編集部イチオシ

【悪堕ちシナリオ】敵幹部でありながら終盤まで主人公に寄り添ったヒロインの末路

主人公と共に旅をしていたヒロインが悪堕ちするというのもいいのですが、自分が「最終的に主人公に倒されるべき存在」であることを知った上で、主人公と一緒に旅をしていた状況の方が、より良いと思うのです。
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悪堕研究機構 @utakuochi

「私の組織というのは、私の理性的な、冷酷な側面に過ぎない。だからそれを彼女に壊されることは全く苦ではない。だから私はこれまで彼女に干渉しなかった」 「……ありがとうございます」 彼女は両目を閉じて静かに答えた。 「私はお前を、本当にただの一人の女性として送り出したつもりだ」

2017-11-04 15:19:27
悪堕研究機構 @utakuochi

「それこそ、組織の人間を洗脳して、四天王の最後の1人は不在であるという形にして、私だけがお前を知っている状態にした。まぁ、結局組織を抜けたお前が組織の中で最強の力を持っていたのだが……一方で、私はその空席にお前が戻ってくることも望んでいた。だから『空席』としてずっと空けておいた」

2017-11-04 15:23:54
悪堕研究機構 @utakuochi

「だから、私はお前に今一度問いたい。私を倒したいという気持ちは、その男と同じかね?」 「……ひとつ、提案してもよろしいでしょうか」 「良い」 「私は今から、組織の人間として、力を解放して彼と戦います。私が彼に勝てたら、四天王の空席に……あなたの側に戻ることを許してください」

2017-11-04 15:31:50
悪堕研究機構 @utakuochi

「ふむ、妥当な話だな」 「ですが、もし私が負けた場合は、組織を解散して欲しい。私は……彼と首領の二人が戦うことを望んでいません」 「……それでは、お前が彼を立てるために手を抜いてわざと負ける可能性もあるが?」 「信じてください……あなたに忠誠を誓った者として、必ずや」

2017-11-04 15:39:24
悪堕研究機構 @utakuochi

「いいだろう……お前が私の切り札であることには違いない。この状況でどちらに転んだとしても、お前を失ったら私の負けだ。最終的にお前の意志で滅ぼされるのであれば悔いはない」 「それでは……!」 「ただし、全力で彼と戦うこと。この場にはお前たち二人だけを残すから、勝った方が先に進め」

2017-11-04 15:47:15
悪堕研究機構 @utakuochi

「待て、俺の話は終わって……」 奥の部屋へと進む首領を追いかけようとする彼の首元に、鋭い眼光を向けた彼女の剣先が突き付けられる。 「やめてくれ。俺はお前と戦いたくない……!」 「戦いたくないのはあなたの意志の話。私は、さっきも話したようにあなたと“戦いたい”の」

2017-11-04 15:52:14
悪堕研究機構 @utakuochi

「あなたを騙すような形になっていたことは、確かに申し訳ないと思っている。けど、あなたにも譲れないものがあるように、私にも意地がある……私の存在意義としての意地が。だからここで決着をつける。私は全力を出す。その全力を、あなたの全力でねじ伏せればいい、それだけの話」

2017-11-04 16:02:05
悪堕研究機構 @utakuochi

「俺はそんなのを望んでいない!」 「ふ……ふふ……あなたはどこまでも優しい人なのね……いいわ……だったら、あなたがその気になるようにしてあげる。あなたの目に映る真実……あの方の寵愛を受ける側近であり、組織最強の戦士としてこの世に生み出された存在……これが、私の本当の姿……!」

2017-11-04 16:10:59
悪堕研究機構 @utakuochi

「あ……ああ……!」 全身が炎に包まれ、その身を焦がしているかのように熱い。 それもそうだ、もう、私は何年もこれを経験していない。 ずっと長い間、それこそ首領の力まで借りて封印してきた私の本当の姿を、今度は他の何者でもない、私の意志で解放するのだ。

2017-11-04 19:46:17
悪堕研究機構 @utakuochi

私の記憶の彼方にあるソレは、とても心地よかった。 私が首領のモノであるという誇りと安心感を与えてくれる行為だった。 でも今、普通の人間として生きてきた私に、ソレを忘れかけていた私にとっては、ソレはあまりにも強烈な感覚だった。 それこそ、自我が一瞬で吹き飛んでしまうかのような……

2017-11-04 19:55:26
悪堕研究機構 @utakuochi

「ひっ……あ……が……あひゅ……」 とんでもない声を出した。 もう……私がどう私の身体を制御していいか分からず、全身を駆け巡る苦痛に近い感覚を抑えきる事ができずに、地面に四つん這いになって必死に地面を掴もうとしていた。 地面に俯いた顔面の両目、鼻、口から様々な液体が流れ落ちる。

2017-11-04 20:01:42
悪堕研究機構 @utakuochi

顔面どころか、下半身も、もう…… 彼の目の前で、私は痴態を晒していた。 「ごめんなさい」 「ごめんなさい」 「ごめんなさい……」 私は声にならない声を彼に向かって発していた。 彼が信頼して、側に置いてくれていた女性が、乱れに乱れる姿を彼に見せてしまったことに罪悪感を感じていた。

