- eighter_rieko83
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26 あの事だったとしたら、もう時間も経ってるし…。 『全然良くないよ…。』 〔へっ?!〕 その時、わたしのデスクの内線が鳴る。 …先輩のデスクから…! 〔ほらぁ、やっぱり…!(笑)〕 『だから、何がよ!…はい、〇〇です。』 自分のデスクに来て欲しいって…。
2017-08-09 21:43:2827 ドキドキする…! 『もぅ…!ヤスくんが変なこと言うからっ!』 〔いってらっしゃぁい♪〕 緊張しつつ先輩の所へ。 部屋に入ると更に緊張…だって、先輩1人しかいない…。 『あ…あの…他のみなさんは…、』 「出てるで?みんな駆け回ってくれとんねん。」
2017-08-09 21:43:3328 『は、あ…なるほど…。』 「あー、呼び出して…こんなんアレやけど…昨日はありがとな…これ。」 コンビニの袋を渡される。 中を確認すると、昨日わたしが先輩にあげたのど飴の新品とコーヒー…。 「それ…飲める?ほら、コーヒーて好みあるし…迷てんけど…。」
2017-08-09 21:43:3729 なんだ…やっぱりお礼か…。 『…好き、ですけど、別にこんな…良かったのに…。』 あなたのことも好きです…。 「ついでや。その飴うまかったから…俺も買うてん。」 チラッと見た先輩の目線の先には、同じくまだ開いてないのと、昨日わたしがあげた残りらしきのど飴。
2017-08-09 21:43:4130 「呼び出して悪かったな…その…人前で渡すのは…おまえもそのー…アレかなって…。」 全っ然平気だし、嬉しいですけど…先輩が恥ずかしいんでしょ? だってマスクしてるのに、顔赤いのわかるもん…。 『ありがとうございました…。』 「あっ、いや…こっちこそな…。」
2017-08-09 21:43:4731 かわいい先輩見れたお得感と、やはり単なるお礼だったとゆー残念感…。 先輩に軽く一礼して部屋を出た。 部屋に戻るとニヤニヤしているヤスくんに近付き、袋の中身を見せた。 『昨日、先輩にのど飴あげたの。』 〔……律儀……なんすね…。〕 恐る恐るわたしの顔色伺うヤスくん。
2017-08-09 21:43:5332 〔…なんか…すんません…。〕 わかってる…わかってるよ…ヤスくんが悪いことなんて何も無い。 あー、どこかで期待してドキドキした自分がバカだった! それでも…先輩から何かもらうなんて初めて…なんて、悲しいかな嬉しくて。 飲み慣れた缶コーヒーもいつもよりおいしく感じた。
2017-08-09 21:43:5933 外出していた人たちがにこやかに帰って来たのを確認して、今日はわたしも定時に帰る。 良かった…うまくいったんだな…。 亮ちゃんもいつもの笑顔だ。 エレベーターを1階で降りると、先輩の背中が見えてドキッとした。 今日は早く帰れるのかな…風邪早く治るといいな…。
2017-08-09 21:44:0334 〔侯隆!〕 先輩を下の名前で呼ぶ女の人…。 駆け寄って…2人は向き合った。 綺麗な人…先輩とお似合い…。 話し声は聞こえないけど、ただならぬ関係…に見える…。 先輩のおでこに手を当てる。 それを恥ずかしそうに払う先輩。 なんだ…やっぱり彼女いたのか…。
2017-08-09 21:44:0935 その女性から紙袋を受け取り、先輩は彼女を見送った。 そして、たぶんまた仕事に戻るんだろう…こちらへ振り返った。 動けないでいるわたしの近くまで来たかと思えば「お疲れ」って通り過ぎた。 『…おつかれさまです…。』 涙が零れたのは見られてない…。
2017-08-09 21:44:1436 大人な人だったなぁ…。 わたしにはあんなピンヒール似合わない…。 木曜日 先輩は会社を休んだ。 自分のデスクでお弁当を食べていると、椅子ごと近付いてくる2人。 《弁当、自分で作ってるん?》 亮ちゃんはカップ焼きそば片手に。
2017-08-10 19:31:1837 『当たり前でしょ、いくつだと思ってんの。』 〔料理できるんすか。〕 ヤスくんはおにぎりを片手に。 『人並みにはできると思うけど。』 《ほんならさ!今日!お見舞い行ってくれば?》 〔手料理で胃袋を掴む!やっぱりね~男は手料理に弱いんすよ!てか、病気で弱っとるし!〕
