現代に生きる「最貧困女子」から考える不可視領域について

近現代日本の人身売買について https://togetter.com/li/1141210
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波島想太 @ele_cat_namy

ここで考えるのは、一般企業に就職できる知性やコミュ力を持ち、風俗店で指名される容姿を持つ彼女のような女性達がセックスワークに参入することの意味だ。まず弾かれるのは、先述の「三つの無縁、三つの障害」を抱える女性たちであろう。

2017-08-22 14:06:15
波島想太 @ele_cat_namy

まともな職に就けず、子供さえいる身の上で路上や出会い系サイトで出会った男にわずかな金額で春を売り、なんとか食いつないでいた女性はどうなるのか。著者はその事を直接尋ねてみるが、「週一デリヘル嬢」の回答は辛辣だった。「ずぼらなだけ」「わがまま」「意味わかんねー」うんざりした表情。

2017-08-22 14:11:08
波島想太 @ele_cat_namy

デリヘル店長に改めて話を聞く。風俗でトップの子は努力してる。ファッション誌をチェックし、メイクを学びジムに通う。素人好みの客はウブな振りしつつ「教えられて上手くなった」と演出し、技術優先の客は最初から全力で抜く。それらを自分で考えている。生本番だけの素人と一緒にされたくない、と。

2017-08-22 14:16:37
波島想太 @ele_cat_namy

これは社会全体からすれば低所得の下層であろうが、セックスワークの中でははるか「上層」なのだ。だが社会から見える性風俗はこの「上層」がいいところで、最下層について、著者はかなりの時間と労力を費やして世に問うてきたが、伝わっていないと痛感している。

2017-08-22 14:20:16
波島想太 @ele_cat_namy

確かに小遣い稼ぎ感覚、遊び感覚で「援交」する少女はいる。むしろそれが多数派である。だがその中に、「生きるために売春を続ける少女がいる」ことを著者は問題視する(もちろん援交少女も問題ではあるが、それは多少誤った姿とはいえ、世に認識されている)。

2017-08-22 14:24:56
波島想太 @ele_cat_namy

(ここからどう繋いでいくべきかかなり悩んでいる。たぶん「闇金ウシジマくん」あたりで散見されるようなデブで不細工で性格の悪い商売女が私の想像の限界で、それを表現する語彙が少なすぎる)

2017-08-22 14:56:10
波島想太 @ele_cat_namy

「援助交際」とひとくくりにされがちな少女売春(性行為を伴わない下着販売、JKリフレ、JKさんぽなどを含む)も、その背景は十人十色である。先にデリヘルの「上層」を紹介したが、JK系の中にも濃淡がある。通信制高校生という17才の少女は、卒業したらキャバクラに行くという。

2017-08-22 15:09:28
波島想太 @ele_cat_namy

「お散歩でワリキリ(売春)してる子がいるとか言われると、凄くムカッとくる」存在は否定しないが一緒にされてはたまらない。彼女はキャバクラを「セックスなしで女売る商売」と定義する。「アキバ系も客取るのは女力だし、メイクとトークと仕草と、どうすれば男が喜ぶのか、みんなそれで努力してる」

2017-08-22 15:14:51
波島想太 @ele_cat_namy

「なんていうのかな、奉仕系っていうんですかね。アキバの男の人って露骨に『性に恵まれない人たち』じゃないですか。そういうのに対する奉仕系なんですよ、私らの仕事は」将来はキャバクラに勤めつつ、福祉系の仕事にも就きたいという。身体を資本に稼ぐ、男なら建築職人の言葉に近い。

2017-08-22 15:19:40

なかなか見えない「最貧困女子」

波島想太 @ele_cat_namy

繰り返すが本書のタイトルは「最貧困女子」であり、主題は今紹介したようなプライドや希望を持って性産業、風俗業に関わる女性ではない。家庭や地域から弾き出され、あらゆるセーフティネットから零れ落ちた(時には自ら抜け出してしまう)存在を、著者は訴えている。

2017-08-22 15:26:07
波島想太 @ele_cat_namy

そうした最貧困女子は何を求めている/いたのか。「興味深いコメント」として、家出少女の中には小学校時代に学童保育に通っていた子が少なくないのだが、本人は「学童はウザイ」のだと言う。学童には出欠確認があり、やすめばどこに行っていたのかと詮索されるし、「ゲームがない」。では何が望みか。

2017-08-22 15:31:02
波島想太 @ele_cat_namy

「放課後に友達と遊んで、それで夕方か夜になって腹が減ったら学童に行って食事して、ゲームしたりテレビ見たりして、その後にでも親が迎えに来てくれれば良かったと思う。あと親が切れてる(虐待する)とき、夜遅くとかでも行ったら入れてくれて、泊めてくれるんだったら最高だった」