2017-11-04 20:10:35
悪堕研究機構 @utakuochi

そんな彼に謝ろうと、四つん這いになって地面に垂れている頭をなんとか彼に向かって持ち上げた。 彼は驚愕の目をしていた。 全く身動きができず、指一本、眉一つ動かせない。 硬直した彼と目があった私は言葉を紡ごうとした。 「キモチイイ……」 まさか、そんな言葉を彼に掛けてしまうとは。

2017-11-04 20:14:39
悪堕研究機構 @utakuochi

思うに、元来、怪人の身体というのは気持ち良いのだ。 身体がそういう風に作られている。 人間を超越した身体の中に、力と欲望が詰まっている。 力を振るうことに何のためらいもない、自分の欲望に従って生きることができる身体。 そこに一片の我慢や不快は存在しないから、全てが気持ち良いのだ。

2017-11-04 20:20:22
悪堕研究機構 @utakuochi

さっきまで確かに彼の側にいて、確かに存在していた人間の私は、白い肌に金髪を携え、碧眼の、ごく普通の女性の姿をしていた。 それは、私が首領の下にいた時の人間態と同じ姿なのだが、怪人の姿に戻る時にこんな感覚を感じることはなかった、と思う。 あれはそもそも擬態だったからかもしれない。

2017-11-04 20:26:23
悪堕研究機構 @utakuochi

首領に自由意志を与えられ、組織を離れ、彼の側にいた私は、良い意味でも悪い意味でも、普通の人間として存在していたのだろう。 だからこの、怪人に戻るという感覚を忘れていたし、元より、怪人がいかに心地よい存在かということに気付くこともなかった。 要は、人間の身体には刺激が強すぎるのだ。

2017-11-04 20:31:07
悪堕研究機構 @utakuochi

「気持ちいい」 その言葉を発してしまったのが、私の中で決定打だったのかもしれない。 全身が大きく脈動し、視界が激しくぐらつく。 穴という穴から体液を垂れ流し、“苦しんでいた”私の身体は、いつしかソレを快感と感じるようになっていた。 だから、この……全身の変化も気持ち良かったのだ。

2017-11-04 20:40:44
悪堕研究機構 @utakuochi

私の眼前に垂れ下がっていた私の金色の髪は、どんどんその色を失うかのように銀髪へと変化していく。 恐らく、目も碧色から紅色に変化しているのであろう、眼圧を感じる。 肌も、透き通るような白い肌から、私の胸を起点として、どんどんと小麦色に焼け、滑らかで艶のある褐色の肌へと変化していく。

2017-11-04 20:47:43
悪堕研究機構 @utakuochi

一番大きな異変は、背中に現れた。 全身の感覚が背中に集中する感覚……その直後に、背中の皮膚がぼこりと盛り上がったかと思うと、蝙蝠のような巨大な翼が、四つん這いになった背中から天へと大きく展開された。 それが、私の快感の最高潮。 後の変化はおまけみたいなものだ……そう、昔から。

2017-11-04 20:57:35
悪堕研究機構 @utakuochi

頭部で感じた不思議な感覚は、それが私に山羊のような立派な角が生えることであったし、臀部で感じた不思議な感覚は、それが私に長くしなやかで艶やかな尻尾が生えることであった。 地面を掴んでいた両手は二の腕まで黒い体毛に軽く覆われ、指先からは鉤爪のような爪が生えてくる。

2017-11-04 21:02:15
悪堕研究機構 @utakuochi

両足にも黒い体毛が、まるでストッキングを穿いているかのように展開される。 胸に、秘部に、女性の大切な部分を申し訳程度に隠すように黒い体毛が私の全身を覆ったところで、私の変化は完了した。 ゆっくりと地面から立ち上がる。 その際に、私は窮屈さを感じて、着ていた服を破り捨てた。

2017-11-04 21:04:56
悪堕研究機構 @utakuochi

つまり、彼の前で私の裸を、全身を晒していることになる。 でもそれも、今の私にとっては何の恥ずかしいこともなく、むしろ本当の私の姿を彼に見られていることが、たまらなく快感に感じる。 「ふふ、私が変化で苦しんでいる間にトドメを刺せばあなたに勝機があったのに、残念ね」

2017-11-04 21:12:10
悪堕研究機構 @utakuochi

柄にもないことを言ってしまったなぁと思った。 よく分からないが、自然にその言葉が口から出てしまった。 多分、人間だった私の思考と、私の身体が覚えている怪人としての感覚がずれてしまっているのだろう。 すぐにその差は埋まる……そう、すぐに……彼を手に入れることができれば。

2017-11-04 21:14:01
悪堕研究機構 @utakuochi

相変わらず、彼は硬直していた。 その目は驚愕と……少しだけ絶望に打ちひしがれている目だった。 でもその目は、決して光を失っていない。 だから、この状況を理解できれば、すぐに彼の手足は動くだろう。 彼のその目を見ると、たまらなく愛おしくなる。 「あなたのその目、とても官能的よ」

2017-11-04 21:19:50
悪堕研究機構 @utakuochi

あちゃー、私ってこんなこと言う人間だったっけ。 「あなたはとても優しい人間。だって、私が本当の姿に戻るのを、ずっと見守ってくれていた。だから私は今こうして、本当の私をあなたに見せることができる……さぁ、存分に愛し合いましょう?」 私の心の奥底から、不思議な感情が湧き上がってくる。

2017-11-04 21:24:43