2017-08-10 19:31:2038 『あのねぇ…、』 《弱っとる時介抱とかしてもらえたら…イチコロやんなぁ?》 〔そうそう♪〕 『ちょっと、何勝手進めて…』 〔今日俺ね車なんすよ。ほいで、なんと、主任を家に送ったってゆー実績あるんすよ!〕 《章ちゃんっ、えらい!!》 『もぉ、だから…、』
2017-08-10 19:31:2339 《なんで乗り気やないんっ?チャンスやろ!》 なんで怒られてんの…。 『あのねぇ!先輩にはちゃんと彼女がいるのっ!家になんか行けるわけないでしょっ!』 《〔えぇっ?!〕》 《うそやん…。》 〔しぶやん“アイツずっと女おらん”ってゆーてたで?!〕
2017-08-10 19:31:2740 『じゃあ、その情報古いんじゃない?』 〔そんなことない思うけどなぁ…。〕 《え、それ本人が言うたん?彼女おる、て。》 『言ったっていうか…一緒にいるのを目撃した…んです。』 《ホンマに彼女やった?!イチャイチャしとった?!》 『イチャイチャって…。』
2017-08-10 19:31:3341 あれはイチャイチャ…なんだろうか…。 《ちゃんと確認したわけやないやん!》 だから、なんで怒ってんの…。 〔確認したらえーやん!別に同僚やねんからさ、お見舞いですって、行ったらあかんことないやろ?〕 どーしても行かせたいのね…。 《行くん?!行かへんの?!》
2017-08-10 19:31:3642 もぉぉぉぉ…! 『行くわよ!行けばいいんでしょっ!!』 もう、やけくそだよ! なのに盛り上がる2人…。 そして、終業時間になると2人がすぐに駆け寄って来た。 《帰るで!》 〔早よ!片付け!〕 はいはい…。 なんなら残業でもしてやろうかと思ってたのに…無理だな。
2017-08-10 19:31:4043 3人でエレベーターに乗って降りる。 そして、3人でロビーを経て外へ。 『…あれっ?亮ちゃんも行くの?』 《いや!俺今日デートやし♪》 『あ、そうなんだ…、』 その時“亮!”って呼ぶ女の人の声。 つられて3人とも振り返る。 えっ……あの人……。
2017-08-10 19:31:4444 《俺の女♪美人やろ!》 ちょっと照れながらも自慢気だ。 《ほんなら、行くわ!…がんばれよ!》 ポンと肩を叩いて、彼女の元へ走って行った。 〔やぁっぱ綺麗やなぁ…んで、やっぱりしぶやんに似てんな!〕 『渋谷さん?!』 〔うん、しぶやんのお姉ちゃんやて!〕
2017-08-10 19:31:4845 『渋谷さんの…。』 渋谷さんのお姉さんで、亮ちゃんの彼女で…横山先輩の…先輩の…何? ロビーで先輩の額に手を当てていたのは間違いない…あの人…。 〔亮が担当しとる会社の担当さんで…前は主任が担当しとったとこやから…主任も知ってるかもなぁ?〕
2017-08-10 19:31:5246 でもあれは…知ってる、って程度ではないよ…。 〔あっ!てかさ、しぶやんのお姉ちゃんやったら、小さい頃から知ってんのかな?しぶやんと主任て幼なじみって聞いたことある!〕 幼なじみ…ただの幼なじみ…うーん…それもしっくりは来ないなぁ…。 〔あっ、これ、僕の車~!〕
2017-08-10 19:31:5647 助手席のドアを開けて乗せてくれた。 〔俺の彼女もね?めっちゃカワイイんすよ~!せやからいっつも心配なんすけど、亮もあんな美人やと大変やろなぁ…。〕 そうだよね…モテるよね…。 先輩も…? 〔あ、ここ主任んちから一番近い駅。帰りはこっから乗ってな?〕
2017-08-10 19:32:0048 先輩の家の近くにはスーパーがあって、そこに寄って、車はとあるマンションの前に止まった。 そして最後に号室を教えられた。 〔ほんなら、がんばって!〕 ヤスくんはわたしに向かってガッツポーズを決めて去って行った。 そもそも…部屋に入れてくれるんだろうか…。
2017-08-10 19:32:0449 震える手で教わった号室を呼び出してみる。 ……無反応……。 そうだよ…体調悪いんだもん…寝てるんだよきっと。 どうしよう…と、迷ってたら「はい」って先輩の声が聞こえた。 『えっと!あのっ…!』 「…開ける…。」 目の前の扉が開いた。
2017-08-10 19:32:0850 入っていいってことだよね…。 建物に入り、エレベーターに乗り込む。 やばい…緊張のピーク…。 エレベーターを降りて部屋へ近付く足は、なんだか縺れそうなくらい。 部屋の前に着いて深呼吸…。 と、ドアが開いてビックリ。 「…遅いな…思て…。」
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