2017-08-22 15:34:01
波島想太 @ele_cat_namy

(最近「こども食堂」が報道される機会も多い。その活動内容は、確かに彼女の望みに近いようにも思う)

2017-08-22 15:35:35
波島想太 @ele_cat_namy

(いきなり施設保護で親子分離するよりは、こうした「逃げ場所」を作ることが、本格的な非行や虐待の連鎖を食い止める防波堤になるかもしれない。あと、終戦直後の浮浪児達が施設から逃げ回ったのも、その不自由さを嫌ってのことだった)

2017-08-22 15:39:22
波島想太 @ele_cat_namy

学童にせよ、児童相談所や警察の補導にせよ、彼らの支援の根本理念は「親がいるなら親元に返す」「虐待があれば改心させる」に終始し、「少女自身の自立を促す」という彼女達が一番求める選択肢がそこにない。だから相性が悪い。 (とはいえ法の立て付けがそうなってるわけで、障壁はまだ多い)

2017-08-22 15:42:41

 先に紹介した「週一デリヘル嬢」や「ウリをやらない援助交際JK」等は、著者の定義によれば「最貧困女子」ではない。冒頭の失踪してしまった女性、清原さん(仮名)、知的障害を抱え、彼氏と称する男性に手配されるままにオーラルセックスで日銭を稼ぐ女性、そういった者に光を当てたいと、著者は言う。
 しかしこの項(最貧困女子の望むものの考察)で紹介されている麻衣さん(仮名)は、「誰もが認める容姿だった(つまりは美人)」のである。彼女を紹介したのは理由があるとして、確かにそれはそれとして重要なポイントでありはするが、少し著者の目的とは外れてしまっているような感もある。数少ない取材の中に適当な物がなかったのかもしれないが。

波島想太 @ele_cat_namy

(セックスワークの脱犯罪化、正常化について触れている。AV業界でも主張されている話で興味深いが、著者としても提案レベルの話なのでここでは割愛)

2017-08-22 16:04:37

最貧困女子の恋愛活動

波島想太 @ele_cat_namy

最後に、最貧困女子と恋愛活動について。従来のフェミニズム的議論において、恋愛依存、共依存は強く否定されてきた。女性は職業訓練と経済的自立で男に依存せず生きていくべきという論だ。確かに彼女たちは自立を求めている。しかし孤独は好まず、恋愛に吸引される。

2017-08-22 16:10:36
波島想太 @ele_cat_namy

(著者は最貧困女子の恋愛の典型例とその回避のためのシステム化を望む。私もやはり彼女たちを救うのは恋愛であり、殺すのも恋愛であると思う。冒頭の方で現在の性風俗の話題は気が進まないと書いたのは、過去の話であれば客観視もできるが、現在ならそうはいかず、何らかの対策を迫られるからだ)

2017-08-22 16:14:44
波島想太 @ele_cat_namy

彼女たちは、「非常にめんどくさい」のである。貧困や虐待の経験を持つ彼女たちは、それを受け入れてくれるパートナー(同性でもよかろう)が見つかり環境が落ち着いたとしても、時にその痛みを噴出させる。リストカットを復活させたり、わがままで振り回したりする。これがいわゆる「試し行動」だ。

2017-08-22 16:18:35
波島想太 @ele_cat_namy

裏切られ続けてきた人生の中で、この人はどこまでわがままに答えてくれるのか。自分をどれだけ大切にしてくれるのか。待ち合わせに遅れたり、衝動的に別れたいと言い出したりする。 パートナーがこの面倒くささに耐えられなくなってDVや離別に繋がったりもする。そして彼女の傷はさらに深まる。

2017-08-22 16:22:04
波島想太 @ele_cat_namy

彼女たちを受け入れ癒すには実質的に無尽蔵な忍耐を要求されるのだ。パートナーからすれば他人の作った借金を払わされる感覚に近いだろうか。行政などの職業的支援者にそこまで期待するのは難しかろう。ならば救いは恋愛のようなマンツーマンの関係に期待せざるを得ない、という理屈は何となくわかる。

2017-08-22 16:25:30
波島想太 @ele_cat_namy

(ここから行政や社会全般のなすべき役割はどうだとかいう論にも展開しうるだろうが、本書はここで筆を置いている。私の思考回路もショート寸前だ。過去の歴史においてこうした社会の歪みは身分格差や貧富の差の中に押しやられてきた。それが継続しているだけという見方もできるが、)

2017-08-22 16:34:03
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