渋谷すばる×朱(あき)3

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えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【126】 ただぼんやりと天井を見つめていたら、看護師がやって来て、いろいろと話しかけてきた。それに応えながら、さっきから一番聞きたいことを聞いていいものか迷っていた。 「そういえば…男の人がずっと付き添ってくれてたけど」 「え?」 「お仕事行ったのかな?」

2014-04-06 22:13:00
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(・_・)×朱【127】 「…たぶん。目が覚めた時には、誰もいなかったので、わかりませんけど」 「そっか…残念だったね」 「…ケガ…してませんでしたか?」 「してないみたいよ、私もよく知らないけど。夜勤の人の話だと、怖い顔してそれを見つめてたって」 と、ベッド脇の機械を指差す。

2014-04-06 22:13:08
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(・_・)×朱【128】 「何があったのか知らないけど、あまり無茶して彼氏に心配かけないようにしないとね」 「そうですね…」 そんな会話をしながら、その看護師は、私の体からいろいろなものを外していく。 すばるが睨んでいたという機械も外されて、眠りについた…

2014-04-06 22:13:21
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(・_・)×朱【129】 お昼からは、部屋も移った。個室だったんで驚いたけど、確かに大部屋はまずいかも…と思い直す。貯金…いくらあったっけ。お店もどうなってるんだろう…。 夜になって、紫ちゃんがやって来た。部屋に入るなり、 「姉さんのバカ〜」 って泣き出して…困った。

2014-04-06 22:13:33
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(・_・)×朱【130】 しばらくして泣き止むと、ゆうべの事を話してくれた。 大声で名前を呼び続けて暴れてたこと。 だけど救急車のサイレンが聞こえた瞬間に、人形みたいになってしまったこと。 病院に着いてからもずっと黙ったままで、そのまま戻ってこないような気がしてたこと。

2014-04-06 22:13:40
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(・_・)×朱【131】 「姉さん…あまり無茶しちゃダメだよ。私も心配だったけど、すばるさんは見てられなかった。信ちゃんも辛そうだった」 「ごめんね…これから気をつける」 「それ、私じゃなくて、すばるさんに言ってあげてね」 「分かってる」 「本当かな…あ、メール来た…え?」

2014-04-06 22:13:54
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(・_・)×朱【132】 メールを読んで、ため息をつく。 「信ちゃんに、部屋移ったこと、メールしといたんだけど、すばるさん、伝える前に一目散に行ってもうたって…」 「…」 「姉さん…私、行ってくる…」 「お手数かけます…」 「本当だよ、もう…」 紫ちゃん…ごめんなさい。

2014-04-06 22:14:00
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(・_・)×朱【133】 紫ちゃんに連れられて部屋に入ってきたすばるの顔色は、今にも倒れそうに悪くて。本当にどこもケガしてないのかと、心配になった。 だけど、私の顔を見て、ホッとしたように表情が緩んで。 私が思っていた以上に、彼に心配をかけてしまっていたんだな、と反省する。

2014-04-06 22:14:14
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(・_・)×朱【134】 紫ちゃんが帰ってからも、しばらく入り口に立っていたすばるが子どもみたいに見えて、思わず笑うと、泣きそうな表情になって、それを隠すように近くの椅子に腰掛けた。 「そばに来て」 と言ったら、うつむいたままベッドの側までやって来る。

2014-04-06 22:14:22
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(・_・)×朱【135】 「もう…起きても大丈夫なん?」 すばるが、ポツリとつぶやく。 「うん…寝てばかりも、体がきついから…」 「ケガ…させて…ごめん」 「私が、すばるをケガさせたくなくて、勝手にしたことだから…私こそ、ごめんね」 「もう…ええよ」 「心配した?」

2014-04-06 22:14:35
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(・_・)×朱【136】 「そんなん!」 と、いきなり顔をお上げると、私の顔を見つめて、またうつむく。 「したに決まっとるやないか…あんなに血が出て、何度も名前を呼ぶのにちっとも返事をせんで…あんな思い…もう二度としたない…」 「…」 「でも、こうやって話できるから…もうええ」

2014-04-06 22:14:46
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(・_・)×朱【137】 「…これからは気をつける。彼女にも怒られたし」 「は?いきなり何や。誰に怒られたって?」 「全然知らない女の人。夢の中で、いきなり現れて、パーンて平手打ちして、『すばる、泣かさないで』って言って消えた」 「はぁ?何なん、それ?」

2014-04-06 22:15:00
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(・_・)×朱【138】 「…心当たりあるんだ、私」 「誰?」 「教えない」 「は?教えんのやったら、何で言うたん」 「すばるは、きっと知ってる人だろうと思って」 「だから、誰なん?」 「教えない」 「何や、それ…ったく」 その時、面会終了の放送がながれる。

