渋谷すばる×朱(あき)3

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えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【51】 電話が鳴ってた気がする、何度も何度も… でも、出なかった。 だんだん部屋の中が暗くなってくる。 少しずつ、だけど確実に闇に引き込まれていく。 このまま一緒に闇に溶けてしまったら、何も考えなくて済むのに… そんな事を考えながら、私は目を閉じる…

2014-02-24 10:53:25
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【52】 電話が繋がらへん… 空き時間ができる度に、電話してるのに、聞こえてくるのは無機質なコールばかり。 店にかけてみても、誰も出らん… 忘れかけてた記憶が蘇る。 あの時も、俺は…何も知らんと電話をかけてた。 電話に出ないことに、イライラしながら、何度も…

2014-02-24 10:53:27
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【53】 大丈夫や。 あんなこと、そんな何回も起こることちゃう… そう、自分に言い聞かせてみても、一度芽生えた不安は、少しずつ俺を蝕んでいく。 「…ばる、すばる!」 振り返ると、ヒナがこちらに歩いて来てた。 「仕事終わり…って、どうした、その顔!」 「ヒナ…」

2014-02-24 10:56:16
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(・_・)×朱【54】 「何か…あったんか?ずっと電話ばかりしとるけど…」 「電話…繋がらへん。あいつが、電話に出えへん…」 「あいつ、て…朱さんか?」 「店にも電話したんに、誰も出らん」 「そら、おかしいな…紫、今日行く言うててんけど…」 その時、着信音が響いた。

2014-02-24 10:56:57
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(・_・)×朱【55】 ヒナの携帯からだった。 「紫か?…おん…おん、そうか、分かった。お前、今日はもう帰っとき。また、連絡するわ」 そう言って電話を切ると、俺に向かって、 「今日、店、開いてないって。臨時休業の張り紙がしてあったって…おいっ!」 俺は、思わず走り出していた。

2014-02-24 10:58:00
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(・_・)×朱【56】 店の入り口には、俺が昨日貼った貼り紙がそのままだった。 朱…今日、ここに来てない… 店におれって言うたのに… 訳の分からない感情に捕らわれたまま、マンションに向かいながら祈る。 朱…俺の前から消えるな。 俺を置いてかんでくれ。 頼むから…

2014-02-24 10:58:33
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(・_・)×朱【57】 マンションにたどり着いて見上げてみると、部屋に明かりは点いておらず暗いままだった。 寝てるんか? それとも部屋におらんのか? 焦る気持ちを抑えつつエレベーターに乗り込む。 何時もよりも昇るスピードが遅く感じる…

2014-03-06 22:28:40
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(・_・)×朱【58】 扉が開くと同時に飛び出して、玄関に駆け寄りドアノブを回してみると、鍵はしっかりかかっていた。 合鍵を取り出して、鍵穴にさしこみ、静かに回すとガチャリと音を立て、鍵が開いた。 ドアノブを回し、ゆっくりと開けてみる。チェーンはかけられていなかった。

2014-03-06 22:29:41
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(・_・)×朱【59】 だけど部屋の中は真っ暗で、不気味なくらい静かだった。 まるで、部屋全体が闇に飲み込まれているようで、明かりを点ける事さえ躊躇われるくらいだった。 次第に闇に目が慣れてくる… 玄関は、俺が今日出て来た時と変わってないみたいや… あいつの靴もある…

2014-03-06 22:30:04
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(・_・)×朱【60】 暗い廊下を一歩ずつ進んでいく。 リビングに着いて、明かりを点けてみると、ソファに倒れこんでる人影が目に入った。 朱っ‼︎ 思わず駆け寄って顔を覗き込むと、静かな寝息を立てて眠っているだけだった。 息してる…生きてる… 安心の余り涙が出そうだった。

2014-03-06 22:30:37
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(・_・)×朱【61】 「朱…こんなとこで寝たら、風邪引く」 と静かに揺り起こすと、薄く目を開ける。 だけど、なかなか目が覚めないのか、焦点は定まらないままだった。 「すばる…何でここに? そっか…これはまだ夢なのか…すばるが此処に来るわけないよね…来てくれるわけないよね…」

2014-03-06 22:31:01
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【62】 「朱?何、言うとるんや。ちゃんと目ぇ覚ませ」 「…で切れば知られたくなかった。ずっと側にいたかった。でも、おしまい。全部知られちゃったから、終わってしまう。もう、側にいられない…」 「朱!しっかりしろて。俺はここにおる。お前の目の前におるやろ?」

2014-03-06 22:31:55
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(・_・)×朱【63】 「大事な人なのに…幸せにしてあげたい人なのに…私には何もしてあげられない。もう…消えてしまいたい…」 「朱…俺、ずっと側におるって、離れへんって言うたやんか。何で信じてくれんの?朱…お前がおらんなあかんねん。誰とでもないお前やないと幸せやないんや…」

