日向倶楽部世界旅行編第21話「あらわれるもの」

伊勢とザイアン、思惑を孕んだ両者がタッグを組んで日向達に襲い掛かる。 海賊の襲撃やザイアンの変化もあって窮地に陥る日向達、果たして活路は見いだせるのか…
0
三隈グループ @Mikuma_company

だが鈴谷は焦らない、目を凝らし機を窺う (何さ、刀には出来ねーことをやるだけよ…!) 攻防の最中伊勢が一際大きく刀を振るった、その一瞬は、彼女にとっての好機! 「アームズチェンジ!ボクサー!」 鈴谷は攻撃を避け、義手をボクサーアームに換装!生まれた隙に鉄の拳を叩き込む!

2017-10-31 21:50:43
三隈グループ @Mikuma_company

「おおっと!?」 対する伊勢は刀で迎撃の構え、このようなガードなど当然鈴谷も読めていた、だがそれで良い!今からそれを崩すのだから! (ボクサーアームは岩をも砕く必殺のアーム、刀剣程度なら!) 「へし折れるんだよォーッ!」 構えられた刀に向かって、鈴谷は拳を叩きつけた!

2017-10-31 21:51:36
三隈グループ @Mikuma_company

だが! 「にひひ…」 「は?インチキかよ…!?」 渾身のボクサーアームは、伊勢の刀にガッチリと抑えられた! ビビる鈴谷を伊勢は笑い、言葉をかける 「これさ…鼓動とか波紋…って呼んでるらしいじゃん?」 彼女がそう言うと、手に持った刀が薄っすらと青みがかり始めた。

2017-10-31 21:52:28
三隈グループ @Mikuma_company

抑えられながら鈴谷は息を呑む (色が違う…!赤や緑だけじゃないって訳!?) 彼女が知っている不思議な力は、日向や扶桑の扱う緑や赤のもの、だが目の前の航空戦艦娘が使っているのは、青い色! 鈴谷の様子を見て伊勢は更に笑う 「くくくっ…本当に、そんなものなのかなぁ?」

2017-10-31 21:53:26
三隈グループ @Mikuma_company

まあいいや、彼女がそう言って鈴谷にトドメを刺そうとした瞬間! 何発もの弾丸が伊勢に撃ち込まれた! 「うわっ!今度は誰!?」 突然の攻撃に伊勢が仰け反るとその隙に鈴谷は離脱、距離を取る。 「間に合ったみたいね…」 「サンキュー初霜ちゃん、危なかったよ…」

2017-10-31 21:54:16
三隈グループ @Mikuma_company

攻撃の主は救援にやって来た初霜である 「鈴谷さん、まだ戦えますか?」 彼女が伊勢を撃ちながら尋ねると、鈴谷は舌打ちして答えた 「まあ戦えるけど…こいつの相手するには、ちと心許ないかもね…」 見栄を張る余裕はなかった、相手は、伊勢は、それほどに強い。

2017-10-31 21:55:18
三隈グループ @Mikuma_company

鈴谷の答えを聞くと初霜は頷く 「なら三隈さん達の方へ合流を、この人は私が沈めます。」 そう言って彼女は伊勢を睨む、それを見て鈴谷はグッと親指を立てた。 「了解、瑞雲は残しておくから…グッドラック!」 瑞雲を自動制御に切り替えつつ後退、彼女は海賊と戦う三隈の元へ向かった。

2017-10-31 21:56:08
三隈グループ @Mikuma_company

その間にも初霜は伊勢を叩き続ける、しかし不意打ちこそ当たったが、見合っての攻撃はそうそう当たるものではない 「はぁ、次から次へと鬱陶しいなぁ?…くそがき。」 伊勢がそう言って刀と盾を構える、結構な被弾をしたせいか、服のあちこちがボロボロになっていた。

2017-10-31 21:57:07
三隈グループ @Mikuma_company

そんな彼女に砲口を向け、初霜は呟く 「貴女二回目よね…正直困るわ」 彼女にとって命は尊い、基本的には尊い。 だが落ち葉のように邪魔で軽い命もある、そしてそれを前にした時、彼女の明るさと優しさはドス黒い殺意に変わる、それが今であった。 〜〜

2017-10-31 21:58:06
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 初霜と伊勢が交戦し始めた頃、あきつ丸と三隈も海賊相手に立ち回っていた。 「おりゃぁぁぁっ!」 マシンガンを構えた艦娘が三隈を狙う、矮小な犯罪組織に属する艦娘はこういった通常兵装を扱いがちである。 これを見て三隈は冷静に間合いを取り、避け、軽く主砲を撃つ。

2017-10-31 21:59:13
三隈グループ @Mikuma_company

「ひぎゃっ」 弾丸が艦娘の艤装に命中し大破、艦娘はその戦闘力を失った。 「大人しく投降なさい、命まで取る気はありません。」 三隈はそう言い残し次の敵を狙う、相手の装備が貧弱な事、ヒューガリアンが反撃を始めている事などもあり、対海賊戦は優位に運んでいた。

2017-10-31 21:59:58
三隈グループ @Mikuma_company

「あっ…!」 「くそっ!艤装が…」 「なんだあの航巡、強いぞ!」 海賊達は次々と艤装やバイクを破壊され海に浮かぶ、三隈は正確な狙いで艤装を撃ち抜き、殺生を最小限にとどめていた。 そんな彼女を見てあきつ丸も気合いを入れ、小型対水上攻撃ユニット「ダイハツ」を操る。

2017-10-31 22:00:49
三隈グループ @Mikuma_company

海上を走り、ダイハツは正面に艦娘を捉える、それは周りに比べ少し良い装備をつけた艦娘だった。 (三隈殿は流石であります…自分も、自分もお役に立たねば!) 機関砲を撃ちながら突撃するダイハツに合わせあきつ丸も砲を構えて突撃する、攻撃ユニットとの連携が敵を無慈悲に追い立てる!

