現代に生きる「最貧困女子」から考える不可視領域について

近現代日本の人身売買について https://togetter.com/li/1141210
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波島想太 @ele_cat_namy

またスカウトは紹介した少女の売り上げからの取り分があるので、かなり面倒見がよい。店舗との交渉、トラブル対応なんかも代行してくれるし、メンタルが不安定になれば励ましてもくれる。簡単にやめられては困るからという話であるが、孤独な少女にはそれが数少ない安らぎにもなってしまう

2017-08-22 10:29:19
波島想太 @ele_cat_namy

最悪なことに」と著者は強い言葉で「売春男も少女らの理解者になることがある」と指摘する。少女買春者はかなり高所得者で、知的にも高水準の男が少なくない。そして彼らにとって、家出少女の性を買うことは、一種の自己実現となっていた。いわば「にわかカウンセラー」なのである。

2017-08-22 10:35:03
波島想太 @ele_cat_namy

とある買春経験者にインタビューしたところ、「女の子の身の上話を聞いてあげたら彼女は感動してくれた」などと自慢げに語ったという。「自分だけが彼女たちの苦しみを知っている」「精神的、金銭的サポートをしてやっている」などと臆面もなく言い放つのである。

2017-08-22 10:37:43
波島想太 @ele_cat_namy

だからといって彼らは少女の境遇にそれ以上踏み込まない。行政的な手続きを代行してやることも、違法性を告発してやることもしない(逆に未成年者買春で自分もお縄になるだけの話であるが)。それでも少女たちにとっては貴重な飯の種であり、切っても切れない存在である。

2017-08-22 10:43:24

性風俗業からの「卒業」

それは一握りの幸運であって。

波島想太 @ele_cat_namy

性風俗業に捕らえられた家出少女からの「卒業」は、特定の相手を見つけて結婚するなり愛人になるなりするパターン、他の家出少女を集めて自ら起業する、あるいは業者から見込まれて業務を任されるパターン、18才を迎えて「正式に」夜の店でデビューするパターンなどがある。これはまだいい方である。

2017-08-22 10:48:39
波島想太 @ele_cat_namy

※ここでいう「夜の店」とはキャバクラなど、セックスワーク以外の風俗業をいう。

2017-08-22 10:50:42
波島想太 @ele_cat_namy

いつまでたってもセックスワークから抜け出せない少女─あるいは女性は、毎日売春を続け、身体やメンタルを壊して失踪、やがて食べられなくなってまた売春に戻ってくるという繰り返しだ。なぜか。 彼女たちは「可愛くなかった」のだ。

2017-08-22 10:57:49
波島想太 @ele_cat_namy

(いわゆる「キモくて金のないおっさん問題」と対になる話であるが、キモくて金のないおっさんたちは最近団結を始めて主張するようになっている一方、「デブで不細工で性格のゆがんだ少女(本書中の表現)」はまだあまり可視化されていないように思う)

2017-08-22 11:00:35
波島想太 @ele_cat_namy

売春から脱出しようにも、キャバクラなど、で求められるのは「顔の良し悪し」や「コミュニケーション能力」であるし、本番なしの店では「挿入以外で満足させる技術」が求められる。これらは安定した彼氏を作れる要件でもあり、これらを持たない少女たちにセックスワークから逃れる道は極めて険しい。

2017-08-22 11:08:36
波島想太 @ele_cat_namy

「スカウト達が家出少女を親身に世話する」のはあくまで少女が稼ぎ出す金を当て込んでいるのであって、ろくに稼げそうにない少女には声もかけない。若ければまだ付加価値もあるが、大人びていくにつれて対価も待遇も悪い「激安店」くらいしか行き場はなくなる。

2017-08-22 11:23:51

知的障害が誘う最底辺

波島想太 @ele_cat_namy

次に知的障害を抱えているらしき女性三人の取材メモがある。容姿に優れず、障害のためかまともなコミュニケーションも取れない、そんな彼女たちをも飲み込む性産業の姿がそこにある。一人は程度は違えど同じく知的障害を抱える男に管理されていた

