現代に生きる「最貧困女子」から考える不可視領域について

近現代日本の人身売買について https://togetter.com/li/1141210
28
前へ 1 2 ・・ 5 次へ

※水から→自ら

波島想太 @ele_cat_namy

(昭和初期までの家父長制の色濃い「ムラ」「イエ」における身売りと、現代の解体されたコミュニティ、家庭におけるセックスワークとでは意味合いは異なるが、ある種のセーフティネットとして機能してしまっているのは相変わらずである)

2017-08-21 15:28:04
波島想太 @ele_cat_namy

家出少女が性風俗業に従事していくことについて書いた著書の発表後、読者からの反応は、似た現場を見ている人からの「あるある」と、そうした世界と接点を持たない人からの「ないない」であった。後者からの反応について、次のように述べている。

2017-08-21 15:41:32
波島想太 @ele_cat_namy

「他にも道はあるだろうし、結局は自ら選んだことではないのか。だいたい、そこまで過酷な環境で育った少女なら、その前に警察や福祉行政が捕捉しているはずではないのか。ワークとしての性風俗業は、一攫千金の勝ち上がりのチャンスでもあるはずだが、それで貧困から抜け出せないなら、…」

2017-08-21 15:43:44
波島想太 @ele_cat_namy

「…稼いだ金は何に使ってしまったのか。さらに遡って、たとえ親の貧困があっても、虐待があったり、児童養護施設育ちだったりしても、全ての少女が家出少女になるわけでないし、(努力して進学して就職してそれでも貧困ということすらあるのに)頑張る前に逃げ出した少女が貧困に陥るのは自明の理だ」

2017-08-21 15:57:33
波島想太 @ele_cat_namy

これはつまり無理解である。接点がないのは仕方ないとしても、そうした世界の情報にすら触れる機会がない、触れようと思う動機もない。 嘘つきは泥棒の始まりと言うが、窃盗は家出少女(少年も)の端緒である。虐待やネグレクトで居場所を失った子供は、まずは子供同士で寄り添い集まる

2017-08-21 16:06:38
波島想太 @ele_cat_namy

金がないので溜まり場は仲間内で親があまり帰ってこない家などになる。とはいえそんな家にまともな食料はないから、空腹を満たすために万引きをする。盗んでも見つからなければ罰せられないという成功体験は、ターゲットを広げていく。少女なら次はコスメやアクセサリーだ

2017-08-21 16:09:47
波島想太 @ele_cat_namy

もちろん常習犯となれば捕まらないはずもなく、何度も補導されているうちに「札付きの悪」になる虐待の被害者から窃盗の加害者側に転じてしまう。児相職員やカウンセラーなどもいるが、「親権者」に対して強い権限を持たない彼らは根本的な解決ができず、「助けてくれない大人」への不信感は増す

2017-08-21 16:14:30
波島想太 @ele_cat_namy

それでも地域の仲間と寄り添えるなら良さそうではあるが、地縁の中に生きる少女の多くが売春ワークに吸収されていく。年長者が年下の少女に売春客をつける「援デリ業」なるケースもある。客を探す先は出会い系サイトやSNSである。ここからすでに「支配と搾取」の構図が生まれている

2017-08-21 16:22:17

「家出少女」とセックスワーク

波島想太 @ele_cat_namy

中学一年生の頃から先輩の命令で客をとらされていた少女な話がある。しかし彼女も中三になる頃には、先輩からの客をとりつつ、自分も後輩に客をつけ、上がりの一部を徴収するようになっていた。 それでもそうした地縁のコミュニティにいられるだけまだマシかもしれないと著者は言う。

2017-08-21 16:25:59
波島想太 @ele_cat_namy

地域の縁の中にいれば、まだ仲間との互助があるし(先述のマイルドヤンキーのような)、固定した住所があれば性風俗以外の仕事に就く機会もある。より深刻なのは地縁から排斥されたり自ら飛び出したりして、都市部の路上にさ迷う少女たちだ。

