デイ・オブ・ザ・ロブスター 3

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「Wasshoi!」CRAAAASH!ガラス窓を突き破り、廃卓球工場へと突入する者あり!ニンジャスレイヤーである!たちまち四連続のスリケン投擲アンブッシュ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」だがナンシーを拘束する非道ニンジャは、巨大なハサミを用いてそれを易々と薙ぎ払った! 23

2017-11-21 18:17:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです……」オジギ終了直後、赤黒の死神は目を疑った。イナズマに撃たれたかの如き衝撃が、彼のニューロンを震撼せしめる!「まさか……オヌシは!」何たるデジャヴ光景か!そこに立っていたのは、かつて己の手で爆発四散させたはずのニンジャ、ロブスターであった! 24

2017-11-21 18:19:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが、有り得ぬ。ニンジャが復活を果たすなど!敵はその驚きすらも嘲笑うように、アイサツを返した。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、ロブスターです。待っていたぞ、貴様が来るのを……!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが目にも止まらぬ速さでスリケンを投げた! 25

2017-11-21 18:21:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ロブスターはスリケンをハサミで弾き返しながら突き進む!ニンジャスレイヤーの首を狙い、死のバイオハサミが迫る!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはこれを紙一重回避!チョップ一閃!「イヤーッ!」「グワーッ!」SPLAAASH!ハサミが切断され、緑色のバイオ血飛沫が飛び散った! 26

2017-11-21 18:24:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイクを詠むがいい、ロブスター=サン!イヤーッ!」「グワーッ!」続けざま、脳天への情け容赦ないカラテチョップ!「グワーッ!馬鹿な……!次こそは……!サヨナラ!」ロブスターは壮絶な爆発四散を遂げる! 27

2017-11-21 18:26:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「大丈夫か、ナンシー=サン」ニンジャスレイヤーはニンジャ膂力を振り絞り、彼女を卑劣な戒めから解き放った。「ありがとう、また私のせいで……」悔しげなナンシーの声を、厳めしい声が遮った。「ナンシー=サン、これは三度目だぞ。ただごとではない」「解っているわ。これはまるで……」 27

2017-11-21 18:28:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その時、何者かの手で廃工場のシャッターが押し上げられた!「そんな!」「ドーモ、ロブスターです」「ドーモ、ニンジャスレイヤーです。イヤーッ!」「グワーッ!」ロブスターは首をアルマーダ・マテーロで刈り飛ばされ爆発四散!着地したニンジャスレイヤーは、ナンシーを抱き上げた! 28

2017-11-21 18:32:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

決着を急いだ事で、ニンジャスレイヤーの腕には深いハサミ傷が刻まれていた!だが、そうせざるをえぬ……1秒たりとも無駄にはできぬ……それほどの異常事態とただならぬアトモスフィアを、ニンジャスレイヤーは直感的に感じ取っていたのである!「……逃げるぞ、ナンシー=サン!イヤーッ!」 29

2017-11-21 18:39:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その直感は実際アタリだった。その後も、倒せど倒せどロブスターが現れ、襲いかかってきたのだ。ニンジャスレイヤーとて、そのカラテは無尽蔵ではない。次第に疲弊するネオサイタマの死神。一方、ロブスターは次第にそのカラテ精度を増した。これまでの敗北全てがその血肉となっているかのように! 30

2017-11-21 18:40:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャスレイヤー=サン、もう限界よ、もう…やめて!あなたの体が…!」ナンシーは徐々に切り刻まれてゆく死神を見ながら、叫んだ!「もしや…何らかのジツにかけられてしまったか!?」ナムアミダブツ!果たしていかなる超自然的インシデントか!?「最後の手段よ、アジトに逃げましょう!」 31

2017-11-21 18:45:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人は迫り来るロブスターをかわしながら、秘密の地下ハッカー・ドージョーに逃げこんだ。ここは万が一のために用意していた最後のUNIX砦であり、完全密閉すればニンジャの攻撃にも耐えられる。二人は死闘の傷を癒した後、すみやかに反撃の準備に取りかかった。 33

