しあり怪文書

かぼたまによる、しあり怪文書のまとめです。
1
かぼたま @Kabo_mp3

しあり VS しあり。その記念すべき第一回戦を告げるギャランホルンが、鳴らされた。前回、クワガタによって両断されたしありの上半身と下半身は、それぞれ意識の主導権を握って対立。 しありは自己の尊厳をかけた戦いに、マクドナルドの駐車場を舞台として挑むことになる。

2017-08-17 22:27:42
かぼたま @Kabo_mp3

先手はしありの上半身。両腕の力で這いつくばるようにして蠕動して下半身に襲いかかる。妖怪パンチの原動力は拳。となれば、主導権を握るのは俺こそが相応しい。しあり(上半身)は腕力に物を言わせた乱暴な挙動で殴りかかった。 だが、下半身とて同じしあり。思考、行動はお見通しだ。

2017-08-17 22:30:03
かぼたま @Kabo_mp3

しありの下半身は跳躍し、妖怪パンチを見事に回避する、だけではない。下半身に比べて挙動の緩慢な上半身に対して上空から妖怪キックを放つ。 まさに攻防一体、華麗なる体捌きに観衆のカブトムシだけでなく解説のクワガタ、実況のカナブンも大いに盛り上がる。

2017-08-17 22:32:16
かぼたま @Kabo_mp3

見事、しありの蹴りはしありに直撃する。顔面にクリーンヒットしたしありの攻撃だが、下半しありは上半しありもしありであることを失念していた。 しありの食らったダメージは、同じしありである自分にもかえってくるのだ。自分の攻撃で致命傷をおったしありたちは互いを牽制しあうことになる。

2017-08-17 22:35:14
かぼたま @Kabo_mp3

一時間、二時間とにらみ合いが続くなか、しびれを切らして動いたのは解説のクワガタだった。 互いのことしか目に入らぬ間隙をつき、クワガタはしありに樹液を浴びせかける。 ランチを不意打ちで妨害されたことへの意趣返しとでも言わんばかりに、しありたちは樹液の洪水に飲み込まれ流されていく

2017-08-17 22:37:54
かぼたま @Kabo_mp3

しあああぁぁ、ぁぁぁ、ぁぁ、ぁ―― 遠のいていく悲鳴は哀愁を誘うが、観客解説実況はすべて甲虫。しありとは相容れぬ存在だ。 已む無しあり、とばかりに溺れるしありを見捨て、彼らはモスバーガーへと向かうのだった。

2017-08-17 22:39:28
かぼたま @Kabo_mp3

ここまでの度重なる敗戦にしありは打ちひしがれていた。なぜ勝てぬ、なぜ敗れる。考えども考えどもその答えを見いだせぬしありは、何気なくつけていたテレビ番組を見て、今度こそはと必勝の術を見出す。その証拠に、クワガタとの第504回戦に挑むしありの目は戦意に満ちあふれていた。

2017-08-18 18:19:43
かぼたま @Kabo_mp3

決戦の舞台に選んだのは市街地。多くの人で賑わう場所であるから、いくら相手がクワガタといえども姑息な手段を使うことはできまいという算段だ。 そして、ついに街路樹で樹液をすするクワガタを発見したしありは最初から一気に勝負を決めるべく、即座に奥の手を切った。

2017-08-18 18:22:12
かぼたま @Kabo_mp3

それは、放送していたウルトラマンを見て気づいたことだ。 己の鳴き声であるしあぁッと、ウルトラマンのシュワッなどの声が似ているという事実。なれば、俺が巨大化できぬはずはない。 しありは突如として街中で全長40mの巨人へと変身したのだ。

2017-08-18 18:24:44
かぼたま @Kabo_mp3

リミットは3分、しありはポケットから取り出したストップウォッチのスイッチを入れ、眼下の街路樹を一気に踏み抜いた。 舗装された道路ごと樹木は粉々になるが、しありはこの攻撃が外れていることを超感覚で悟る。 次なる一撃を放つべく、感覚を研ぎ澄ませクワガタの位置を探る。

2017-08-18 18:26:39
かぼたま @Kabo_mp3

蟻が巨象と戦って勝てる道理があろうや。 だが、次々と地面を踏み抜いていく攻撃はクワガタ相手にかすりもしない。そうしている間に、タイムリミットは1分を切ろうとしている。 なぜだ、なぜ攻撃が当たらない。 焦るしありは、ここに至ってようやく気がついた。 相手が小さすぎるのだ。

