日本における奴隷制度について 糸満売り 加えて売春について 波島 さんの意見と書籍の紹介

日本で行われた奴隷労働、売春と現代に続く問題について
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波島想太 @ele_cat_namy

炭鉱閉鎖により北日本だけでなく筑豊地方でも身売りが増えた。人妻の身売りも多く、1955年には妻の売られた特殊飲食店に現れ、妻とダイナマイトで心中するという事件も起きている。食うに困った炭鉱労働者が周旋屋として人身売買に荷担する例もあった。

2017-08-16 14:55:39
波島想太 @ele_cat_namy

【自殺でみる人生】母がダイナマイトで自殺も実感なし - ZAKZAK zakzak.co.jp/entertainment/… これは岡山の話だが炭鉱街等でのダイナマイト心中は他にもあるらしい。

2017-08-16 15:32:06
波島想太 @ele_cat_namy

ここから売春防止法成立の過程を追う。 1948年にGHQの要請を受け、性病予防法案、風営法とともに売春等処罰法案が提出された。売春した者、買春した者、売春の管理者、経営者、周旋者、場所の提供者すべてを処罰するという内容だったが、前二者は成立したもののここでは流れてしまった。

2017-08-16 15:37:10
波島想太 @ele_cat_namy

その後は府県、市町村の条例で買売春を取り締まる動きが出た。特に米軍基地所在地やその周辺が多かった。ただしこれらの条例は街娼(いわゆる「立ちんぼ」)を対象にしており、特殊飲食店は黙認だった。

2017-08-16 15:40:02
波島想太 @ele_cat_namy

1952年にサンフランシスコ平和条約が発効し占領が終わると、国際社会への復帰のため国連加盟を目指す。国連ではすでに世界人権宣言を採択しており、人身売買を強く禁じていた。国連からの聞き取り調査に日本の外務省は「厳密な意味での人身売買は存在しない」と回答する。(悪い予感しかしない)

2017-08-16 15:44:17
波島想太 @ele_cat_namy

しかし児童や婦女にその意思に反して売淫させる行為などを「いわゆる人身売買」として「厳密な意味での人身売買」とは区別した上でこの存在を認めている。売春の原因として第一に経済的理由、第二に道徳的理由を挙げており、ここでも売られる側の責任を重視している。

2017-08-16 15:48:31
波島想太 @ele_cat_namy

公娼制度についても「存在しない」と言い切る。特殊飲食店に売春の資格を公的に認めているわけではないが、黙認しているという事実は「承認された売春宿」に該当するはずだが、日本政府はそれにも当たらないとしたのだ。

2017-08-16 15:51:08
波島想太 @ele_cat_namy

こうした国連の動きを受けて、加藤シヅエ、神近市子らが超党派の議員立法案として1953~1955年にかけて提出するが不成立に終わる。特殊飲食店側から保守系議員への働きかけがあったこともあるが、法案に売春した女性への処罰はあっても「更正」の保障が弱いというのが法務省の反対理由だった。

2017-08-16 15:55:05
波島想太 @ele_cat_namy

法務省は処罰よりも売春しなくても困窮せずにすむ生活の保障や売春に手を染めてしまった女性の更生を求めたのである。女性議員が売春した女性への処罰を求め、法務省が女性への保障や更生を求めて反対するという皮肉な構図である。

2017-08-16 15:57:49
波島想太 @ele_cat_namy

警察が特殊飲食店への取締りに消極的であるという追及も繰り返され、警察庁長官が「絶無とは申し上げられません」と認めざるを得ない一幕もあった。警察官が特殊飲食店から逃げた女性に逮捕をちらつかせて前借金の返済を求めた事案も発覚した(小樽市警でこれを行った警察官は懲戒免職になっている)。

2017-08-16 16:06:52
波島想太 @ele_cat_namy

1955年には最高裁が酌婦の前借金を公序良俗に反するため無効とし、返済も免除するという判決を下した。この判決は人身売買的売春に対して非常に画期的なものであり、売春防止法案第九条にも反映されている。法案は1956年に全会一致で可決、1958年4月1日に完全施行とされた。

2017-08-16 16:13:01
波島想太 @ele_cat_namy

完全施行日以降、親が前借金をして子供を売ることも処罰対象となり、日本には法律上買売春はなくなり、それに伴う人身売買も存在しないことになった。もちろん現実には「自由意思」という粉飾で買売春は存続する。

2017-08-16 16:15:36
波島想太 @ele_cat_namy

2003年、国際労働機関ILOが日本で人身売買に関する調査を行ったという記事が毎日新聞の朝刊一面に掲載された。2005年、小泉政権下で人身売買罪を加えた刑法改正案、外国人の人身売買被害者保護を明記した出入国管理及び難民認定法改正案が成立した。

2017-08-16 16:26:20
波島想太 @ele_cat_namy

だがこれは日本政府の自主的判断というよりは、日本が人身売買に寛大すぎるという国際批判によると指摘する。特にアメリカからの「テロや国際犯罪組織との戦いの一貫として、人身売買にも配慮すべきだが、日本は努力不十分である」と日本を監視対象国に位置付けたことが刑法等の改正を促したという。

2017-08-16 16:29:31
波島想太 @ele_cat_namy

日本がなぜ人身売買に寛大かと考える際、その主目的である買売春を重視せざるを得ないと著者はいう。国策として買売春を黙認した背景に、性病管理という目的とは別に、地域振興策という側面もある。

2017-08-16 16:34:26
波島想太 @ele_cat_namy

藤目ゆきは、遊郭からの賦金を地方税収入に編入したことを挙げ、「遊郭の経済利益は直接の税収のみならず、ここに落とされる飲食・衣装その他の莫大な商業利益を伴う」と指摘した。お上が遊郭に寛大であれば庶民もそのように振る舞う次第である。

2017-08-16 16:37:39
波島想太 @ele_cat_namy

(末尾に、現在も管理売春の残る地として某県某島に関する記述がある。これも興味深い事案であるが、著者と地元自治体との間で意見の相違があり、また本書出版時期とも事情が変わっている可能性があるので、ここでは割愛する。別の本でも読んだ気がするけど失念)

2017-08-16 16:51:39
波島想太 @ele_cat_namy

『戦後日本の人身売買』のレビュー 藤野豊 (electriccatさん) - ブクログ booklog.jp/users/electric…

2017-08-17 22:12:10
波島想太 @ele_cat_namy

近現代日本の人身売買について - Togetterまとめ togetter.com/li/1141210 ということでまとめました。長ぇ。

2017-08-17 23:18:08
波島想太 @ele_cat_namy

私の認識は現状どうあるべきかという善悪判断までにはまだ全然至ってなくて、なぜ現状がこうなってるのかというのを読み取る段階です。

2017-08-17 23:37:58