日向倶楽部世界旅行編第27話「クワガタマン」

ブルネイに辿り着いた日向達、各々がそれぞれの時間を過ごす中、日向と最上は12月の熱帯雨林に虫取りをしに行くのだった。
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三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 無事ブルネイ泊地にたどり着いた私達…困りましたね、これだけしかありません…では私の話でもしましょうか。 最近移動中は自分の部屋でテレビを見ています、21世紀はすごいですね、色々なテレビがあって観きることが出来ません。 最近は有名な映画を観てい

2017-12-19 21:30:17
三隈グループ @Mikuma_company

【前回の日向倶楽部その2】 武蔵が圧倒的な力で戦艦棲姫を粉砕し、一行はブルネイに辿り着く。 そこでその夜、初霜は武蔵に銃を向ける!彼女の正体は深海棲艦だったのだ! 戦いの中追い詰められる初霜、だがその最中に武蔵が何かに気づき、彼女に黒い石を託した、いつか殺しに来いと言い残して…

2017-12-19 21:31:18
三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 突然だが、皆さんはブルネイ王国が何処にあるか皆さんご存知だろうか? ブルネイ王国は東南アジアのボルネオ島に、マレーシア領、インドネシア領と共に存在する。 これによりボルネオ島は一つの島の中に三つの国がある事となり、なんとこれは世界最多である。

2017-12-19 21:32:18
三隈グループ @Mikuma_company

この島の特徴は豊富な鉱物資源、そして世界最古とも言われる熱帯雨林である。 ここはテングザルやボルネオゾウ、オランウータンなどの絶滅危惧種が暮らしているほか、世界最大の花ラフレシアも生息している。 余談だが、オランウータンとはマレー語で森の人を意味する。

2017-12-19 21:33:21
三隈グループ @Mikuma_company

そんなブルネイの熱帯雨林に、最上と日向はやって来ていた! 「日向さん、12月にクワガタなんかいるんですか?」 双眼鏡を覗き込みながら最上は落ち葉を踏みしめる 「確かに見たんだ、近くにそれらしき施設はないし、野生のものである可能性が高い。」

2017-12-19 21:34:16
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第27話「クワガタマン」

2017-12-19 21:34:46
三隈グループ @Mikuma_company

日向は草木をかき分けて虫網片手に雨林を進む、彼らはこの12月にあろう事か虫取りをしにきていた。 事の発端は明け方、日向がブルネイ泊地にて珍しいクワガタを目撃したところから始まった。 彼女は気になって仕方がなかった、12月に空を飛ぶクワガタなど、絶対にあり得ないからだ。

2017-12-19 21:35:18
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故に最上を連れ、虫網片手にこの熱帯雨林へとやって来たのだ。 ちなみに初霜は訓練をすると言い泊地に残り、扶桑は何かを作っている為部屋に残った、あきつ丸は乗り気ではなかったし、三隈は用事があった、鈴谷は観光をすると言い付いて来なかった。 故に、最上だけが着いて来た。

2017-12-19 21:36:21
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彼女は日向の後を歩き、一緒になってクワガタを探す。そんな中、彼女はふと何かを思いつき日向を呼び止めた 「日向さん日向さん」 「ん、どうした?」 「クワガタが怖がった」 突然のダジャレに日向はクスッと笑い、切り返す 「…田舎のクワガタだって?くぅ〜わがったわがった」

2017-12-19 21:37:17
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その返しに最上も変な笑いを浮かべる、豪華な宿と食事を満喫した翌日に虫取りをしている状況に、二人のテンションは何処かおかしくなっていた。 そんなこんなで二人は雨林を歩く、すると最上が何かに気がついた 「…日向さん、なんか臭いません?」 「む、確かに臭いな。」

2017-12-19 21:38:16
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何かが腐ったような異臭に二人は顔をしかめる。 「動物の死骸でもあるんですかね、イヤだなぁ…」 面前を手で扇ぐ最上、だが日向は何かを思い立ち、ポンと手を打った 「いや、こいつはラッキーかもしれないぞ」 「え?」 小首を傾げる最上をよそに、彼女は異臭の方へ進んで行く

2017-12-19 21:39:18
三隈グループ @Mikuma_company

やがてガサガサと草をかき分けていくうち、日向は声を上げた。 「おお!最上!来てみろ!」 「えっなんですか」 鼻がひん曲がりそうな臭いを堪え、最上は日向の元へと足を運んだ、彼女が日向の元へ着いたのは香りがマジにキツくなった頃であった。 「どうしたんですか一体」

