岩手県住田町の試み:被災者のための木造仮設住宅建設プロジェクト(2011年3月)
参考
※「LIFE311 プロジェクト」が立ち上がった経緯について。
→▼仮設住宅プロジェクト 3 岩手県住田町〔2011年4月1日〕|moreTrees:モア・トゥリーズのブログ http://www.more-trees.org/blog/2011/04/post-161.html
▽「住田も栗原や登米と同じく、内陸なので震災によるダメージはかなり小さい。そこで、仮設住宅は陸前高田や大船渡といった沿岸地域の被災者受け入れを想定しているとのこと。きっと喜ばれるでしょうね。/ 町では、100棟を自前(〔住田町の〕単費)で取り急ぎ建設する予定。もし今後、増産の必要に迫られた際には、是非何らかご一緒できればとも思いました。(間違いなく100棟では足りなくなるでしょう)/ とにかく、仮設住宅を 民間の力で、地域材を、そして地元の工務店で建てるスキームを立ち上げねば! と強く思った次第です。ただ、それには地元市町村の理解と協力も必要。それは、土地(公有地)の提供とインフラの面。/ 我々は一度に何千棟も建てる費用も実力もないですが、集落単位での建設や、ちょっとしたスペースの公有地に、ぬくもりのある仮設住宅を建てたい、という声があればその一助にはなれるかもしれない。むしろ、地元の工務店さんとの建設であれば、そうした規模のほうが動きやすいはず。/ 現時点では、法制度の壁や県庁の理解、といった部分でまだまだハードルはあります。/ ただ、それをクリアしながら着実にこのプロジェクトは進めたいと思っています。もう後には引けない。」
→▼LIFE311(2011年4月28日)|moreTrees:モア・トゥリーズのブログ http://www.more-trees.org/blog/2011/04/life3112011428.html
▽「ここ〔住田町〕の仮設住宅は、地元の「気仙材」を使用し、気仙大工が建てている。材も雇用も地元中心。しかも、材の7割はFSC認証材。住田町の多田町長は「本当は100%認証材を使いたかったが・・・」と語っていた。/ 住田町の仮設住宅への取り組みは、震災3日後にスタートした。しかし当初は「直接の被災地でない住田町が被災地県の指示を待たずに建てた住宅は、仮設住宅とは認められない」という〔岩手〕県の反応に、町長も相当苦労されていました。しかし最近になって、この取組みによる110戸は仮設住宅として正式に認められることになりました! 17棟の医療関係者向け〔住田地域診療センター敷地〕については、県の補助金も受ける方針ですが、残り93棟については「more treesを通じた、100% 民間の善意によって建てたい」という〔住田町の〕意思を伝えられました。近々、その旨を県庁にも伝えに行くとのこと。要するに、約3億円は我々が絶対的に集めなくてはいけないことが確定。/ もう後には引けない。不退転の決意で頑張ります。」
→▼ニッポンに底力ってある?〔2011/04/20〕|森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2011/04/post-372b.html
▽「たとえば岩手県の住田町は、国や県を待たずに、自力で仮設住宅の建設に乗り出した。この町そのものは内陸部だから、あまり被害はないそうだが、隣接する大船渡市、陸前高田市、釜石市など甚大な被害を受けた海岸部の町に向けて動き出した。もちろん、使うのは町内の森から伐りだした木材である。/ すると、NPOのmore treesが、地域の木材、地元の工務店が主体となる木造仮設住宅の建設に向けた支援をスタートさせている。町が自腹を切るつもりの建設資金を、援助するようになった。」
→▼住田町・仮設住宅の「秘密」〔2011/04/29〕|森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2011/04/post-2621.html
▽「ところで、住田町が素早く独自の仮設住宅を建設できた秘密を聞いた。/ 驚いたのは、この仮設住宅は、今回の震災のために用意されたものではなかった!/ 昨年〔2010年〕から「災害地に建てる仮設住宅」という事業プランを用意しており、それを政府に提案していたのだ。そのため設計図から生産計画まで、全部プランニングできていたという。/ 仮設住宅供給プランの認可が下りる予定が、3月22日だったという。これが下りたから、プレカットまでした仮設住宅部材を備蓄しておこうという計画だったのではないか。〔略〕 結局、認可が下りる直前に震災が起きたわけだが、すでに準備はできていたのだから、素早く動けたのだろう。/ このように仮設住宅建設の好条件が揃っていたのはたしかだが、それでも最大のポイントは、やはり町独自の予算で仮設住宅を町内に建設する決断だろう。震災発生後3日目には、ゴーサインを出している。国や県の補助が出るのを待って動いたのではないのだ。/ 当面は約2億5000万円を注ぎ込む計画のようだ。1棟250万円~見当らしい。が、その後の展開は前回も記したとおり。」
▽「まずNPOのmore treesが支援を申し出た。まだ寄付金を集めている段階なので、どの程度の支援規模になるかわからないが、坂本龍一のネームバリューもあって、住田町の決断は、世間に大きく知られることになる。本日で1053万222円集まっている。これで4棟建つ。最終目標は、3億円を集めて97棟分を支援したいそうだ。(ちなみに、私もそれなりの金額を寄付させていただいた。)/ そして、国と県も、援助を決めたようだ。〔医療支援者用の〕17棟分を出すらしい。当初は被災地ではないので仮設住宅と認めないと言っていたそうだが、もはや「お役所仕事」は通じない。英断をくだしたところ、先に動いたところには、周りがほっておかない好例である。/ この調子なら、自腹を切るつもりだった建築費の大半は、回収できるのではないか。それどころか地域の評判、いや全国的に林業地としての評判を上げたことによって、計り知れない価値を得ただろう。/ 同じことは、阪神大震災でも私は見てきた。国や行政の方針決定や助けを待っている地域や個人の復旧は遅れていく。まず自分たちで動いたところが、復旧から復興へと駒を進めることができるのだ。/ ちなみにモアツリーズは、「完全に便乗です」と言っていたが、それで十分。ただ、あまり坂本龍一の名が表に出すぎると、モアツリーズ主導のように誤解する人も出て、不協和音がおきかねない。気をつけてね。」