日向倶楽部世界旅行編第21話「あらわれるもの」

伊勢とザイアン、思惑を孕んだ両者がタッグを組んで日向達に襲い掛かる。 海賊の襲撃やザイアンの変化もあって窮地に陥る日向達、果たして活路は見いだせるのか…
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三隈グループ @Mikuma_company

駆逐艦娘は高い機動力で支援や手負いを狙う艦娘、装備は少なく火力も高くない。 故に一対一ではその弱点が目立つ、主砲の軽さは圧力の軽さに直結した。 ならばどうするか?初霜は弾幕を張りながら揺れる海を注視、正面に伊勢を捉えつつ距離を測り、互いの位置を調整、じりじりと接近する!

2017-10-31 22:14:14
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対する伊勢はその行動に不信感を覚えたのか、逆に速度を調節し初霜との距離を離す (読まれている…この一撃…) 初霜は自身の装備する魚雷をちらりと見る、これはギリギリまで詰めて当てる、必殺の一撃 (知恵比べというわけね…) 相手のリーチに近づくリスクはある、近付けば斬られる。

2017-10-31 22:15:14
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そうだ!それでも初霜はあえて伊勢に!接近する! 「私、待つのって…苦手だからッ!」 弾幕を張りながら距離を詰める!伊勢は盾を構え、刀を携え、被弾を最小限に抑えながら迎え撃つ! ああ刀が迫るのは承知だとも、だが魚雷のリーチはそれより僅かに長い、先手を打てば、殺せば良い!

2017-10-31 22:15:54
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増速!増速!接近!接近! ついに初霜の魚雷は、伊勢を射程に捉えた! 「沈みなさいッ!」 兵装から4本の魚雷が飛び海面すれすれを潜航!切り札が伊勢に迫る!もはや回避は不能! …ではなかった! 「嘘っ!?」 伊勢は、跳んだ!当たり前の話だが、空へ跳べば魚雷は避けられる!

2017-10-31 22:16:41
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「利根と同じ…!?」 本来艦娘に跳躍する機能は備わっていない、せいぜい段差を乗り越える程度! 「子供は好きだよ…でも貴女は嫌いだね!」 だが伊勢は、1メートル以上の跳躍!そのまま飛び込むように初霜へ刀を向けた! 「これで終わりだよ!」 光る刀が細い首に振り下ろされる!

2017-10-31 22:17:37
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その時! 「ぐえっ!」 何か強烈な力が伊勢を弾き飛ばした! 彼女は数メートルほど吹っ飛び、水しぶきを上げて着水する! 「殴られた…?」 水を払いながら訝しむと、その思考を遮るように弾丸と瑞雲が彼女を襲う。 「初霜!大丈夫かい!?」 「最上さん!脚は!?」

2017-10-31 22:18:21
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駆け付けた最上は険しい顔で答える 「捻挫くらいどうって事ないよ、それよりあいつを倒そう!」 そう言って彼女は伊勢を攻める、数でも状況でも伊勢は不利に追い込まれた。 (…まあ良いや、ここからだよね。) それでも彼女は笑い、最上と初霜の攻撃から身を守りつつ状況を伺う。

2017-10-31 22:19:06
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まず遠くを見た、海賊は散り散りとなっている 「ウオォ…オレは…!」 「初霜大丈夫か!?最上お前足はどうした!?」 次にザイアン、かなり押されており、日向をこれ以上抑えるのは不可能だろう、戦局は完全に決まっていた。 (潮時かな…?ザイアンはもうじき倒れるだろうしね…)

2017-10-31 22:19:51
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よって伊勢は極めて冷静に判断、ザイアンの元へ合流する、伊勢を狙う弾丸が彼にぶち当たった。 「イセ、そろそろヒかねば!」 だが砲撃を受けてもザイアンは平然と反撃、耐久力だけはずば抜けていた。 「そうだね…そろそろかな。」 そんな彼の後ろで伊勢は呟き、刀を構える。

2017-10-31 22:20:37
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そしてそれを、ザイアンの背中に突き刺した。 「ぐう…?」 「あ、あいつ、味方を!?」 最上は、日向は、初霜は、そしてザイアンは驚愕した 「ナ…ナニを…する…!?」 「心臓はこの辺りかな?」 狼狽えるザイアンを気にも留めず、伊勢は念入りに、深く得物を突き刺す。