2017-10-31 22:01:46
三隈グループ @Mikuma_company

だが敵艦娘も負けじと反撃、弾丸が一発あきつ丸の脇腹に当たり、制服が勢いよく破ける。 「ぐっ…しかしこれで!行けカ号!」 彼女が手を払うと、汎用型航空攻撃ユニット「カ号」が爆弾を投下、敵艦娘は戦闘力を失い沈黙した。 「よし!次の敵を!」 あきつ丸が周囲を見渡した瞬間

2017-10-31 22:02:45
三隈グループ @Mikuma_company

彼女の側に弾丸が着弾、爆発を起こし彼女の制服を傷つける。 「ぐっ!直撃は避けたか…」 「あきつ丸さん!前に出過ぎです、下がって!」 通信越しに三隈の怒号が聞こえる、気付くとあきつ丸は敵に囲まれていた。 「囲まれた…しかしダイハツと烈風があれば、この程度は!」

2017-10-31 22:03:36
三隈グループ @Mikuma_company

啖呵を切り、汎用戦闘機「烈風」をダイハツと共にさし向ける。 機関砲が敵艦娘達を撃つ、だが威力が足りない!反撃を許したあきつ丸は避けきれず被弾、また服が破けた。 そんな彼女を救援すべく三隈の瑞雲が飛来、敵を攻撃し動きを止める、あきつ丸はそこへ砲を撃ち込み敵を一人減らす。

2017-10-31 22:04:29
三隈グループ @Mikuma_company

沈黙を確認、彼女は動きを止めた他の敵を狙い始める 「よし…次を!」 だがその姿勢が仇となった、彼女は死角より迫る敵の接近に気が付かなかったのだ! その敵は装備が充実し、高級であった! 「しまった!」 気付いた時には敵は砲を構え、彼女の頭に狙いをつけていた!

2017-10-31 22:05:21
三隈グループ @Mikuma_company

その時! 「アームズチェンジ!ボクサーッ!」 聞き覚えのある声と共に敵が殴り飛ばされ、彼女を狙う弾丸はあらぬ方向へすっ飛んで行った。 突然の乱入者に海賊は慌てふためく 「チェンジ!ソードアーム!」 そんな彼らを乱入者は刃で切り伏せ追い払う、強さは圧倒的だった。

2017-10-31 22:06:16
三隈グループ @Mikuma_company

そしてすぐ、乱入者は呆気にとられていたあきつ丸を引っ張りその場から退いた。 「ふぃーっ、大丈夫?」 そう尋ねる者の髪色を見てあきつ丸は顔をしかめる、緑色の髪に軽薄な話し方、相手は鈴谷であった。 「…平気であります。」 あきつ丸は少し黙り、目を背けながら答えた。

2017-10-31 22:07:13
三隈グループ @Mikuma_company

だが彼女の答えを聞いて鈴谷は口をへの字にする、あきつ丸の服が既にボロボロだったからだ。 艦娘の制服は単なる衣装ではない、身を守る為のボディアーマーとしての役割がある、ダメージを受けボロボロのまま戦うのは危険なのだ。 「うーん、聞いといてなんだけどさ、戻った方がよくない?」

2017-10-31 22:08:06
三隈グループ @Mikuma_company

鈴谷自身も弾が心許ない為一度ヒューガリアンに退きたかった、ならついでにあきつ丸も退避させようというわけだ。 しかし当のあきつ丸がそれを断る 「自分はまだやれます、ご心配なく。」 「いやいや、もうビリビリじゃん、危ないよそれ」 鈴谷の言う通りなのだが、彼女は一層反発した。

2017-10-31 22:09:06
三隈グループ @Mikuma_company

「平気と言っているんであります!戻りたければご勝手に!」 しまいには大声すら上げ、あきつ丸は再度戦線に戻って行った、あまりの強情さに鈴谷は肩を竦める。 「参ったなァ…」 放っておくわけにも行かず、鈴谷は近くに漂っていた艦娘を殴って機関銃を奪い、あきつ丸の後を追った。 〜〜

2017-10-31 22:10:07
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 ダン!ダダン!ダン! これは音楽ではない、初霜が主砲を撃ち込んでいる音である。 「すばしっこいなぁ…しつこいなぁ…!」 そうぼやく伊勢は距離を詰められず時間を浪費する、接近戦に優れる彼女に対し初霜は脚で翻弄する戦いをしていた。

2017-10-31 22:11:21
三隈グループ @Mikuma_company

「いくら装備が軽くても、本物の機動戦には対応しきれないようね!」 初霜の言葉通り、伊勢は砲を着けず身軽な状態でも彼女に速度で勝てなかった、砲が無いので砲撃戦は言うまでもない。 故に初霜は敵を逃さず、かつ追いつかれない絶妙な距離感で戦う事が出来る、一方的な攻撃が可能なのだ!

2017-10-31 22:12:24
三隈グループ @Mikuma_company

更に鈴谷と日向の瑞雲が伊勢の航空戦力をシャットアウト、初霜は極めて有利な状態で戦えていた。 だが問題もあった、その先に進まないのである。 「にひひ…」 伊勢はそれに気付いており、既に日向の方へ狙いを変え始めている、初霜も位置取りでそれを妨げるが、徐々に距離は縮まっていた。

2017-10-31 22:13:17