MHDエピソードゼロ

MHDのssです。
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gori@創作 @gorryyyyyy

震え、焼き切れた掌を握り、瓦礫へ打ち付ける。 「………だよ……」 目から零れる涙は、やけに冷たかった。 「なんなんだよ!お前はァァァァ!!」

2017-09-08 20:26:50
gori@創作 @gorryyyyyy

真下から顔面に迫り来る尻尾の先端が、ぶつりと意識を切り離した。

2017-09-08 20:27:16
gori@創作 @gorryyyyyy

ぶはっ、とベッドから跳ね起きる。 水中から飛び出たように、ファルトは荒々しく息を吐き続けた。 冷や汗がじっとりと身体を濡らし、鼓動が波打つ。

2017-09-08 20:28:04
gori@創作 @gorryyyyyy

左眼の傷痕の痛みに呻き声をあげ、両手で押さえる。 尻尾の毒で白に染まった髪が、額に貼り付いた。

2017-09-08 20:28:44
gori@創作 @gorryyyyyy

呼吸が落ち着くとやっと気が回り、隣に目を向ける。 丑三つの月に照らされたラミアが、そこで小さな寝息を立てていた。

2017-09-08 20:32:37
gori@創作 @gorryyyyyy

浮かび上がるようなラミアの白い肌が視界に入った途端、耐え難い頭痛が再び襲う。

2017-09-08 20:33:40
gori@創作 @gorryyyyyy

繰り返し、あの光景が頭を支配し、重なる。 ラミアの白い肌から鮮血が溢れ、それがベッドシーツごと真っ赤に染まっていく。

2017-09-08 20:34:22
gori@創作 @gorryyyyyy

遮るように頭を横に振り、食い縛る歯から息が漏れる。 ベッドから抜け出して、部屋を去るファルト。

2017-09-08 20:34:53
gori@創作 @gorryyyyyy

扉の閉まる音が止むと、ラミアの目がぱちりと開く。 起こした横向きの身体からシーツが流れ落ちると、大きな溜め息がそれを伝った。 眉にシワを寄せ、ラミアはじっと扉を見詰めていた。

2017-09-08 20:36:40
gori@創作 @gorryyyyyy

暗闇の薮を駆け抜けながら、矢をつがえる。

2017-09-08 20:37:48
gori@創作 @gorryyyyyy

体幹が雌火竜をゆうに超える、あの隻眼の黒狼鳥。故郷も、家族も、この左眼も、毒の所為で髪まで染め上がった。

2017-09-08 20:38:31
gori@創作 @gorryyyyyy

この醒めない白昼夢は、この靡く髪のように、俺の視界の前を彷徨い続けていた。

2017-09-08 20:39:03
gori@創作 @gorryyyyyy

———あの黒狼鳥だ。アイツを仕留めるまで、オレは止まれない。 山吹色を放つ硝子の左眼が、妖しく光った。

2017-09-08 20:39:27
gori@創作 @gorryyyyyy

*長らくお待たせしました*

2017-11-24 20:09:39
gori@創作 @gorryyyyyy

MHDエピソードゼロ ファルト編〜そのⅣ〜

2017-11-24 20:48:47
gori@創作 @gorryyyyyy

また今日という日が終わる。 眠りに落ちる前、ラミアは彼に呟く。

2017-11-24 20:49:34
gori@創作 @gorryyyyyy

「信じて、いいんだよね?」

2017-11-24 20:50:01
gori@創作 @gorryyyyyy

幾何かの間の後、目を閉じた向こうで応えはくる。 「ダメだ。」

2017-11-24 20:52:51
gori@創作 @gorryyyyyy

そっか、と半ば独り言と共に、シーツを手の平で縮める。 本当に、優しい奴。

2017-11-24 20:53:20
gori@創作 @gorryyyyyy

アイツが夜中に部屋を抜けるようになってから、匂いの残るシーツにうずくまって寝るのが日課になっていた。

2017-11-24 20:54:15
gori@創作 @gorryyyyyy

以前、こんな事を聞いた事があった。 「何故一つの村に留まらないで飛び回ってるの?」と。 その時は、「探し物をしてる」としか言ってくれなかった。

2017-11-24 20:54:47
gori@創作 @gorryyyyyy

アイツは何を探してるの?肌に馴染む村?誰かを助ける秘薬?両親の仇?それとも———死に場所?

2017-11-24 20:55:39
gori@創作 @gorryyyyyy

ぶんぶん、と頭を振ってベッド へうずくまる。

2017-11-24 20:56:08
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