2017-12-19 21:40:20
三隈グループ @Mikuma_company

怪訝そうな顔で近寄ると、日向は興奮した様子で写真を撮っていた。 「見ろ、ラフレシアの花が咲いてるぞ!」 「ラフレシアァ?」 「世界最大の花だ、知ってるだろ?」 「くっせぇ…知ってますけどそれが何なんです、むしろ出会いたくないですよこんなの」

2017-12-19 21:41:17
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酔っ払いが吐いた公衆便所の如き空間に辟易する最上、そんな彼女に日向は首を振る 「確かにとんでもない臭いだが、こいつは二、三日しか花を咲かせないんだ、こんなに大きいのが咲いてるところを見られるのはラッキーだよ。」 「えぇ?こんなに大きいのに数日しか保たないんですか…」

2017-12-19 21:42:16
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最上は満開のラフレシアを前に疑問符を浮かべる、1メートルほどの花はとても頑強に見えたし、ずっと咲いていられそうなほどがっしりしていた。 というか、最上にしてみればこんな便所みたいなクソ花が短命で儚く散るのはなんだか納得がいかなかった、図々しく生きてる方がイメージに合うだろう。

2017-12-19 21:43:17
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そんな異臭のする花を日向は躊躇なく触る 「良いか最上、ラフレシアは寄生植物だ。寄生植物には自分である程度栄養を作るもの、全部もらうものとがいるんだが…こいつは後者だ。」 「えっ、光合成とかしないってそれ植物失格じゃないですか」 「ああ、だからよく見てみろ」

2017-12-19 21:44:18
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日向はラフレシアの花弁を慎重に持ち上げて最上に見せる 「自分で栄養を作らないからこの通り、茎も根も葉もないんだ、根無し草ならぬ根無し花だな。」 「型破りですね…花弁も硬いし」 最上も硬い花弁に触れ頷く、ラフレシアの不思議な生態に、彼女は臭いも忘れて興味を示していた。

2017-12-19 21:45:17
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「ちなみにこの花、花言葉は"夢現"だ。」 「うわ、それ決めた人この花見た事ないでしょ絶対」 何もかも不似合いな花に最上は腹をたてる、それを聞いて日向は笑いながら言った 「まあ気持ちは分かるよ、だがこの異臭、花粉を運ぶハエたちにとっては天国のような香りなんだ。」

2017-12-19 21:46:17
三隈グループ @Mikuma_company

日向の言う通りラフレシアにはハエがたかっていた、故に彼女はこう付け加えた。 「つまり、これの花言葉決めた奴は…ロマンチストのハエだな。」 「なるほど」 「さ、クワガタ探すぞ」 二人はその場を後にしクワガタ探しに戻った。 〜〜

2017-12-19 21:47:17
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〜〜 クワガタ探しに奔走する二人 「クワガタもラフレシアに集ってくれれば良いのになぁ」 腐葉土が支配する足元に注意しつつ最上は日向の後を歩く、二人とも随分歩いたものの、長い事艦娘をやっているだけありそこまで疲れてはいない、しかし精神的疲労は確実に蓄積していた。

2017-12-19 21:48:23
三隈グループ @Mikuma_company

熱帯雨林は発見もあったがそれでも続くのは森の景色のみ、いい加減目的を果たしたいところである。 日向が足を止めたのは、二人がそう思い始めた頃であった 「どうしたんですか」 「シッ、静かに…」 彼女は最上を制止し、虫網を構えながら木にそっと近付く。

2017-12-19 21:49:17
三隈グループ @Mikuma_company

そして網を振った! 「よし入った!」 日向はモゾモゾ揺れる網を掴み面前に持ってくる、そして 「っしゃぁぁぁぁ!!」 高らかにガッツポーズ、夏休みの少年のようなテンションで持ってきた虫カゴにそれを入れた。 「見ろ!やっぱりいたじゃないか!」

2017-12-19 21:50:17
三隈グループ @Mikuma_company

彼女は興奮した様子で虫カゴの中を指差す、最上もそれを見て驚愕する 「うおおおおすごい大きいじゃないですか!」 「だろ!?だろ!?」 手のひらに乗せても迫力のありそうなビッグサイズのクワガタに二人ははしゃぐ、一応言っておくとこの二人、どちらも二十歳を過ぎた女子である。

2017-12-19 21:51:16
三隈グループ @Mikuma_company

だがひとしきりはしゃいだ後、日向は怪しむように眉をひそめる 「しかし、12月にこんなちゃんとしたクワガタの成虫がいるなんて不思議だ」 「飼われてるのが逃げ出したとか?」 「その可能性が高いな…」 疑問とクワガタの虫かごを抱えながら、二人はまた歩き出す。

2017-12-19 21:52:16