2017-08-18 18:29:04
かぼたま @Kabo_mp3

過ぎたるは猶及ばざるが如し。巨大化しすぎたあまり、しありは小さすぎるクワガタを完全に見失っていた。 カボータイマーが点滅し、タイムリミットを知らせる。 この一撃で決めてやる。しありは、騒音苦情待ったなしの大音声をあげて、狙いすましたポイントに向けて大きく足をあげた。

2017-08-18 18:30:30
かぼたま @Kabo_mp3

その瞬間、支えとなっていたもう片方の足に痛みが走る。 見れば、しありの足にはクワガタがその二本の角で攻撃を仕掛けてきていたのだ。 取るに足らない僅かな痛み、だが思いもよらぬ反撃にしありはバランスを崩して街中に崩れ落ちる。

2017-08-18 18:32:49
かぼたま @Kabo_mp3

しあぁぁぁぁぁッ!!!!!! 街中に倒れる40mの巨体。なぎ倒されるビルや電柱。巻き込まれる甲虫たち……。 考えるのも悍ましい被害を撒き散らしながら、巨大化した身体は元の姿へと戻り、しあり VS クワガタの第504回戦は幕を閉じたのだった。

2017-08-18 18:34:07
かぼたま @Kabo_mp3

死海文書と呼ばれる写本群がある。西暦の妖怪と言われた人物の自宅跡から発見されたものであり、喰羽形と呼ばれる怪物との闘いを記したものであるというが、発見された写本は断片的であり、誰がなぜなんの目的で記したのかは謎に包まれ、しあり怪文書の略称であることは意外にも知られていない。

2017-08-18 21:19:17
かぼたま @Kabo_mp3

妖怪パンチ。それは、しありが生み出した必殺の拳だ。 一見すれば隙だらけのモーションから放たれる隙だらけの攻撃は精密無比の命中精度を誇り、一度震えば必ず何かに当たるという恐ろしい技だ。 これまでの戦いは奇をてらいすぎた。持ち味を活かせッッ!と最近漫画を読み、しありは悟る

2017-08-23 20:38:21
かぼたま @Kabo_mp3

修行を重ねたしありは、ついに妖怪パンチを極限の領域にまで至らしめた。 その成果は、しあり VS クワガタの第507回戦にて発揮されることになる……。 今度こそは正々堂々と決着をつけてやるとばかり、しありは森林に向かう。あえて相手の土俵で戦う度量を見せるためだ。

2017-08-23 20:40:32
かぼたま @Kabo_mp3

しありの来訪に反応して飛来する甲虫群。その先陣はもちろん彼奴、クワガタだ。 宿敵来たり、とほくそ笑むしありは腰と落として重心を低くし、右手に全力を込めるべく精神を統一する。 勝負は一瞬で決するだろう。しありは必勝の構えから間合いに入ってきたクワガタに向かって、妖怪パンチを放つ。

2017-08-23 20:43:46
かぼたま @Kabo_mp3

――しあぁッ!!! 極限の妖怪パンチ。それは、跳躍による位置エネルギーを利用し威力を1.1倍にまで高めた必中必倒の技。 全体重を乗せたしありの攻撃は、上段からクワガタに向けて振り下ろされ……るかに見えた。 だが、しありの目測はここでも見誤っていた。

2017-08-23 20:45:45
かぼたま @Kabo_mp3

しありのジャンプとクワガタの飛行では当たり前だが後者のほうが高く飛べる。 しありの妖怪脚力による跳躍は10cm。対して、クワガタが飛ぶのは地面から5mは上空だ。 しありは攻撃を空振ったことでバランスを崩し、妖怪パンチは大地を殴りつける。 痛みに苦しみ悶えるしありに群がる甲虫。

2017-08-23 20:47:54
かぼたま @Kabo_mp3

甲虫による洗礼を浴びせられるしありの身体は黒山の人だかりならぬ虫だかりとなり、ここにしありは敗北を喫することになる。 しあり VS クワガタの第507回戦。健闘を見せたものの惜敗を喫したしありは再戦を胸に眠りにつくのだった。

2017-08-23 20:50:52
ネナイコ🍣🎪 @nenaiko193

「しあっしあっしあっ!」しあり=サンが高笑いをしながら檸檬にクワガタの群れを放つ!身動きの取れない檸檬は絶対絶命の危機!ナムアミダブツ!もはやこれまでか!しかし、クワガタの群れは檸檬を避け、しあり=サンの方にUターン!!「ーーしぁああっ!?」インガオホー!クワガタ必然の裏切り!!

2017-08-23 20:31:52