【不器用すぎる恋】

りえこ @eighter_rieko83

76 だったらなんでキスなんて…。 あーやだやだ！！ わたし、なんで先輩のことになると、こうもネガティブなの？！ 〔主任と何話してたん？〕 ヤスくんの声に振り返った亮ちゃんは、明らかに不機嫌で…眉間にシワ寄せながら《別に》って目を逸らした。

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77 ヤスくんはお手上げって感じで首を捻って自分のデスクへ。 わたしもそれ以上話しかけることもできず、黙って仕事を開始した。 夕方、今日はここまでやろうって、仕事の量を決めた所へ、先輩がたくさんの書類を持って目の前に現れた。 「これ、書庫で調べて欲しいねんけど。」

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78 『えっ？！』 すごく…たくさんありますけど…？ 「急ぎやねん、これお前しかできんやつやから…頼むわ。」 『……はい……。』 先輩は無表情でその場を去ってった。 なに…？ なんなの？ 嫌がらせ？！ 今日の着地地点決めた時間に…持ってくる？！

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79 〔あーあ…何これ…？大丈夫っすか？〕 全然大丈夫じゃない…。 なんかすごく…腹が立つ！！ 『大丈夫…。』 〔手伝いましょか…？〕 《そんなん、せんでえーねん。放ったらかして帰りや？》 心配するヤスくんに…怒ってる亮ちゃん…。 わたしは…意地でもやってやる！！

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80 『大丈夫！これ前も調べたことあるから！探すコツ分かってるの♪じゃ、書庫行ってくるね！』 精一杯笑顔を作って、部屋を出た。 これ…そんなに急ぎなの…？ 見たとこそうは思えないんだけど…てか…あの無愛想具合！ あれが仕事頼む態度？！ 昨日の優しさはどこいったのよ？！

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81 あんなんだから、わたしのこと好きなのかも…って確信を得られないんだよ！ 結局あの女の人とどんな関係なのかも分からないし…あー、腹立つ！！ 発狂しそう！ 気付けば定時刻を30分過ぎていた。 休日前は誰も残業しないから、きっと残ってるのはもうわたしだけだよね…。

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82 先輩…まだいるのかな…？ 体調…もういいのかな…？ あーなんだ…結局気にしてるじゃん…悔しいなぁ…。 その時、書庫の扉が開く音がした。 ちょっとびっくりして、そちらを見る。 『…先輩…。』 「おぉ…すまんな…残業さして…。」 『…まだいらしたんですね。』

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83 「人に仕事頼んどいて、自分だけ帰るわけないやろ。」 『でも…先輩病み上がりだし…。』 隣に来て先輩も棚から書類を取り出す。 「…昨日はありがとな…。メシ、美味かったわ。」 視線は書類だけど、優しい声。 『食べてくれたんだ…。』

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84 「当たり前やろ。食べる言うたやん。」 『…嬉しいです…お世辞でも、そう言っていただけて…。』 「お世辞ちゃうし。」 何これ…書類持って来た時と全然違うんですけど…ツンデレ？！ 「おまえさぁ…俺に女おると思てんの…？」 『へっ？！』

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85 「今朝…錦戸にめっちゃ責められてんけど…。」 『えぇっ？！』 亮ちゃん…責めたっ…？！ 「そんなんおらんゆーたのに…じゃあ〇〇が見た女は誰ですか？！て…そう思われる心当たりは…あったけど、知らんゆーたら…なんやキレて…遊びなんかとか…なんとか…。」

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86 亮ちゃん…わたしの為に怒ってたんだ…。 「…ロビーの…アイツか、おまえが俺の女や思とるの。」 『…だってそうでしょ…？単なる“友達”には…見えなかった…。』 「…まぁ…単なる、ではないか…。」 やっぱり…。 「幼馴染み…取引先の元担当同士…で、…元カノ？」

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87 元カノ…。 「アイツはすばるの姉貴で、あの２人とは幼馴染み。付き合ってたのはまだ学生の時…もう10年以上も前や。やから今回仕事の助け借りる為に久々連絡したら、風邪バレて…小さい頃から薬とか飲むん嫌いやったから、せめてって…仕事ついでに栄養ドリンク持ってきてくれてん…。」

