【不器用すぎる恋】

りえこ @eighter_rieko83

51 久しぶりにマスクしてない先輩の顔…。 少し顔が赤い…熱があるのかな…？ 声は戻ってる気がするけど…。 「そんなジッと見んな…とりあえず…入ったら？」 『あっ…！す、すみません、突然押しかけて…！』 パジャマ姿の先輩…かわいい…！ お部屋は物が少なくてキレイ。

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52 ソファーに座った先輩に近付けず、突っ立ったまま。 「仕事でなんかあった？」 『いえ！何事も…あの…お見舞いに来ました…ご迷惑だとは思いましたが…。』 言いつつも、それを肯定されるとツラい…。 「風邪伝染っても知らんで。」 『それは…覚悟の上です。』

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53 あまり表情は変わらないけど、迷惑そうではないかな…？ 『あの、キッチンお借りしてもいいですか？』 「えぇけど…なんか作ってくれるん？」 『まぁ…期待はしないでもらえると助かりますが…。食欲はありますか？』 「…あんまないねん…。」 『そうですか…わかりました。』

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54 よし…こうなったらもう図々しくいこう。 勝手に冷蔵庫開けたり、お鍋とかも借りて調理する。 気付いたら、先輩がさっきの体勢のままこちらを見てるから、恥ずかしい…。 『せっ、先輩！できるまで寝ててくださいっ！』 「…おん…。」

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55 ゆっくり立ち上がったけど、なんかフラフラしてて、慌てて駆け寄る。 『大丈夫ですかっ？！』 「大丈夫や…。」 支えようと腕に触れた。 『わっ…あつっ！』 「あと熱だけやねん…やから、大丈夫や。」 『もう…大丈夫じゃない…っ。』 脇に潜って、腕と腰に手を当てた。

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56 一緒にゆっくり寝室へ。 横たわった先輩に布団をかけたら、手首を掴まれた。 「残念やわ…せっかくウチ来てくれたんに…。」 それって…どういう意味…。 『なっ、なに言ってるんですかっ…あ、ごはん！作ってきます！///』 熱のせい？ あんな色っぽい目で…。

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57 ひとつ、大きな息を吐いて落ち着かす。 ベタだけど…お粥に浅漬け、味噌汁、卵焼き…これで大丈夫かな…食べれるのあるかな…？ 他にも何品か作ったけど、これはもっと元気になってから…食べてくれればいいけど…と、冷蔵庫へ。 『…先輩…？』 寝室を覗くと先輩の綺麗な寝顔…。

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58 うっ…美しすぎる…。 そして、我得すぎる…。 嬉しすぎて泣きそう…。 って、萌えてる場合じゃない。 ベッドの横にしゃがんで恐る恐る声をかけてみる。 『…先輩？ごはんできましたよ？』 …んー…無反応…。 おデコにそっと触れてみる。 これ…何度あるんだろう…相当熱い…。

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59 寝てるし…この熱…もらっちゃおうかな…。 なんか急に大胆に…先輩にチュッとキスをした。 …うわ…わたし、何して…、 「自分、ホンマに伝染んで…？」 起きちゃったじゃーん！(泣) 『せっ先輩が苦しそうだからっ…もらっちゃおうって…思ったんですっ！///』

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60 もうヤケクソだ(泣) 「…ほんなら、もっかいして…？」 『えっ…？』 先輩の手が伸びてきて、わたしの頬に触れた。 誘われるまま…もう一度唇を合わせる。 軽く、のつもりだったのに、先輩の手がいつの間にかわたしの頭の後にあって…離れようとするのを許してくれない。

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61 『んんっ…はぁ…せんぱぃ…、』 まだいつでもキスできる距離で見つめ合う。 「ギブ？」 『だ、だって、先輩、熱…、』 「おまえのせいでまた上がってもぉたやんけ。」 『そ、そんな…。』 「ふは…でもこれ以上は止めとくわ。」 『あっ、当たり前ですっ！///』

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62 「また…ウチ来てくれる？」 『えっ…？』 「…なぁ、ちょっと横来て？」 布団を捲って自分の隣をポンポンと叩く。 『えっ？…えっ？』 「早よ。」 戸惑いつつも、言われた通り先輩の隣に横たわる。 と、すぐさまギュッと抱きしめられる。 『せんぱいっ？！』

