原子力損害賠償制度に関わる議論の経緯 tnihei さんによるまとめ

Takafumi Nihei (@tnihei) さんが、立法当時まで遡って、これまでの原子力損害賠償法・制度に関わる答弁、議論の経緯を丁寧に調べて頂いております。非常に参考になるため、ご本人の了解の下、まとめてみました。 ご興味ある方はこちらも。→ http://togetter.com/li/114221
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tnihei @tnihei

中曽根国務大臣…その点は、御趣旨の通りでありまして、第一条の「原子力事業の健全な発達」ということもこの法案の目的でございますから、原子力事業が健全に発達できないような措置は含まれないと解釈しております…

2011-04-18 06:37:44
tnihei @tnihei

…たとえば、発電会社のような場合には、電気料金というものは公益事業で統制されて、政府の認可を要するわけであります。電気事業者が勝手に上げるというわけには参らないものであります…

2011-04-18 06:37:47
tnihei @tnihei

…そういう面からしましても、発電会社等の経営というものは、一定の限度があり、また、公共性があると思うのであります。そういう上から統制を受けておるものについて会社が壊滅的打撃を受けて原子力事業が発達できないような措置を、この第十六条において期待しているものではないのであります…

2011-04-18 06:37:52
tnihei @tnihei

…やはり国が料金を統制している以上は、ある程度原子力事業あるいは発電事業というものの健全な発達、あるいは大衆に迷惑がかからないようにするということも考慮の中に含まれているものでありまして、御趣旨の通りであるとわれわれは考えております…

2011-04-18 06:37:56
tnihei @tnihei

@isologue 「原子力損害」の定義は、いわゆる核的災害「により生じた損害」なのですが、原子力損害を与えた場合に原子力事業者が原賠法に基づいて無過失責任を負う損害の範囲は、直接的損害に限定されずに核的災害と相当因果関係がある間接的損害も全て含むと解するのが通説のようです。

2011-04-19 00:35:12
tnihei @tnihei

竹内昭夫「原子力損害二法の概要」31頁ジュリスト236号(1961)…それが右のようにいわゆる核的災害による損害を意味するということは、損害の範囲を、「死亡、人体傷害、財産の滅失または毀損」(IAEA案一条一〇項本文)という… http://bit.ly/e8vhOX

2011-04-19 00:37:08
tnihei @tnihei

…いわば「直接的損害」に限る趣旨ではなく、核的災害に「よる」と認められる限り、つまり相当因果関係があると認められる限り、いわば「間接的損害」、つまり慰籍料や休業利益の喪失、退避命令による退避損失等をもすべて含むとしている点である…

2011-04-19 00:37:15
tnihei @tnihei

…わが国では、後述のように原子力事業者の責任を制限していないため、およそ核的災害と因果関係のある損害はすべて本法によって賠償の請求をなしうることにしている。したがって、賠償法による請求のほかに、民法の不法行為に関する規定によって請求されることはないわけである…

2011-04-19 00:37:21
tnihei @tnihei

水戸地判平成20年2月27日…同法3条1項にいう「原子力損害」とは…をいう(同法2条2項本文)ところ、原賠法その他の法令上、原賠法3条1項によって賠償されるべき損害の範囲に関する規定は何ら存在しないから、民法上の債務不履行ないし不法行為による損害賠償責任に関する一般原則に従って

2011-04-19 00:44:00
tnihei @tnihei

「核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用」と相当因果関係がある損害の全てが原賠法3条1項により賠償されることになるものと解するのが相当である…

2011-04-19 00:44:03
tnihei @tnihei

…さらに、原賠法に規定する原子力損害の賠償責任は、原子力事業者に対して原子力損害に関する無過失責任を規定するなどした民法上の損害賠償責任に関する規定の特則であり、民法上の債務不履行又は不法行為の責任発生要件に関する規定は適用を排除され、その類推適用の余地もないのであるから…

2011-04-19 00:44:06
tnihei @tnihei

本件事故による被曝と相当因果関係があるものとして損害賠償を請求する限りにおいては、原子力事業者に該当する被告JCOとの関係においても、民法上の不法行為に基づいて、損害賠償を求めることはできないというほかない…

2011-04-19 00:44:11
tnihei @tnihei

原賠法制定時の国会答弁。佐々木義武政府委員(科学技術庁原子力局長):事故が発生した場合の退避の際に要した費用等に関しましては、もちろん、相当因果関係を持っている場合には賠償額の中に入りますが…いわゆる原子力損害とは何ぞやという… http://bit.ly/gSxTGe