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88 あの紙袋の中身は栄養ドリンクだったのか…。 なんだ…。 元カノは何でも知ってる…か…。 「安心せぇよ…アイツは今錦戸に惚れ込んどるから。俺かて…おまえに…。」 『…えっ？！』 「あのっ…///あれやっ！…おまえ…俺がっ、そのっ、女おるのにあんなんした思たんっ？！」

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89 『それはっ…、』 「俺…そんないい加減ちゃうぞ…。」 それって…わたしのこと好きってこと？ そう理解していいの？ 先輩の横顔をじっと見つめる。 「そんな…じっと見んな…。」 そう言ってわたしの書類を取り上げて、それを雑に棚に放り投げた。 気が付くと先輩の腕の中。

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90 ギュッ…と抱き締められて、感情が溢れてくる。 『先輩…大好きです…。』 「知ってる…俺も…おまえが好きや。」 ……うわ……！ どうしよう…うれしい…！！ 泣きそうなのを我慢してたら、先輩の手が背中から両肩に移った。 そして、あっという間にキスされてた。

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91 優しいキスが、どんどん深くなってくる。 『せんぱぃ…もぉ…熱下がったんですか？』 「下がった。」 尚も続くキスで背中が書棚にくっつく。 『あ、のっ…仕事急ぎじゃ…、』 「休み明けでえぇ。」 そんな…先輩が急ぎだって…。 先輩の手がシャツのボタンを外す。

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92 『せんぱぃっ…ダメだよ…、』 「なんで？待ってたんやろ？こうされんの。」 『えっ…でも…ここ会社だし…、』 あれ………？ なんか…こんなセリフどこかで…。 「だぁれもこーへんよ…えぇやん…な…？」 『…あっ…せんぱぃ…っ///』 そうだ夢で…。

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93 シャツのボタンが全て外れて、キャミの中に先輩の指が。 「今日、ウチ連れて帰るつもりやから。」 ブラを押し上げて、直接胸を触ってくる。 『あっ…だ、だったら…早く帰りましょ…？』 「おん…せやな…。」 そう言うのに、また唇塞がれて、スカートを捲り上げてくる。

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94 そして、左指が下着の上、いちばん弱い所を縦になぞる。 『んんっ…。』 それだけで、もう足がガクガクしてるのに、すぐに下着の中に入ってくる。 「…あれ？もう濡れてるやん(笑)」 『あ…ん…やだ…っ、』 長い指がヌルヌルと刺激してきて、ホントにもう崩れ落ちそう…。

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95 反対の手で下着が下ろされ、片足を持ち上げられると、もう一方の足元へ下着が落ちた。 スッと刺激が無くなったかと思えば、先輩は自分のベルトをカチャカチャと緩めて、それをわたしのそこに擦り付けた。 「こんなやねん…えぇやろ…？」

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96 照れ屋な先輩が、すっかり男の色気いっぱいで…そんなの、断れるわけないよ…。 『…は、ぃ…。』 足を抱え上げ、腰を押さえ、先輩がゆっくりと入ってくる…。 「は…ぁ…キツイな…。」 ゆっくりと動き出す。 まさか…こんなところで先輩と繋がるなんて…。

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97 夢では…亮ちゃんに邪魔されたなぁ…。 でも現実の今、誰にも邪魔されることなく…先輩はわたしを見つめて、わたしを求めてくれている。 その事実が余計にまた身体を熱くする。 「ちょ…手ぇついて？」 身体を反転させられて、書棚に手をついた。 後ろから再び先輩を感じる。

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98 『やっ…あっ…せんぱ…、』 「こっち…見て…？」 片手を引っ張られて、後ろを見ると、繋がったまま先輩と唇が重なる。 その間も揺れが止まることはなく…もう限界はすぐそこ…。 『んっ…んんっ…！』 唇を離すと、先輩が言った。 「イキそ？」

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99 頷くと、わたしをギュッとして耳元でこう囁いた。 「…俺も…。」 もっともっと激しく揺らされて…。

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100 月曜日 《えぇ週末になりました？》 どうやら亮ちゃんは、すこぶるご機嫌のようだ。 『……おはよう、亮ちゃん。』 《なぁんすか！答えになってへんし！》 〔そぉりゃもぉ～えぇ休日なったに決まっとるやぁん、ねぇ～〇〇先輩～？〕 な…に…？ ヤスくんまで…。