「アベノミクスの成果」を検証する:『就業者数の増加は「アベノミクスの成果」ではなく『高齢世代の人口動態の結果』である。』『実質賃金は民主党政権時より4%下がった。』

安倍政権が「アベノミクスの成果」と呼ぶ経済情勢の改善は本当に「アベノミクスの成果」なのでしょうか?そもそも本当に経済情勢は改善しているのでしょうか? 今回は、経済情勢のうち、一般労働者の生活に直結する雇用と賃金について分析し、「アベノミクスの成果」を検証してみます。 ※1 タイトルを「「アベノミクスの成果」を検証する:『就業者数の増加は「アベノミクスの成果」ではなく『高齢世代の人口動態の結果』である。』『実質賃金は民主党政権時より4%下がった。』」から変更しました。2017年10月9日 ※2 「@yoma_kenichi さんから「22歳人口-65歳人口の推移」 のグラフ」を追記しました。2017年10月9日 続きを読む
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広夢 @scidreamer

『実質賃金マイナス4%』の内訳を見てみよう。まず、「実質賃金」とは、 実質賃金=名目賃金÷消費者物価 という式で表される。私たちが受け取る額面としての「名目賃金」に、モノの値段の影響を考慮した賃金が「実質賃金」である。名目賃金がそのままでも物価が上がれば、実質賃金は下がる

2017-10-06 19:24:07
広夢 @scidreamer

では、『実質賃金マイナス4%』の内訳を改めてみてみよう。必要な情報は前原氏のグラフに全て盛り込まれている。 「名目賃金指数」は、 2013年3月 98.8 2014年3月 99.1 2016年8月 99.1 で、民主党政権時代から安倍政権時代までほぼ横ばいが続いている。

2017-10-06 19:24:26
広夢 @scidreamer

一方、「消費者物価指数」は、目視で、 2013年3月 約95.8 2014年3月 約97.2 2016年8月 約99.7 で、民主党政権時代から安倍政権時代までで約4%上がっている。この消費者物価の上昇が『実質賃金マイナス4%』の大下落の原因である。

2017-10-06 19:24:44
広夢 @scidreamer

消費者物価上昇の原因は、グラフを見るに、2013年3月から2014年3月までは輸入物価の上昇、2014年4月以降は消費増税と考えてよいだろう。前者の2013年の輸入物価の上昇は、アベノミクスの「第一の矢」、金融緩和による円安のためと考えられる。

2017-10-06 19:25:14
広夢 @scidreamer

そして2014年4月の消費増税によって実質賃金は大下落した。以降、2016年8月時点に至るまで実質賃金はほぼ横ばいだ。ニュース等では実質賃金は対前年比の増減率で報じられることが多く、数年前のこの大下落を忘れがちだが、家計は民主党政権時代よりもマイナス4%も貧困化しているのだ。

2017-10-06 19:25:27

経済論議:日本はデフレ経済から脱却するために何をすべきか?

広夢 @scidreamer

最後に今後に向けた経済の話をしよう。上述の様に『高齢世代の人口動態の結果』、雇用は改善している。しかし、家計の消費は消費増税による実質賃金の大下落以降、増税前の傾向を下回っている。>ニッポンの数字 家計最終消費支出の推移と解説 nippon-num.com/gdp/consumptio…

2017-10-06 19:25:40
広夢 @scidreamer

家計の消費が伸び悩む中での人手不足は喜んでばかりもいられない。これは需要の鈍化以上の供給力の鈍化、日本の後進国化を意味するからだ。内需、特に『家計の消費が増える』ことこそが『真の経済成長=国民生活が豊かになる』ことを意味する。内需が増えれば、企業の投資が進み、供給力も高まる。

2017-10-06 19:26:01
広夢 @scidreamer

家計の消費が増えれば、企業は投資を増やし、供給力を高めようとする。それによって労働生産性が向上し、労働者の実質賃金が増え、これがさらなる家計の消費の増加を生じる。家計の消費を増やすことによって自律的な経済成長が始まるのである。同時に、税収も増え、政府の財政も改善する

2017-10-06 19:26:14
広夢 @scidreamer

逆に、「デフレ経済」とは家計の消費が企業の供給力を下回った状態であり、先の説明とは逆に、企業の投資が減り、労働生産性が下がり、労働者の実質賃金が減り、家計の消費がさらに減少する悪循環に陥る。税収が減って政府の財政も悪化する。日本は早くこのデフレ経済から脱却しなければならない

2017-10-06 19:26:29
広夢 @scidreamer

デフレ経済からの脱却に必要なのは金融緩和と積極財政である。このうち、金融緩和の方はアベノミクスの『第一の矢』として既に実行されている。特に日本銀行による日本国債の買取は政府の実質的な負債を減らす効用もある。金融緩和で進む円安も悪いことばかりではなく、輸出を伸ばす効果がある。

