140ssログ5,6,7月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

その刀は気高く凛々しく美しい。岩融は膝丸をそう評する。勿論、良い面だけではなく、悪い部分もあるにはあるのだ。生真面目で融通が効かない、奉納が長く世間知らずだ、などと。まあ、一番の欠点に比べれば、然したることはない。あにじゃあああっ。絶叫は最早日常の一幕となっている。(髭膝+岩融)

2017-07-09 18:41:58
やまたに @mw_snc

共に居たのは何代か。刀匠は違う。もっと言えば、伝わる弟刀は鎌倉生まれで。驚きだなぁと鶴丸は彼らを見つめる。同じ顔、対の衣装。よく似た逸話は時に混じりあって。人が双剣と定めればそう現れるのか。鶴丸はお互いしか映さぬ彼らをじっと見て、やはり不思議なものだと思った。(髭膝+鶴)

2017-07-10 07:07:06
やまたに @mw_snc

冷えるであろう。声に宗三は顔をあげる。宝冠を外したその髪は、待ちびとの兄と似た水色だ。夜の縁側で足をぶらりと揺らして、宗三は返す。なら、上着でも貸してくださいな。それはどこぞの短刀の役目ではないか。ええ、ですから冷えてもいいんです。話していると、ほら、廊下の奥から。(薬宗+山伏)

2017-07-10 19:18:44
やまたに @mw_snc

君は、どんな顔をするんだろう。歌仙の言葉に薬研は肩を竦める。こういうときは、大抵ろくな話じゃない。君は、この戦いが終わるときどんな顔をするのかな。君が不要になる日の話だ、と暗に言われてやはりろくでもないと思う。一番心に焼き付くのはどんな表情だ。問い返す自分もまた。(薬宗+歌仙)

2017-07-10 19:29:05
やまたに @mw_snc

小さな手を加州は取った。専用のやすりでね、こう削るの。教えながら、小さな爪を研いでいく。こまめに削るのが一番いいけど、難しいなら伸びても尖らないように形を丸くしておいて。ふうん、と答える声と裏腹に視線は真剣で。誰のための真剣さなのかって、わかりやすくて笑ってしまう。(薬宗+加州)

2017-07-10 20:53:56
やまたに @mw_snc

桃色のマニキュア、桜の香水。最近の清光は楽しそうだと安定は思う。浴衣にセーラー服、それからべびいどおる。お前が着るの、げんなりしながら尋ねれば、宗三にあげると即答されて。お前、あんまりさ、人の恋路で楽しんでると蹴られるよ。楽しそうだから、とめないけど。(薬宗+安定)

2017-07-10 21:33:03
やまたに @mw_snc

だって贋作が。そんな会話に薬研は耳を傾ける。君たち左文字は仲がいいかもしれないけど。あなたが歩み寄ればよっぽど仲良くなれますよ。かれこれ、一刻ほど堂々巡りだ。時間が空いたからと、来てみた薬研も一刻戸口で待ちぼうけである。長曽祢呼んできてやろうか。なんて、思ってしまう。(薬宗+蜂)

2017-07-15 07:16:06
やまたに @mw_snc

あいつが迷惑をかけた。謝る姿はまさに兄、なのだけれど。一刻も付き合わせてしまったと聞くが。そこに一切嘘はないけれど。宗三は長曽祢の旋毛を見ながら思う。律儀な男だ。律儀過ぎるので、怒れない。旦那、詫びるならふたりにさせてくれや。焦れた薬研が肩を竦めてそう促した。(薬宗+長曽祢)

2017-07-15 07:20:12
やまたに @mw_snc

俺が写しだから、と山姥切は溜息を吐いた。写しだから包丁で手を切って、写しだから医務室に誰もいなくて、写しなのに勝手に絆創膏を使ってしまって、だから戻った音に隠れてしまった。ああ、どうして俺はこうなんだ。膝を丸めて机の影。その向こうで医務室の主と恋人の甘い、声が。(薬宗+山姥切)

2017-07-15 17:40:42
やまたに @mw_snc

悪かったな、と薬研が包みを渡す。山姥切は首を傾げて受け取った。医務室にいたのに中々気付かなくて悪かった。ああ、と思い出して目を逸らす。そりゃあ詫びだ。言われて包みを開いて見れば、誰が選んだのかわかりやすい上生菓子が黄と翡翠の色を浮かべていた。(薬宗+山姥切)

2017-07-15 17:46:09
やまたに @mw_snc

本差し足り得る打刀が彼側にいるのが実は好きではない、と石切丸は思っている。加州や陸奥守は接触が多いし、和泉守は脇差の扱いが一等うまい。けれど、と目の前の光景に石切丸は嘆息した。彼を怒れないのはその態度故か。妬かれちゃったね。脇差に寄り添う男が指で狐を作っている。(石かり+鳴狐)

2017-07-15 17:53:54
やまたに @mw_snc

本気が見てぇなぁ。同田貫の挑発に石切丸は無言を通した。その名、本気を出せばさぞ強いんだろう。瞳が緩く紫電を宿す。黙っていてくれ。低い声は地を這って。なぁ、あんたが敵を殺るまで青江は看といてやるからさ。ああ、そうだね。うっすらと笑んで、彼は閃光の如く刃を振った。(石かり+同田貫)

2017-07-15 18:01:25
やまたに @mw_snc

夜に動く気配に敵かと思った。同田貫は密かに廊下に出る。揺れる白影に幽霊かと思った。切れるかと暫し悩んで手を伸ばす。わ。と小さく悲鳴をあげたのは、逆に霊が避ける脇差で。なんだお前か。その声に。彼の部屋から戻ったこと、皆には内緒にしておくれ。今度は、林檎かと思った。(石かり+同田貫)