2014-04-06 22:15:06
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(・_・)×朱【139】 「…じゃ、そろそろ帰るな。明日は来られんと思うけど、できるだけ来るようにするから」 「無理…しなくていいからね」 「おん…ちゃんと飯食うて、寝て、早よ治してな」 「うん…」 「それじゃ…」 と彼は立ち上がると、私を柔らかく抱きしめてから唇を重ねる。

2014-04-06 22:15:19
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(・_・)×朱【140】 挨拶にしては深いそれを終えると、満足したような顔をして、部屋を出ていった。 体の奥に、小さな灯火が宿ったのに気づかない振りして、私も横になる。 体はだいぶん疲れていたみたいで、あっという間に眠りに誘われた。 久しぶりに心の落ち着いた夜だった…

2014-04-06 22:15:24
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(・_・)×朱【141】 それから、特に何があるわけでもなく日々は過ぎ、無事退院の日を迎えた。 大騒ぎしたけれども、要は切り傷なわけだから、化膿さえしなければ、そんなに時間も掛からずに治るわけで、そう思うと、あれだけ大騒ぎしたことが、何となく恥ずかしくもあり…

2014-04-08 00:32:18
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(・_・)×朱【142】 退院日には、すばるがしっかり迎えにやって来て、というか、彼が来れる日に退院日を決めさせられたというのが本当のところで。 入院費も個室の料金も、気付いたら全部済ませられていて、後で払うからと言ったら、急に不機嫌になって怒られた。 …何で?

2014-04-08 00:32:30
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(・_・)×朱【143】 車に乗り込むと、あらかじめ行き先が伝えてあったのか、車は静かに走り出す。 あれ?でも、方向が違うような… 「すばる…何処に向かってんの?」 「俺ん家」 「え? すばるの家って…何で?」 「お前、あの部屋、開けなあかんのやろ? だから」

2014-04-08 00:32:46
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(・_・)×朱【144】 「それはそうだけど、部屋が見つかるまで待ってもらうし、今すぐじゃなくても」 「新しく部屋を探すんやったら、俺んとこ来ればいい。ちょっと遠くなるけど、構わんやろ…」 「いや、あの…」 「もう…決めたことやから」 そう言うと、窓の外に視線を移してしまった。

2014-04-08 00:32:58
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(・_・)×朱【145】 車の中で言い争っても仕方がないことだから、それ以上何も言わなかったけど、何でいきなりそんな事になってるのか、解らなかった。 そのまま車は走り続け、やがてすばるのマンションにたどり着いた。 勝手に話は進んでるけど、本当にいいのかな…

2014-04-08 00:33:12
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(・_・)×朱【146】 戸惑う私をよそに、すばるは荷物を持って、部屋へ向かっていく。 鍵を開けて中に入ると、リビングに荷物を降ろし、私に腰掛けるように促す。 来たことがないわけでは無いけれど、今だに緊張するすばるの部屋。 とりあえず座ってみたものの、落ち着かない…

2014-04-08 00:33:24
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(・_・)×朱【147】 そんな私を見て、 「そない緊張せんでも…これから、ここに住むんやから」 と苦笑いをする。 「ねえ…本気なの?」 「何が?」 「ここで、一緒に暮らすって事」 「冗談言うたつもりはない」 「何で急に?」 「急やない。ずっと前から考えとったことや」 「え?」

2014-04-08 00:33:36
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(・_・)×朱【148】 「俺は、もうずいぶんと前から、一緒に暮らそう思ってた。けど、お前は何か悩み事あるみたいやったし、焦らん方がええのかな、思うててん。そしたら、別れるだ何だの話になってもうたから」 「…」 「やっといい具合にまとまって、よし今や、と思ったらお前けがするし」

2014-04-08 00:33:48
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(・_・)×朱【149】 「お前が落ち着くの待っとったら、いつまでも一緒に暮らせへん。だから、もう待たんことにした」 「すばる…」 「俺はお前とずっと一緒にいたい。朝も昼も夜も、春も夏も秋も冬もお前の隣におりたいんや。だから、一緒に暮らそう?」 「すばるは…私を置いてかない?」

2014-04-08 00:34:01
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(・_・)×朱【150】 「朱?」 「私を置いて…私を一人にして…出て行ったりしない?私たちの事、反対されて、別れるように言われるかもしれない。仕事だって失うかもしれない。大切な仲間に影響があるかも。そんな事になっても、私を一人にして出て行ったりしないって、約束できるの?」

2014-04-08 00:34:14
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