エリュトゥラー・ギガント #2
「スエズ方面に、敵部隊!?」五十鈴が叫んだ。彼女たちの目的地、スエズ運河を下って、深海棲艦の一団がこちらに向かってきていた。《そっちにもいたの……!?》ここが最終防衛ラインだと思っていた提督は愕然とした。これで、敵の戦力は3倍。総勢150体以上の深海棲艦に囲まれた。23
2017-10-15 22:04:14「舞風、古鷹さん。残弾は?」不知火はナイフを抜いた。「主砲しか残ってないねー」「私もです」スエズから来た深海棲艦と、紅海側の深海棲艦を見比べる。「提督、スエズ運河へ全速で向かってください。道は、不知火が切り開きます」《不知火ッ!?》返事を待たず、不知火は飛び出した。24
2017-10-15 22:06:05舞風と古鷹が突撃を援護する。あっという間に、不知火はスエズ艦隊の懐に飛び込んだ。先頭に立っていた、刀を差した重巡リ級にナイフを振り下ろす!だが、ナイフはリ級が一瞬で抜いた刀に受け止められた。鍔迫り合い。刃越しに見たリ級の瞳には、青い炎が宿っていた。25
2017-10-15 22:09:08「よせ、小娘」「何を……ッ!?」リ級に押し返される。不知火はナイフを構え直すが、リ級は既に機銃を構えていた。銃火が奔る。「ッ!?」放たれた銃弾は、不知火に当たらなかった。その頭上後方、彼女を狙っていた螺髪艦載機を貫き、爆発四散せしめた。「命は粗末にするものではない」26
2017-10-15 22:12:12「将軍、前線に急げ。船が沈むぞ」後ろにいた赤い服の深海棲艦が言った。「ああ、済まない。なら、タロスは頼む、騎士団長」「ああ、任せろ、将軍」スエズから来た深海棲艦は、二手に分かれた。将軍は紅海の深海棲艦へ。騎士団長はその場に残り、不知火たちと共に大仏と対峙した。27
2017-10-15 22:15:07「貴方達は、一体……?」「マルタ騎士団、騎士団長、アクィラだ」騎士団長は大仏に向き直る。「敵はスエズの守護神だ。気を抜くんじゃないぞ」深海棲艦たちは頷き、それぞれの武器を構えた。騎士団長も武器を構えた。「みんな、丸太は持ったな!行くぞォ!!」「「「応ッ!!」」」28
2017-10-15 22:18:03