2017-07-15 18:06:33
やまたに @mw_snc

青江の臭いがする。御神刀とは思えない獣じみた感想に、江雪は眉を寄せた。しゃんぷう、を借りました。それが全てでそれ以上はない。同じ長髪のため、彼のが最も合うのだ。青江の臭いだなぁ。気に食わないとは言わずに、彼は繰り返す。次回から忘れません。誓えば、にこりと笑うのに。(石かり+江雪)

2017-07-15 18:32:32
やまたに @mw_snc

ふふと青江が笑う。がははと陸奥守も笑う。面白くないな、と石切丸は溜息を吐いた。四国の繋がりか、内緒話ではないけれど方言の混じる会話は意味もわからない。妬いてるの。わかりやすいよね。三条が可愛いものだな。僕の可愛いひとなのさ。訳せばそれだけの会話だと、彼は知らない。(石かり+陸奥)

2017-07-20 17:48:52
やまたに @mw_snc

そこの大太刀さぁ、と加州は声をかける。この初期刀がそう呼ぶのは、同じく初めての太刀である石切丸だけだ。次の戦場だけど。手帳になにか書く手を石切丸は遮った。すまないね、今は青江といるから。戦時中だってわかってるかい。そう諭したいのに、僕は嬉しいのだから困ってしまう。(石かり+加州)

2017-07-20 17:53:27
やまたに @mw_snc

縁もゆかりもないってのに。和泉守は寄り添うふたりを見た。生まれも育ちもばらばらのくせに仲がいい。まるで自分と国広みたいに。そう告げると、彼らは幸せそうに笑う。心だけで繋がれるものだね、と。前の主も同じ刀匠もなく、刀は番になれるのだ。こちらまでなんだか嬉しくなる。(石かり+兼さん)

2017-07-20 17:59:39
やまたに @mw_snc

四国の会だね、と蜂須賀は青江の隣に座った。土佐は戦場だけどねぇ。青江が茶をふたり分淹れる。今日の議題はなんにしようか、香川殿。惚気でも聞いてくれるかい。それはもう、四国は関係ないよね、と蜂須賀は心中で笑む。この友人がそれを望むなら、聞くことはちっとも苦ではないのだ。(石かり+蜂)

2017-07-20 18:05:36
やまたに @mw_snc

白い布に金の髪。似ているな、と彼は言う。この似ているは嫌いではないと山姥切は思った。君の本科も同じ容姿だろうか。ああ多分、俺と似ている、と思う。普段なら比べられるのも同じとされるのも、嫌だと思うことなのに。そうか、彼も兄者に似ているか。彼の基準はそこしかないから。(髭膝+山姥切)

2017-07-20 20:12:47
やまたに @mw_snc

あにじゃ、と甘えた声が聞こえた。あにじゃ、あにじゃ。獅子王は急いでこの場を離れることにする。今が昼間だってことはこの際置いておかねばならない。ぐるる、と獣の唸りを後に廊下を走る。こちらの意思に問わずとも、獅子同士があんな場面で出会えば戦うのが野生の自然というものだ。(髭膝+獅子)

2017-07-20 20:18:44
やまたに @mw_snc

君は、と蜂須賀は問う。君は彼を弟と本当に思っているのか。別に、弟じゃなくても僕はいいんだよ。彼は笑う。兄弟なんて、源の兄弟からの象徴だろう。あのこは僕の半分、それだけ。羨ましいな、と思ってしまうのは間違いだろう。なら、兄でなくとも、憧れは残していいだろうか、なんて。(髭膝+蜂)

2017-07-20 23:05:26
やまたに @mw_snc

負けた方が美しいのだ、と彼は言う。目的一つ叶えることが出来ず、哀れに散ったものこそが美しいのだ。膝丸の言葉は、安定にもよくわかる。あの人は、偉大な伝説となりすぎた。だが俺は、勝者として凛と立つ兄者が美しいと思う。それは、僕にはよくわからないけれど。(髭膝+安定)

2017-07-21 23:20:02
やまたに @mw_snc

兄弟でなくともいいと、彼は言っていたけれど。蜂須賀は膝丸に言ってみた。彼は、それでもいい、と言うのだろうか。悲しむだろうか。そうだな。唇が開かれる。刀に血の繋がりはいらぬから、弟が兄と呼べば否応なしにそれは兄だ。弟の特権だぞ、と一つ、黒髪の打刀を指さした。(髭膝+蜂)

2017-07-21 23:52:48
やまたに @mw_snc

鬼の妻は蛇でしょう。なあにそれ、と髭切は首を傾げた。問われた歌仙は、楽しげに答える。夫の凶行に、顔色ひとつ変えなかった妻の話さ。つまりなにが言いたいのだ。膝丸が眉間に皺を寄せる。おや、誉めたつもりなのにと歌仙は肩を竦めた。君たちがお似合いだってことだよ。(髭膝+歌仙)

2017-07-23 17:54:21
やまたに @mw_snc

コンと作った手に、髭切が同じ形を作るから鳴狐は指を開いた。ガオ。呟きにおやおやと楽しげに髭切が笑う。なんだ、と近寄る膝丸にはそれぞれ指をすぼめてくねらさせて、シャーと。一体何なんだ。疑問符は浮かべども和やかな日常だ。膝丸も狐を作って、鳴狐の額と髭切の唇にくっつけた。(髭膝+鳴狐)

2017-07-23 19:15:29