陥没アヒルチャンのフォロワー百合小説 EP7

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Φ @ahiruchan_phi

「一側面、とは」「感染性の細胞の生成条件は極めて厳しい。あの細胞は、百合の死亡直前から死亡して炭化するまでのごく短い間にのみ生成される。当然、炭化してしまえば感染力は失われる。百合を間近で殺せる一般人など、駆除班くらいのものです」ドクは机の上の資料を指で叩く。重役は黙り込む。

2017-12-09 20:23:28
Φ @ahiruchan_phi

「ま、まだ言うことはあるぞ!百合の大規模駆除計画について何の情報も」「イヤーッ」「ヒィッ!?」ドクは気の抜けたシャウトとともに、重役の頭上から資料の束を降らせた。「それについても抜かりなく進んでますよ……つい先ほど報告が来ましてね。……毒の果実は、実りましたので」

2017-12-09 20:27:59
Φ @ahiruchan_phi

「毒の果実」資料を頭に貼り付けたまま、重役は繰り返した。ドクはそれを無視して退室した。廊下を進み、エレベーターに乗り込む。社員証カードキーをスキャンし最上階へのボタンをアンロックする。「ああいう輩は、会長の意向など知りもしないのです」エレベーターは静かに上昇を始めた。

2017-12-09 20:31:08
Φ @ahiruchan_phi

【YURIZONZ 後半へ続く】

2017-12-09 20:31:39
どくどくウール @poisonwool_2

毒の果実!会長!ついに取締役会が!?オツカレサマドスエ! #のじるい島民放送局

2017-12-09 20:33:04
どくどくウール @poisonwool_2

ドクの気の抜けたシャウトカワイイじゃない?絶対ジト目の無表情で言ってますよカワイイ惨たらしくしんでほしい #のじるい島民放送局

2017-12-09 20:34:07
Φ @ahiruchan_phi

「サバちゃん、サバちゃん起きて」「ん……」頰を叩かれて目を開く。暗い空間、冷たい地面。どうやらここは洞窟のようだ。「……なんで」「サバちゃん駅で倒れてたから、ここまで運んで来た」暗闇に目が慣れてくると、鉈の手入れをしている小柄な少女の姿が見えてきた。「……クロ、さん」「おはよ」

2017-12-10 12:03:25
Φ @ahiruchan_phi

「取り敢えず食べて」クロはパック納豆とプラスチックスプーンをサバに突き出した。「……なんで納豆なんですか」「拠点にコレしかなかったから」渋々受け取り、サバは蓋を剥がしながら周囲を見回す。地面に横たわる人影らしきものを見つけた。「そこにいるのは……」「あれ死体だよ」「ヒッ!?」

2017-12-10 12:07:03
Φ @ahiruchan_phi

「大丈夫、百合でもないし百合に殺されたわけでもなさそうだから」クロは事も無げに言う。「それってつまり、普通の死体ですよね!?」「ん、そうだねー」「そうだね……って」ここでサバは微かな違和感に気づいた。今までこういった状況では、まず何より先に吐き気を催していた。今はそれがない。

2017-12-10 12:11:27
Φ @ahiruchan_phi

「……これの効果なのかな」傍に放置されている百合ゾンズドライバーを指でつつく。「そうそう、それ、何?」クロはバックルのアヒル部分を見つめる。「はんちょ〜のお姉さんも持ってたけど」「お姉さん……?」サバは思い至る。意識の落ちる前に争い合い、逃した女性。「あの人が……?」

2017-12-10 12:15:21
Φ @ahiruchan_phi

「それと。サバちゃん、黒くなって強くなったりしてたよね。アレは何だったの?」「何、って言われても……」あのとき聞き出せなかった。それは幸でもあり、不幸でもある。「百合の力、らしいです」サバは知り得た事実だけを答えた。「……百合かー」呟くクロの片手にはまだ鉈が握られている。

2017-12-10 12:19:36
Φ @ahiruchan_phi

「……ボクを駆除しますか」暗闇で光る刃物。サバは怯えつつも聞いた。「私の親友は、ある日突然百合になって、人を襲い始めた。私も襲われそうになったから、咄嗟に抵抗して、殺した」クロは淡々と語る。「後から聞いたけど、あれは失敗作って言うらしい。理想個体は自我を失ったりしないんだって」

2017-12-10 12:24:15
Φ @ahiruchan_phi

「私は正直迷ってる。サバちゃんを駆除するか、しないか。だからそれを見極めに来た」クロの目がサバを真正面から捕える。サバは、クロの幼さの残る顔に不釣り合いな凄みを感じた。射竦められ、目を反らせない。「ねえ、サバちゃん……。教えて。サバちゃんは、理想個体?それとも、失敗作?」

2017-12-10 12:28:04
Φ @ahiruchan_phi

「ボク、は」サバが渇いた口を開きかけたそのとき、甲高い鳴き声が洞窟内に反響した。「クワーッ!」「ヒャッ!」クロは鉈を闇の中へ投擲!「グワーッ!?」電磁鉈が一瞬発光し、鉈の刺さった闖入者の姿を浮かび上がらせる!陥没アヒルヘッドを持つ、袋のような形状をした植物型百合……アヒルカズラ!

2017-12-10 12:31:50
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