2017-08-22 11:39:32
波島想太 @ele_cat_namy

彼女たちはみな「都内最底辺風俗店」への所属経験があった。彼女たちのような何らかの障害を抱えている女性に積極的に声をかけるスカウトというのがいるらしい。なにしろ安いこと、また健常な女性では応じてくれない特殊な(つまりは危険な)プレイも応じてくれることが多いのだという。

2017-08-22 11:42:13
波島想太 @ele_cat_namy

ここで福祉側の声も紹介している。知的障害を抱える貧困女性の特徴として、「本当に困ったときだけ施設を利用し、しばらくするとふといなくなってしまう」と語る。性産業以外に就けるよう技術を教える作業所でも、初日で逃亡してしまうことがあった。売春の方が楽なのだろうと推測している。

2017-08-22 11:47:20
波島想太 @ele_cat_namy

「彼女たちは間違いなく即座に救済すべき存在なのだが、かといって安直に福祉の対象として想像するような「大人しくちょんと座って救済を待っている障害者」ではない。想像以上に粗暴だった」と著者は続ける。その粗暴さは彼女達が過去に受けた暴力の裏返しではあるのかもしれないが。

2017-08-22 11:51:02
波島想太 @ele_cat_namy

障害を持つ女性を扱うスカウト業者の言葉「作業所で小銭貰うのか、自分の力で稼いでおしゃれするのか? 知的障害の子だっておしゃれしたいし遊びたい」は、詭弁のようでもありしかしすぐさま否定できるわけでもなく、著者の苦慮がしのばれる。

2017-08-22 11:55:02

カジュアルな売春

 「年収300万未満」を支えるもの。

波島想太 @ele_cat_namy

(次の章、どう扱ってよいかわからない。自分の見識の狭さを思い知るようでもあり、「本当なの?」と無神経に首をかしげてしまいそうな予感もある)

2017-08-22 13:30:09
波島想太 @ele_cat_namy

某地方都市で、昼間は正社員として勤務しつつ、週に一回だけデリヘル嬢をしている女性の話。それまで風俗業、水商売に全く縁はなかったが、友達とファミレスで「なんかいいバイトないかな?」という話になり、勢いで求人誌から風俗店の面接を受けた

2017-08-22 13:41:20
波島想太 @ele_cat_namy

その店はその地域では高級店であり、客も比較的まともな男が多い(昼の会社の方がパワハラセクハラ多いと彼女は言う)。車検でお金が必要だったので助かった。 昼の仕事は手取りで年収150万円台。デリヘルは平均月収6~8万円。合わせて年収230万円程度になろうか。

2017-08-22 13:44:46
波島想太 @ele_cat_namy

彼女の勤務するデリヘルの店長は「風俗嬢はワケアリって時代じゃないですからね」と言った。リーマンショック頃を機に、借金を抱えてどうしようもなく毎日出勤という女性だけでなく、週一バイト感覚の女性が増えてきた。レギュラーの子は風俗感が出てしまうが、出勤が少なければ素人感が維持される。

2017-08-22 13:49:33
波島想太 @ele_cat_namy

この「素人感」というのがむしろ人気があるらしく、そういう女性を選んで指名する客も多いという。 なので店側は常に新しい女性を募集しており、「エステです」とか「手こきのみ」とかで募集し、身内の客で慣らしてから「もっと稼ぎたくない?」などと提案していく。

2017-08-22 13:53:10
波島想太 @ele_cat_namy

こうしたバイト感覚の女性は、低所得ではあるが貧困ではなかった。血縁や地縁を活用し、それなりに充実した生活を送っている。デリヘルの稼ぎは「心のゆとり」だと言う。さらに言えば、「デリヘルで働ける自分」に誇りさえ感じている。昼の職場にもバレているが、別段恥ずかしいことではない。

2017-08-22 13:56:41
波島想太 @ele_cat_namy

「彼女らの属する地元のグループの中では、夜職の兼業は『やれる容姿がある』証でもあり、感覚的には周囲から少し羨ましがられるような空気すらあるようなのだ」 風俗嬢が承認欲求の手段になっている。これ自体の是非は、ひとまず置く。

2017-08-22 14:03:46