬼たちに逆襲したのだ!「ありえないわっ!」北端上陸姫は悲鳴を上げた。23

2017-07-27 22:06:11
劉度 @arther456

その時、北端上陸姫の脳裏にあるヴィジョンが蘇った。彼女の基になった、ソ連上陸軍の思念の一欠片だ。ナチスドイツと戦った大祖国戦争。そこで恐れられていた、地上攻撃に特化したスツーカ"カノーネ・フォーゲル"。今、襲い掛かってくる機体は、その大砲鳥に間違いなかった。24

2017-07-27 22:10:00
劉度 @arther456

再び、スツーカからの砲撃。砲台小鬼の密集地帯に、的確に打ち込んでくる。こちらの布陣を知り尽くしたかのような攻撃だ。北端上陸姫は思い浮かんだ単語に困惑しながらも呟いていた。「ソ連人民最大の敵……何よそれ!?」偉大なる祖国が恐れた、たった1人のパイロットの仇名だった。25

2017-07-27 22:12:03
劉度 @arther456

「イワンめ、性懲りもなく新型を作りおったか」幌筵泊地から出撃したスツーカの妖精さんは、特に気負うこともなく攻撃を続けていた。対空砲が至近距離で炸裂するが、慣れたものだ。砲台小鬼の一群に照準を合わせ、引き金を引く。37mm砲弾が、小鬼の群れを吹き飛ばした。そして弾が切れた。26

2017-07-27 22:15:04
劉度 @arther456

「よし、戻るぞ!」僚機に帰投の合図を出し、隊長機もターンして幌筵に機首を向けた。「うわああああ!?」後ろに乗った妖精さんが悲鳴を上げる。「そう騒ぐな、ロースマン」「誰がロースマンですか!小林です!」機銃手がいなかったので、その辺の整備妖精さんを拉致したのは失敗だった。27

2017-07-27 22:18:01
劉度 @arther456

「ロースマン、周りを見てくれ。迎撃機が上がってきているとまずい」「小林です!何で整備員なのに私が……うえぇ!?」ロースマンが悲鳴を上げた。「どうした!」「敵が、敵の飛行機がいっぱい!」隊長妖精さんが振り返ると、深海爆撃機が大挙してこちらに押し寄せていた。28

2017-07-27 22:21:08
劉度 @arther456

「うわあああ!?」「いかん!」隊長妖精さんは操縦桿を握り、一気に降下。1機が追いかけてくる。「敵が、敵が……!」「ロースマン、とにかく撃ちまくれ!」スツーカの自衛手段は後部座席の機銃に限られている。ロースマンは慌てて機銃を撃つが、まるで当たらない。29

2017-07-27 22:24:13
劉度 @arther456

隊長は操縦桿を倒し、加速しながら泊地上空に入った。森の上を高速飛行し、爆撃機を振り払おうとする。ヘンシェルなら上手く敵を追い払ってくれるのだろうが、今ここにいるのはロースマンだ。「押し潰されそうだ、うーん」ろくに反撃もしないまま、ロースマンはGで失神してしまった。30

2017-07-27 22:27:02
劉度 @arther456

「まったく、なってない」急上昇から一転、急降下する。爆撃機はしっかりついてきて、機銃を撃ってくる。森に突っ込む前に機首を起こす。すると、撃つのに夢中になっていた追手は上昇が間に合わず、そのまま山へと突っ込んだ。「よし!」枝が機体の腹をこすったが、隊長的には問題ない。31

2017-07-27 22:30:12
劉度 @arther456

スツーカは滑走路を目指して飛ぶ。穴だらけだが、着陸できないことはない。最悪、横の畑に不時着すればいい。その後は補給して、また出撃だ。まだまだソ連の上陸部隊は残っている。「休んでいる暇はないぞ、ロースマン!」後部座席のロースマンは、まだ失神していた。32

2017-07-27 22:33:07
劉度 @arther456

【ゴールデンカモイ】#8おわり#9へ続く

2017-07-27 22:34:02