2017-10-06 19:26:45
広夢 @scidreamer

ただ、金融緩和だけでは金融市場のお金の量を増やすことまでしかできない。そのお金が家計にまで届くようにしなければ、家計の消費は増えず、したがってデフレから脱却することもできない。家計にお金を届けるために必要なのが積極財政だ。この財政政策の中身が日本のデフレ脱却に最重要である。

2017-10-06 19:27:08
広夢 @scidreamer

財政政策の中でも家計の消費を増やす効果が最も高いのは消費税の減税である。というよりもむしろ、消費税を導入・増税したことが日本経済がデフレ化した最大の原因だと言った方が正しい。消費税の増税こそが、家計の実質賃金を減らし、家計の消費を減らして、日本経済をデフレ化した犯人である。

2017-10-06 19:27:20
広夢 @scidreamer

日本のデフレ脱却のために消費減税こそが必要だが、愚かにも日本政府は2014年4月に5%から8%への消費増税を決行した。結果、家計の実質賃金が減り、実質消費が減って、デフレ脱却は遠のいた。この消費増税は民主党・自民党・公明党の三党合意で決まったので、これら三党の責任は重い。

2017-10-06 19:27:34
広夢 @scidreamer

その上、現与党の自民党と公明党は2019年10月に10%へのさらなる消費増税を掲げている。さらなる消費増税が現実化すると、家計の実質賃金・実質消費はさらに減り、デフレ脱却もさらに遠のくだろう。デフレ経済のままでは税収は自律的に増えないから、政府の財政状況も悪化していく。

2017-10-06 19:27:54
広夢 @scidreamer

自民党は消費増税の増収分を子育て支援に回すと言い、公明党も賛同しているようだが、一方で安倍首相は法人税の減税も明言している。実質賃金の下落で資金不足に陥っている家計から、内部留保を蓄え続けている企業に資金が回されることになれば、家計のさらなる貧困化は避けられない。

2017-10-06 19:28:12
広夢 @scidreamer

需要が供給力を下回るデフレ経済からの脱却には、需要の担い手である家計に減税しなければならない。ところが、この30年、家計は増税され、その財源で企業は減税されてきた。結果、「需要側の家計は資金不足、供給側の企業は資金過剰」という、資本主義国家としては異常な状態が続いている。

2017-10-06 19:28:27
広夢 @scidreamer

三橋貴明氏の「資金過不足について学ぼう!」 ameblo.jp/takaakimitsuha… のグラフを見ると、1997年の消費増税の前と後で家計の資金は減り、企業は資金過剰へ大きく転じたことが分かる。政府も資金不足が続いている。デフレによる経済停滞で税収が増えないからだ。

2017-10-06 19:28:41
広夢 @scidreamer

『資金不足の企業が資金過剰の家計から金融市場を介してお金を借り、投資を増やして供給力を高め、生産した財・サービスを資金過剰の家計が消費する』、これが拡大するのが資本主義国家の経済成長の王道だ。「企業は資金過剰、家計は資金不足」という状態では資本主義経済は停滞せざるを得ない。

2017-10-06 19:29:00
広夢 @scidreamer

需要の担い手ながら資金不足に陥っている家計に消費減税して、需要を増やし、デフレ経済から脱却することが日本には必要だ。その財源は供給の担い手ながら資金過剰を持て余している企業への法人増税で充分賄える。@garirou さんより twitter.com/garirou/status…

2017-10-06 19:29:14
gero Silence can be violent.(沈黙が暴力になる事もある) @garirou

官僚の常套手段 弱者を守るという大義名分を振りかざして、実は強者の利権を守る。 例:消費税 弱者を助けると言いながら富裕層の減税(税収の殆どが法人税減税に)  大義名分:「消費税を社会保障に」  現実  :「法人税減税の財源に」pic.twitter.com/7ZXKqY8Y58

2017-10-01 22:31:05

結論:『金融緩和の意義を認めよ』『消費税は減税せよ』

広夢 @scidreamer

最後に。経済政策に関し、各党に改めて言っておくべきことは、『金融緩和の意義を認めよ』と、『消費税は減税せよ』である。これらの金融政策と財政政策が両立すれば、日本経済は直ちにデフレから脱却し、自律的な経済成長を取り戻し、国民生活は豊かになり、政府の財政も改善するはずだ。

2017-10-06 19:29:41
広夢 @scidreamer

国民も、経済指標をその表層的な結果だけでなく深層にある原因まで分析し、その分析を今後の政策判断に活かす発想を持とう。『なぜ?』と問う癖をつけよう。これを心掛けていれば、正しい判断、より良い選択を実現できるようになっていくはずである。よく考え、より善い未来を選ぼう。

2017-10-06 19:29:52
広夢 @scidreamer

以上、連続ツイート「「アベノミクスの成果」を検証する:『就業者数の増加は「アベノミクスの成果」ではなく『高齢世代の人口動態の結果』である。』『実質賃金は民主党政権時より4%下がった。』」でした。 これらのツイートは後でTogetterにまとめます。

2017-10-06 19:30:16

追記:@yoma_kenichi さんから「22歳人口-65歳人口の推移」 のグラフ