2017-11-21 18:51:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーはUNIXデッキの並ぶチャブの前に座し、ハッキングを開始する。ニンジャスレイヤーは冷蔵庫に保管されていたパックド・スシを食し終えると、過酷なカラテ・トレーニングを開始した。壁に吊るされた木人に繰り返しワン・インチ・パンチを叩き込み、ザゼンする。 34

2017-11-21 18:53:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼はそれを五回ワンセットで何度も、何度も、何度も繰り返した。ロブスターのあの恐るべき殺人ハサミをかいくぐり、内側に潜り込んで、必殺のカラテを叩き込む。「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」その確実なイメージを己のニューロンに刻み付けるために。 35

2017-11-21 18:56:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……時は放たれた矢の如く無情に過ぎ行き、保存食も尽きようとしていた。長い沈思黙考の果てに、ナンシーは言った。 36

2017-11-21 18:59:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「時間を遡るしかないわ」チャブには空のザゼンドリンクが4ダース近く置かれ、過酷なリサーチの跡を窺わせる。「タイムリープよ」「出来るのか、ナンシー=サン」フジキドは眉根を寄せ、額に汗を滲ませた。「彼らに出来たのなら、出来ないはずはない」ナンシーは直結し、全神経を没入させてゆく。 37

2017-11-21 19:02:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「時間を遡るしかないわ」チャブには空のザゼンドリンクが4ダース近く置かれ、過酷なリサーチの跡を窺わせる。「タイムリープよ」「出来るのか、ナンシー=サン」フジキドは眉根を寄せ、額に汗を滲ませた。「彼らに出来たのなら、出来ないはずはない」ナンシーは直結し、全神経を没入させてゆく。 37

2017-11-21 21:30:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「このアジトにあるUNIXを全て並列し、同時にオーバークロックを行うわ」「オーバークロック……!」フジキドの額に汗が滲む。ハッカーならぬ彼でも、その恐るべき言葉の響きに眉根を寄せ、目を細めざるを得ぬ。UNIXの処理限界を法定速度すらも超えてブーストさせる、危険極まりない重犯罪行為だ。 38

2017-11-21 21:34:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは定位置についた。ナンシーの手で書かれた警句ショドーが、アジト内のメカニカルな光に照らされ、闇の中に浮かび上がる。「ドッペルゲンガー」「同時に存在できない」「宇宙崩壊」などの危険な文言。恐るべきリスクがこの先に待ち構えているのだ。 39

2017-11-21 21:41:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

いま己は、ニンジャを殺すため、時を超えようとしている。妻子の墓標が立つネオサイタマを離れ、命を賭けたタイムリープを行おうとしている。あの夜から、何と遠くまで来たことか。フジキドは静かにチャドー呼吸を行い、そして、決然たる面持ちでカラテを構えた。 40

2017-11-21 21:46:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やってくれ、ナンシー=サン」ブブブブブブブブブブピュンピュンピュンピュン。単調なベース音、そして回転。KBAM!KBAM!KBAM!KBAM!オーバークロックされたUNIXが連鎖的に火を吹く!フジキドは凄まじい衝撃と閃光の中、歯を食いしばり、目を見開いた!「ニンジャ……殺すべし!」 41

2017-11-21 21:51:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

UNIX爆発の煙が晴れる。香ばしいイオンの薫りと電子火花だけを残し、ニンジャスレイヤーの姿は忽然と消えていた。「いったい彼は、何年へ…」直結を解除したナンシーはじっとりと汗で濡れた髪を搔き上げながらチャブに寄りかかり、不穏な焦燥感とともにパンチドテープのUNIXログ文字列を確認した。 42

2017-11-21 21:56:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーの精神力ももはや、限界に達そうとしていた。薄れ行く視界の中、彼女は目を見開く。そこには暗黒の未来を暗示する4、6、4、3の数列があった。 43

2017-11-21 22:00:27