2017-10-31 22:21:23
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訴えは届かない、ザイアンは肩越しに左手の主砲を伊勢に向ける 「邪魔」 が、それは無造作に斬り落とされる、最早彼にとって伊勢は味方ではなかった。 「おマエ…!」 「弟になってくれるんでしょ?お姉ちゃんの言う事は聞いてよね…」 激昂するザイアンを宥め、伊勢は身体をかき回す。

2017-10-31 22:22:07
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「な、何やってんだ…?」 突然の同士討ちに日向と最上は手を止める、ザイアンは攻撃どころではないし、伊勢はこちらに目もくれず刀を突き立てている、状況がまるで分からなかった。 「二人とも何してるの!撃って!」 初霜だけは気にせず攻撃を続ける、これがチャンスなのは間違いない。

2017-10-31 22:22:54
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対する伊勢はザイアンを弾除けに攻撃をいなす 「イ…セ…!」 全てを受けたザイアンの身体はやがて痙攣し、そのまま海面に倒れ込む、死んだのだ。 伏した彼に伊勢は謝罪する 「最初からこのつもりだったんだ、ごめんね。」 だが言葉に対し、その表情は不気味なほどにこやかであった。

2017-10-31 22:23:41
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その一連の出来事に日向は不快感を露わにする。 「…はっきり言って腹立たしいな、貴様の態度…やり方!」 敵味方は問題ではない、何の躊躇いもなく共に戦う者を殺める、その事が彼女には許せなかった。 日向は刀を強く握り、盾を構え、怒りを剣先に湛える、最上達も砲を構えて態勢を整えた。

2017-10-31 22:24:36
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だがそういう敵意の中にあっても、伊勢はニタニタと笑っていた、日向の怒りを嘲笑った。 「くくくっ…ふふふっ…まあ落ち着いてよ、まだ死んだわけじゃあないんだからさ …」 死んだわけではない、その言葉の意味を誰かが尋ねる間も無く、事象として答えが返ってきた。

2017-10-31 22:25:22
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なんとザイアンの遺体が呻き声を上げ、ゆっくりと起き上がったのだ。 「何!?」 「う…うう…オレは…タシか…」 彼は探るように辺りを見渡し、手で顔を触り、やがて背後で笑う伊勢の存在に気がついた。 「…そうだ、オレはイセ…おマエに!」 思い出し、激昂し、殴りかかる。

2017-10-31 22:26:07
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だが拳を振り上げたその時、彼は突然苦しみだした 「ウッ…!ウグゥッ…」 呻き声を上げて彼はその場に蹲る、それを見ると伊勢は深くため息をついた 「…ダメか、いけると思ったんだけど。」 先程までの笑顔は失望と侮蔑の表情に変わり、彼女は目の前の出来事から興味を失っていた。

2017-10-31 22:27:06
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「はぁ、じゃあ後はよろしく、私帰るから。」 伊勢は目の前で苦しむザイアンを置いてその身を翻す 「待てッ!貴様!」 日向達も当然後を追う、だが彼等の前に雄叫びを上げるザイアンが立ち塞がった。 「グッゥ…!ウガァァァァッ!!!」 「日向さん、様子が変ですよ!」

2017-10-31 22:28:12
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最上がそう叫んだ瞬間! みるみるうちにザイアンの身体が黒と白の装甲に覆われ、全身がどんどん大きくなり始めた! 「何が起きているんだ…!?」 日向達が息を呑む間にも彼の身体はどんどん変化していき、しまいには脚から巨大な口が生え始め、その姿は異形のものと成り果てた!

2017-10-31 22:29:05
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そして異形とは言ったが、彼等は近しいものを知っている。 「こいつは…」 「深海棲艦…!?」 三人が身構えるとザイアンだったものは日向達の方を向き、ひび割れた仮面の下から赤い目を覗かせる! 「来るぞッ!」 ザイアン・ネオが襲いかかってきた! つづく

2017-10-31 22:30:26
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【戦闘母艦ヒューガリアン】 扶桑が戦闘モードを起動することで現れるヒューガリアンもう一つの姿、客船部が装甲に包まれ、プールやカフェエリアのあった広い甲板には三基の砲が顔を出し明確な戦闘力を手に入れる。 扶桑の”巨大な艤装”の正体であり、当然彼女一人で運用される。 pic.twitter.com/d7JlfrBj2u

2017-10-31 22:32:08
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【ザイアン・ネオ】 速やかに撃破せよ、語る時間はない。 pic.twitter.com/HGnfA4Oorv

2017-10-31 22:33:08
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