山本貴光『文学問題(F+f)+』読書メモ集

山本貴光『文学問題(F+f)+』(幻戯書房、2017)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

山本貴光『文学問題(F+f)+』(幻戯書房、2017)を恵贈いただきました。ありがとうございます。買おうと思ってたのに送ってもらって恐縮です。夏目漱石の問題作『文学論』の緻密な読解、そしてプラス……2017年最後にして最大級の人文書登場の予感。読みます。 pic.twitter.com/8L3xZgO76d

2017-11-23 11:57:34
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荒木優太 @arishima_takeo

目次はここから。三部構成で理論と実践はバッチリ。yakumoizuru.hatenadiary.jp/entry/2017/10/…

2017-11-23 11:59:35
荒木優太 @arishima_takeo

出版社HP。書店ではもう並んでいるのかな? Amazonでは既に在庫あるみたいだけど。genki-shobou.co.jp

2017-11-23 12:00:39
荒木優太 @arishima_takeo

「文体とは一種の創発現象のようなものである」(山本貴光『エフエフ』)。おおー、キター!

2017-11-23 13:09:38
荒木優太 @arishima_takeo

「Fだけがある文章とは、例えば科学の文章だ。科学論文では通常書き手の感情を直に表現することはない。fだけがある文章とは、誰かの感情の状態だけが書かれている文章だ」(山本貴光『エフエフ』)。fだけの文章って、よくTwitterに流れてくるやつじゃね?

2017-11-23 14:40:08
荒木優太 @arishima_takeo

「よくも悪しくも私たちは、人間という生物種の心身によって知覚されるなにごとか――これを「種観」と呼びたい――をもとに文学作品を書いている」(山本貴光『エフエフ』)。いいね。使いたい語呂合わせだ。

2017-11-23 14:43:32
荒木優太 @arishima_takeo

動物倫理学に引き寄せるならば、人間中心主義批判は理性的存在の「種観」による人間中心主義の徹底化だともいえるかもしれない。人間以外に人中主批判はできないわけだから。だからノブレスオブリージュというか、野生動物の保護のように、ある種のパターナリズムとも相性がよくなる。

2017-11-23 14:47:02
荒木優太 @arishima_takeo

おそらく、こういったパターナリズムをどこまで導入するか、どこまで自然(だから自由にさせておけ)を尊重するか、は倫理学者のあいだでも意見の相違があるのではないか。

2017-11-23 14:49:39
山本貴光 @yakumoizuru

そうか、「エモい」や「かなしみある」は、f(情緒)だけですね(笑)。万が一増補できる機会があったら荒木さんのお名前とともに追記しよう。(誤字訂正再投稿) twitter.com/arishima_takeo…

2017-11-23 15:59:51
荒木優太 @arishima_takeo

どうもどうも。『エフエフ』の隠れた(?)セールスポイントは参考文献の豊富さにもありますね。必ずしも直接の関連文献ではないものの、感心の裾野を広げてくようなチョイス(たとえば高村峰雄生『触れることのモダニティ』の参照があったりするよ)。

2017-11-23 16:09:14
荒木優太 @arishima_takeo

感心じゃなくて関心だよ。

2017-11-23 16:11:02
荒木優太 @arishima_takeo

「ちょっとややこしいのだが、作品に描かれる情緒と、作品を読んだ読者が催す情緒とはよく区別しなければならない」(山本貴光『エフエフ』)。そうそう、『文学論』読んでるとこんがらがるけど、この区別大事だよね。

2017-11-23 17:07:14
荒木優太 @arishima_takeo

「新書よりも論文を読め17」を更新しました。今日取り上げたのは、足立元「漫画からみるプロレタリア文化運動」(『立命館言語文化研究』、2011)です。ついでに山本貴光新刊の御礼も言ってみた、そんな使い方(どうもありがとうございます)。youtube.com/watch?v=EIn5eV…

2017-11-24 11:58:26
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荒木優太 @arishima_takeo

「AとBという異物を並べる場合、人間はどんな突飛なものでも組み合わせられる。例えば、二十世紀初頭のヨーロッパで生じたダダやシュルレアリスムなどの試みは、そうした突飛さの試みだった」(山本貴光『エフエフ』)。『文学論』と偶然文学という主題。

2017-11-24 14:50:58
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荒木優太 @arishima_takeo

山本貴光『エフエフ』。沢山のⒻ競争で勝つとFになれる問題。これ、一見スペンサー的なんだけど、漱石がFの推移は進歩ではないと明言している通り、元祖ダーウィン的な文学理論なんだよな。

2017-11-24 16:29:52
荒木優太 @arishima_takeo

しかも、その競争ってのもⒻの内在的強さで決まるっていうより、暗示・類似・習慣といった環境依存的なものであって、正しく理不尽な進化…ならぬ理不尽な推移なわけで。

2017-11-24 16:30:25
荒木優太 @arishima_takeo

「『文学論』ではもっぱら「文学」といっているのに対して、「文芸の哲学的基礎」ではほぼ一貫して「文芸」を用いているのは気になるところ。漱石はこの二つの語の違いに自覚的であるようにも見える」(山本貴光『エフエフ』)。へぇー。

2017-11-27 17:05:48
荒木優太 @arishima_takeo

「X批評とは、普遍的な学知(scientia)ではなく、意味を生み出す制作術(ars)であると考えるのが妥当であろう」(山本貴光『エフエフ』)。おぉー。

2017-11-29 18:30:47
荒木優太 @arishima_takeo

山本貴光『文学問題(F+f)+』読了。面白かった。私はフェイバリット文学作品を挙げろといわれたときに必ず『行人』を推す漱石ファンなのだが、研究ししようとは全く思わない。先行研究が厖大すぎてわざわざ私が容喙することもないだろう、と思うからだ。

2017-11-29 19:37:00
荒木優太 @arishima_takeo

が、寺田寅彦や森田草平を読むにつれて、彼らを理解するにはやっぱり漱石、とりわけ理論的漱石を避けて通れないのでは、と思えてきた。『文学論』はムダなところの多い本で(というと漱石は嫌がるかもしれないが)、結果読者を遠ざけているのかもしれないが、いいたいことはすごいシンプル。

2017-11-29 19:40:53
荒木優太 @arishima_takeo

「形式化」って、余計なものを削ぎ落とすってことだからね。で、『文学問題』(第一部)は、そういう邪魔な箇所をカットして通読しやすいように再構成してくれていてとても助かる。

2017-11-29 19:44:28
荒木優太 @arishima_takeo

前著『「百学連環」を読む』は、詳しいのはいいんだが、原文と現代語訳と解説で同一内容が重複するせいもあってか通読しているとやや進行がのろい感じがする。『文学問題』も造りとしては似ているが、要所を切り抜いているせいで速度が全然違うね。

2017-11-29 19:47:58