2014-03-06 22:32:18
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(・_・)×朱【64】 「ごめんね…すばる、ごめんなさい…」 そう言いながら、再び眠ってしまったあいつを見ながら、俺はこれからどうしたらいいのか、どうすればいいのか考えてみるものの、正直言って、途方にくれていた。 朱…お前がいてくれれば、それだけで俺は幸せやのに…

2014-03-06 22:33:09
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(・_・)×朱【65】 窓の外が少しずつ明るくなり、再び部屋に光が満ちる。 その光に導かれるように、私は目が覚めた。 昨日は、あのままソファで眠ってしまったらしい… こんなに寝たのって、いつぶりなんだろう。 いつの間にか掛けられてる毛布。 自分で持ってきたわけじゃないよね…

2014-03-06 22:33:40
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(・_・)×朱【66】 ゆっくりと周りを見回すと、床に横たわって死んだように眠るすばるを見つけた。 そういえば、店に行くから待ってろって言ってたような… 店、開けなかったから、ここまで来てくれたんだ。 たぶん、何度も起こしたけど起きなかったんだよね、私。 申し訳なかったな…

2014-03-06 22:34:24
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(・_・)×朱【67】 でも、こんなところで寝てたら、風邪引いちゃう。 心なしか、顔色も悪いし… そう思って、起こそうと伸ばした手をいきなり掴まれる。 何かのスイッチが入ったように目を開いたすばるが、静かに何かを確かめるように私を見つめている。

2014-03-06 22:34:52
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(・_・)×朱【68】 「すばる…どうしたの?」 「…ゆうべの事、覚えてないんか?」 「ゆうべ? 私、何かしたの?」 「そうか…覚えてへんか。覚えてないんやったら、それでいい」 「何…何があったの?気になる…」 「大したことちゃう…寝ぼけとっただけや…そや、何でもあらへん…」

2014-03-06 22:35:19
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(・_・)×朱【69】 「すばる」 「それより、腹減ったな。飯食わせて」 それ以上、何も教えてくれないすばるに、疑問を感じながらも、食事の準備に取りかかる。 朝食を作りながら、昨夜の事を思い出そうとするものの、やっぱり何も覚えていない。ただ、哀しい夢を見ていたような気がした…

2014-03-06 22:35:41
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【70】 詳しいことは何もわからないけど、胸が切り裂かれるくらいに痛くて、哀しかった事だけ、何故か覚えている… その日のすばるは、何かがおかしかった。難しい顔して、妙に考え込んでいて。話しかけるとちゃんと答えてくれるけれど、心が何処かに行ってしまっていた。

2014-03-06 22:35:56
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(・_・)×朱【71】 やっぱり…もう駄目なのかな、私たち。 もしかしたら、すばるは、言葉を探してるのかもしれない。 私を傷つけないように、後腐れの無いように。 いつも笑ってるわけではないけれど、こんなに固い表情を見るのは久しぶり。 視線も、不自然にそらされている気がする。

2014-03-06 22:36:43
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(・_・)×朱【72】 ゆうべ、私が何をしたのか分からないけれど、明らかにそのせいで、今日のすばるはおかしいんだ、という事だけは分かる。 すばるを悩ませるくらいなら、いっそ私の方から言ってしまおうか…心が完全に離れてしまう前に。 私は、もう十分に幸せをもらったはずだから…

2014-03-06 22:37:11
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(・_・)×朱【73】 「ねぇ…すばる」 「何や」 「私たち、もう、終わりにしようか?その方が、すばるのためにも…」 「はぁ⁈ 何、言うてんねん。俺が、いつそんな事言うた! お前、俺が昨日言うた事、忘れたんか?」 すごい剣幕で怒鳴られて、その勢いに負けそうになる。 「でも…」

2014-03-06 22:37:40
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(・_・)×朱【74】 「忘れたんなら何度でも言うたる。俺は、お前を離すつもりはない。ずっと!一生!分かったか?」 「でも、私は…」 「だから、何や。ええか、もう一度だけ言う。俺はお前を離すつもりは、今後一切ない!これで、この話は終わりや。もう二度と言うな、分かったか?」

2014-03-06 22:38:04
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【75】 「すばる!」 「…時間や。仕事行ってくる」 そう言って立ち上がると、玄関に向かう。 それを追いかけて玄関に行くと、 「今日は遅なるから来れへん。また、明日来るから」 それだけ言って、玄関を出る。 目の前で閉ざされた扉が、すばるの想いを表すようだった。

2014-03-06 22:38:20
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