2011-04-19 00:56:01
tnihei @tnihei

…損害そのものの定義の中には、そういう費用は入っていないというふうに解釈しております。前田委員:そうすると、損害の中には入ってないけれども、補償の中には、民法の相当因果関係の範囲のものは全部入る、こう解釈していいわけですか。佐々木政府委員:その通りでございます…

2011-04-19 00:56:06
tnihei @tnihei

吉田委員:…民法上の因果関係論が援用されるのだと思うのですけれども、直接損害であると、間接損害であるとを問わないと思う…杠文吉政府委員(科学技術庁原子力局長):直接損害、間接損害を問いません。吉田委員:それから精神的な損害についても同様ですね。杠政府委員:その通りでございます…

2011-04-19 00:56:13
tnihei @tnihei

被害者保護に不安が残るのであれば立地が困難であるし、原子力事業者のリスクが大きすぎるのでは民間業者が参入を躊躇する、という状況を前提として、原子力を推進するために原賠法を制定して、「国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内」という甚だ曖昧な制約はあるものの、

2011-04-27 00:21:29
tnihei @tnihei

潜在的な被害者には、賠償措置額を超えて原子力事業者の資力ではまかなえない損害が生じた場合でも国が援助して満配させるので「被害者の保護」は図られる、事業者には、「原子力事業の健全な発達」にも配慮して援助するので破産までは心配ない、という趣旨の説明をしてきたわけでして、

2011-04-27 00:21:38
tnihei @tnihei

今後は原子力の推進が政治的に可能な状況なのかは分かりませんが、だからといって過去に国がコミットしたことを一方的に反故にすると、それはそれで繰り返しのある状況で一方当事者がするコミットの信頼性に影響を与えることになって、他の当事者のインセンティブに思わぬ影響を与えそうな気がします。

2011-04-27 00:22:30
tnihei @tnihei

ある時点で日本は原子力を推進するという意思決定をしてそれを継続してきたのでしょうから、その結果を粛々と甘受するのはやむを得ない気もします。加藤一郎「原子力災害補償立法上の問題点」ジュリスト190号(1959)から含蓄のある箇所を引用。 http://bit.ly/dSYLTH

2011-04-27 00:23:20
tnihei @tnihei

国家補償なしに最後の損害を全部企業がかぶるとすれば、場合によっては企業は潰れるほかはなく、原子カ産業に手を出す者はなくなるおそれ…被害者となるおそれのある一般国民の側を見れば、十分な救済が得られなければ原子炉の設置に対する反対が強くなり、その面から原子力産業の発達が困難に…

2011-04-27 00:23:32
tnihei @tnihei

…こういう見地から原子力産業の育成・推進をはかるとするならば(原子炉を禁止せずに、その設置を許すということは、原子炉の危険性ということを考えれば、単なる許容・放任ではなく、積極的な推進政策だといってよい)国家補償は政策的に必要である…

2011-04-27 00:23:42
tnihei @tnihei

…前述のように、原子力産業を国として育成する以上はその負担は全国民が負うべきであり、財政収入が不足ならば税金を高くしてでもそれを補うべきであろう。いいかえれば、原子力産業の育成ということは、現状では、国民としてそれだけの覚悟をもって考え決定すべき問題だといえよう…

2011-04-27 00:23:50
tnihei @tnihei

http://togetter.com/li/114804 でまとめたものとほぼ同じ内容ですが、読みやすいように、原賠法3条1項但書の免責事由に関する議論に関連するだけをtumblrでまとめ直してみました。っ http://bit.ly/iXrXB8

2011-05-20 17:52:13
tnihei @tnihei

日経5月25日経済教室の野村修也「東電公的管理の課題(上)賠償枠組み、整合性に疑問 -免責回避の判断誤り 無限責任なら更生法が筋」、現段階ではタイトルと記事の一部しか読めていないのですが、その部分だけでも違和感ありますね。 http://ow.ly/i/c1e9

2011-05-25 17:06:09
tnihei @tnihei

3条1項但書の免責事由について『事故の原因は「異常に巨大な天災地変(巨大津波)」であって、免責規定が適用されるべき』と言ってるあたりは、免責事由についての過去の議論を踏まえた上でのご主張なのかどうか。 http://bit.ly/iXrXB8

2011-05-25 17:06:16
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