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63 「ごめん…メシは後でちゃんと食うから…少しこんまま眠らせて…。」 いつもの先輩じゃ考えられない…こんなの…ずるい…。 逃げられないじゃん…。 彼女…いるかもしんないのに…それも…これじゃ聞けない…。

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64 どれくらい眠ってたか…目が覚めた。 あ、やばい…一度家に帰ってから会社行かなきゃ…。 目を開けると、目の前に先輩の寝顔。 離れたくないけど…仕事には行かなきゃ…あの２人になんて言われることか…。 わたしを抱き枕にしてる先輩のおデコに、そっと触れた。

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65 良かった…熱下がってる。 ゆっくりと先輩の手を剥がして起き上がる。 「帰るん？」 『あ…ごめんなさい…！起こしちゃった…。』 「なぁ…帰るん？」 『うん、着替えて会社行かなきゃ。』 「えぇやん…一緒に休もぉやぁ。」 そう言ってまたわたしを抱き枕にする。

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66 『ちょっ…///先輩っ、…わたし元気なのに、休めません。今日行ったら明日はお休みだし…、先輩がいいんだったら…またお見舞い来ますから…。』 「…伝染ってへんの？」 『……たぶん…今のところは…なんとも…。』 じーっと見つめられる…と、キスされた。

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67 「伝染った？」 『もぉ…先輩…！///』 先輩は少し笑って起き上がった。 時計を確認すると、わたしを置いて寝室を出ていく。 わたしも先輩の後を追う。 『先輩？』 「タクシーで帰り？」 そう言ってお金を渡された。 『えっ！そんなっ！電車で、』

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68 「えぇから。シャワー浴びたりもしたいやろ？タクシーのがえぇて。」 優しい笑顔がわたしを見つめる。 『…はい…ありがとうございます…。』 「いや…こっちこそ、ありがとうな…メシ、今から食べさしてもらうわ。」 そして、ギュッと抱きしめられた。

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69 『…先輩？』 「んー？」 『今日まで休んでくださいね？まだ熱完全に下がったわけじゃないでしょ？冷蔵庫にも色々作り置きしてるから…。』 「…ありがとな…。」 …すっごく…離れたくない…。 でも、心を鬼にして外へ出た。 家に帰ってシャワーして出ても余裕な時間。

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70 金曜日 先輩、ごはん食べたかな…？ お口に合ったかな…？ 〔おはよーございますー！〕 『あ、ヤスくんおはよう。』 〔えへへへーどぉでした？昨日。〕 『うーん…まぁ…。』 そりゃ聞かれるか…。 どうしよう、下手なこと言えない…一生からかわれる…。

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71 『熱が…すごくてフラフラしてた…。』 〔ふえぇ…あっ、ちゃんと聞けましたぁ？〕 『え？何を？』 〔何をって…彼女おるかおらんかでしょー！もぉ…。〕 『だ、だから！それどこじゃなかったの！』 〔ふーん…そぉかぁ…じゃ、今日直接聞いてみよーかなぁ♪〕

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72 『いや…今日までお休みだと思うけど。』 〔へっ？！じゃ、あそこにおるの誰？？〕 『えっ？！』 やだ…まさか…嘘でしょ…。 〔主任と亮に見えるけどなぁ…。〕 『ほ…ホントだ…。』 もう…休んでって言ったのに…！ 先輩らしいけど…。

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73 〔…あれ…？亮と…喧嘩しとる？〕 あれ？なんだ？ 喧嘩というか…亮ちゃんが怒ってるというか…。 ヤスくんと顔を見合わせる。 再び２人に目を向けると、亮ちゃんはスタスタと主任を置いてエレベーターに乗り込んでった…。 〔おはようございます…何事ですか？〕

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74 「あぁ…おはよう。…や…なんでもないねん…。」 わたしとヤスくんの顔を確認して、もごもごする先輩。 そして、上がってしまったエレベーターを呼ぶべくボタンを押した。 〔…風邪はもぉえぇんですか？〕 「あぁ…昨日はすまんかったな…なんもなかった？」

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75 〔はい、それは大丈夫でしたけど…。〕 亮ちゃんが怒ってたのって…もしかして、あの綺麗な女の人と関係がある…？ もしかして…もしかしてだけど…やっぱり先輩と付き合ってて…二股…とか？ そういえば先輩の家、綺麗だったなぁ…彼女が綺麗にしてくれてる…的な…？