現代に生きる「最貧困女子」から考える不可視領域について

近現代日本の人身売買について https://togetter.com/li/1141210
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リンク 幻冬舎 最貧困女子 今や働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す! 1 user 177
波島想太 @ele_cat_namy

【本棚登録】『最貧困女子 (幻冬舎新書)』鈴木 大介 booklog.jp/item/1/4344983… #booklog

2017-08-20 08:21:02
波島想太 @ele_cat_namy

(女性の境遇について、古代編、中世編、江戸編、明治、大正、昭和初期編ときてついに現代まで来てしまった。正直あまり気は進まない(理由というか言い訳はまたいずれ)のだが、ひとまず来てしまったのだから読むだけ読んでみよう)

2017-08-21 13:45:17

※これまでに読んだ各時代の女性に関するまとめ

まとめ 古来日本における女性の地位について 勉強用セルフまとめ ※引き続きお勉強は続けるつもりですが、このまとめはここでいったん完結します。 その後読んだ本はこちら。 https://togetter.com/li/1144604 28602 pv 189 26 users 15
まとめ 「中世の遊女」から見る女性の地位について 古来日本における女性の地位について http://togetter.com/li/1042094 「聖の性」から見る僧侶と淫戒 http://togetter.com/li/1058887 の続きです。 16554 pv 63 23 users 6
まとめ 離婚の歴史から見る女性の地位について 古来日本における女性の地位について http://togetter.com/li/1042094 「聖の性」から見る僧侶と淫戒 http://togetter.com/li/1058887 「中世の遊女」から見る女性の地位について http://togetter.com/li/1060117 7973 pv 7 2 users
まとめ 遊女・からゆきが背負ったもの 江戸の遊郭によって高度に発達してしまった日本の売春、人身売買制度の歴史を振り返る読書実況。 ※人身売買のシステムは既にあり、売春にもその手法が使われただけという説もあります。次回はそういう本の予定です。 5869 pv 18 1
まとめ 近現代日本の人身売買について 明治維新以降、近代化を目指す日本の中で立ち遅れた女性、子供、貧困層といった弱者たちはその身を売るしか生きるすべを持たなかった。 売春従事者に対して前借金で縛ることを禁じた売春防止法の成立は戦後も10年が過ぎた1955年であった。 なぜ日本で身売りを禁じる法律がなかなか成立しなかったのか。その経緯を追う。 13213 pv 65 23

「最貧困」と「プア充」

波島想太 @ele_cat_namy

貧困について、著者は低所得の他に三つの無縁、三つの障害があると考察する。三つの無縁とは血縁、地縁、制度の無縁である。困ったときに頼れる家族や友人がいない。社会保障制度も不十分である。そして三つの障害とは精神障害、発達障害、知的障害だ。これらの要因が複合して貧困に至る。

2017-08-21 13:51:09
波島想太 @ele_cat_namy

(有名な本なので事例紹介はいらないかな)

2017-08-21 14:04:08
波島想太 @ele_cat_namy

冒頭では家賃を滞納して督促が来たので逃げてしまい、ネットカフェ難民として暮らす女性。多重債務ではないが、ヤミ金に手をつけてしまいその入り口にいる。 やはり特徴は頼れない、頼らない。家族は父親が急死し、死後多額の借金が判明して一家離散状態。大家と話し合うこともなく逃げてしまった。

2017-08-21 14:08:30
波島想太 @ele_cat_namy

勤め先にも今の境遇が知れたら首になると恐れて話していない。生活保護は受けられるはずだが申請していない、さらに以前に引っ越したときに住所変更をしておらず現住所で申請ができない。それをクリアしたとしても、生活保護を受けるには親族の「扶養できない」という意思の照会を要する。

2017-08-21 14:13:05
波島想太 @ele_cat_namy

ここが特徴的なのだが、彼女はその「意思の照会」ですら「迷惑になるから」と乗り気ではない。ギリギリまで頑張らないと、彼女は言うが、著者の目からしてもギリギリのラインはとっくに越えていた。取材の三週間後、彼女は失踪する。

2017-08-21 14:17:25
波島想太 @ele_cat_namy

次は対照的に、年収百万円台にもかかわらず楽しげに暮らす「プア充」女子。「マイルドヤンキー」の卵でもある。低賃金をものともせず、慣れ親しんだ地元で気心の知れた仲間と協力して充実した人生を謳歌している。 だが年収だけを比べれば、さっきの闇金に手を出して失踪した女性と同程度なのだ。

2017-08-21 14:27:06
波島想太 @ele_cat_namy

その違いはどこにあるのか。「貧困と貧乏は違う」湯浅誠はそう言った。著者も同意する。 プア充層が存在するために、同程度の収入で路頭に迷う貧困者に自己責任的な逆風が襲いかかる(それはプア充層の責任ではないのだが)。 そして結論を言えば、「最貧困女子」はセックスワークの中にいる

2017-08-21 14:33:08

「最貧困女子」の世界

波島想太 @ele_cat_namy

著者が別の本で出会い系サイトの取材をしたときに、私的な売春をするシングルマザー20余名に取材した。聞き出したいことは尽きなかったが、この20余名の他に取材はしなかった。というかできなくなった。あまりのいたたまれなさに「僕は逃げた」と告白する。実際酷い。

2017-08-21 14:43:32
波島想太 @ele_cat_namy

ちょっともうどこを引用したらいいのかわからないのでしないけれども、要するに「行政手続きができない人」は確実にいるのである。見知らぬ単語が出てくるともうそれ以上何も入ってこない。督促状も読まないし補助の申請もできない、銀行振込が苦行であり、借金の申込書すら書けない。

2017-08-21 14:51:15
波島想太 @ele_cat_namy

この清原さん(仮名)は散財癖がないのが唯一の救いというべきだろうか。手続きを民生委員に代行してもらってようやく小学校に入れた二人の子供が生き甲斐というが、この子供たちを奪われることは絶対に避けたいというが、彼女は果たして母親としての役割を果たせているのか

2017-08-21 14:56:13
波島想太 @ele_cat_namy

彼女は子供と離れたくないと言うし、子供も施設は嫌だと言う。たとえろくに食えなくても、母親の元がいいと言う。 (昭和初期なら身売りされても食えるだけ親元よりマシだと親も子供も言っていたものだが、隔世の感もある。この価値観の差はどこから来たのだろう?)

2017-08-21 14:59:02
波島想太 @ele_cat_namy

その清原さんはその後、とある男性を頼って東北に移住する。滞納家賃の追求を恐れて住民票を移していないなど相変わらずの様子であったが、リストカットの痕は増えていないようで、著者はひと安心する。 が、その一年後に彼女の移住先が東日本大震災で津波に見舞われる。それから連絡はできていない。

2017-08-21 15:07:31

「不可視」と「無理解」

波島想太 @ele_cat_namy

不安定ながらも出会い系でどうにか日銭を稼げてしまうことで、彼女たちは福祉行政から捕捉されづらくなってしまう。何かの折りに接点があっても、「子供を奪われる」などの不正確な恐怖感から水から離れていってしまう。その「不可視化」を自己責任と切って捨てるのは適切でも公正でもない。

2017-08-21 15:22:33
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