2017-08-21 16:31:55
波島想太 @ele_cat_namy

先の先輩後輩の売春グループの紹介や、SNSで出会った人など、何かのつてを持って出ていくならまだマシだが(本当にまだマシというレベルでしかないが)全ての縁を棄てて衝動的に出ていくケースもある。この時点で大人や公的な組織への信頼は崩壊しているわけで、周囲はすべて警戒対象である。

2017-08-21 16:36:12
波島想太 @ele_cat_namy

おおらかだったというわけでもないが、90年代までは長期休暇期間に深夜の路上を徘徊していると、同世代の仲間と知り合える機会があった。そこで出会った少女の家に泊めてもらうとか、彼氏を作って同棲を始めるとかいうこともあった。しかし00年代中盤から徘徊条例など取締りが厳しくなった。

2017-08-21 16:41:13
波島想太 @ele_cat_namy

路上だけでなくネットカフェなども深夜の未成年者入店禁止と締め出された。家出少女の貴重な連絡手段だったプリペイド携帯電話も身分証の提示など入手が難しくなった。これらの規制は(別の目的もあったにせよ)家出少女のインフラを破壊した

2017-08-21 16:44:42
波島想太 @ele_cat_namy

家出少女が求めていたのは何にも怯えずゆっくり眠ることができる場所であり、その場所を確保するための現金と仕事であり、そのために不可欠な携帯電話であり、隣にいてくれる誰かであった。これらのほとんどを行政は与えてくれなかった。代わりにこれらを提供してくれたのが、セックスワークであった。

2017-08-21 16:48:16
波島想太 @ele_cat_namy

(この先、家出少女達がセックスワークに飲まれていく過程が何パターンか紹介される。興味深いではあるがその辺のシステム的なものは割愛。続きは明日。分量的にはこれで大体半分くらい。)

2017-08-21 16:52:54

「家出少女」の行き着く先

波島想太 @ele_cat_namy

(「最貧困女子」の続き)

2017-08-22 10:05:01
波島想太 @ele_cat_namy

家出少女を取り込むシステムについては割愛すると書いたが、特筆すべきところだけ拾う。未成年の家出少女はお金も住所も通信方法も持たないので、それを代行する業者がいる。風俗店も18才未満は雇えないので、年齢を誤魔化す偽の身分証まで用意する。

2017-08-22 10:10:35
波島想太 @ele_cat_namy

自分名義で借りた部屋に女性を二人シェアルーム形式で又貸しし、片方が逃げたらもう一人に全額を請求する。携帯電話も同様に貸し出す。これは持ち逃げされてもSIM紛失届を出せば止められるのでそれ以上の被害はない。18才以上と偽り働かせて、給料天引きで家賃等を回収する貧困ビジネスである。

2017-08-22 10:14:37
波島想太 @ele_cat_namy

そんな暮らしでは貯金ができるどころか借金が増えていくばかりで、18才になったら正式に(という表現も妙だが)風俗店に売り飛ばす、要はスカウトの青田買いである。手口は巧妙だが、本質的には借金で縛っていく江戸時代からの伝統芸と変わらない。皮肉にも家出少女のニーズに応えているのも事実。

2017-08-22 10:19:54
波島想太 @ele_cat_namy

「(役所や店頭での)手続きが苦手」と先述したように、こうした各種の代行を(おそらく口約束で)してくれることは、いかに搾取されようとも、彼女たちにとっては「肌触りがいい」サービスなのである。住み込みで働ける仕事が性風俗以外で激減した現在では、尚更貴重なものとなってしまっている。

2017-08-22 10:23:08

家出少女が求める「絆」

波島想太 @ele_cat_namy

また、こうした代行業や、時に家出少女を匿う先輩風俗嬢の多くが家出少女と似た境遇で育っており、精神的親和性が非常に高い。「同じ痛みを持った人」と感じてしまうのである。

2017-08-22 10:26:58
前へ 1 2 ・・ 5 次へ