#ダークエルフ王国見聞録 その21

へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「ば、馬鹿！こんな時に何を言い出す！そ、そうだな、うむ、娘が二人に息子が一人くらいの賑やかな家がいいなって、ち、ちがう、今は妻としての名誉の問題なのだぞ！二人きりの時にするものだ、斯様な話は！！」 セラの獰猛な表情が和らいだり、焦ったりで賑やかに変わる #ダークエルフ王国見聞録

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「まぁ、とっても仲睦まじきご様子！とても羨ましいですわ。お二人のその夢を叶えるべく、学士殿の発見のお話を詳しくお聞きましょうよ。ほら、ウレエヌも落ち着いて、パーンセラ殿にお茶を差し上げなさい」 笑顔のヴィズムットがセラの手を取り、私の隣の椅子へと案内する #ダークエルフ王国見聞録

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セラは複雑な表情を浮かべながらも、その従僕と争ったことについて非礼を詫びると共に、私とヴィズムットがそれほどに高揚したものとは何なのかをきちんと聞いた上で、決闘の判断をすると述べた。まだ怒ってはいるようではあるが、落ち着きを取り戻した様で安心した #ダークエルフ王国見聞録

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私が気付いた書物の誤りとは、『薬種産地博覧』の著者であるダークエルフ、その者が参照したライトエルフ達の記録、および竜血の産地に関してのみ登場する人間の薬師の記述において、時代が異なり、その結果用いる単位が変遷していることによる #ダークエルフ王国見聞録

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現在において、我々人間が“里”と訳するエルフ語系列の長さの単位は、正しく現在の里と等しいが、おそらくライトエルフ達が人間の薬師と出会って話を聞いた年代は、我らの言葉で“羅代里”と称される古代の度量衡であり、これは現在の里の三分の一程の長さを示す #ダークエルフ王国見聞録

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ライトエルフ側でもこの“羅代里”に相当するエルフ語の訳を当てて記録した可能性はああるが、その後の写本の過程で表記が現在の“里”に相当するエルフ語に置き換わったものと思われる。また、ダークエルフの筆者が引用する際に単位の変換法に疎かった可能性もある #ダークエルフ王国見聞録

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この誤記により、“東に十里、北に百里”と本来の位置から南北方向に大きく外れてしまったが、その指示する場所が山深いオーガの領域にあることから、誤りを認識しにくい状況にあったのである。そして再計算すれば、本来の位置は正しくダークエルフ王国内にあるのである #ダークエルフ王国見聞録

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「ふーむ、単位云々のことはよく分からんが、財宝めいた物の在り処を解き明かしたのだな？それは凄いな！さすが、我が夫だ！」 我がことのように喜び、得意げな表情をするセラは、薬師にとっては大変な発見であろうから、公子殿が我を忘れたのも当然であろうと述べる #ダークエルフ王国見聞録

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「誤解が解けて何よりですわ。学士殿のことは大変に気に入っておりますが、セラさんとの仲を邪魔したいわけではありませんよ。さぁ、早速、この発見を確かめに参りましょう！そうだ、セラさんも是非、この冒険にご一緒してくださいな！私達、きっと良き友人になれますわ」 #ダークエルフ王国見聞録

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・・・そのようなことがあり、私とセラはヴィズムット自らが率いる捜索隊に加わることとなったのである。数日の間、主だった残りの資料の解析作業を続けた後、私とセラが砒霜公領を訪れるのを待つと言ってから、彼女らは里長達に礼を述べて先に里を去ったのである #ダークエルフ王国見聞録