日向倶楽部世界旅行編第27話「クワガタマン」

三隈グループ @Mikuma_company

しながら剣を構える！ 「だが所詮は人の子！木から落ちるのは必然だ！」 だが日向は落ちない！落ちるのではなく！ 「行くぞッ！」 跳んだ！駆け上がった巨木を蹴り、背面跳び！背と地が切なく向かい合い、彼女の身体が宙を舞う！これによりクワガタマンの狙い、僅かにずれる！

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そこへ！日向の膝がバク宙と共に迫る！ 「喰らえっ！ムーンサルトニープレスッ！」 回転力、脚力、位置エネルギー、様々なパワーを乗せた膝の一撃がクワガタマンの頭に叩きつけられる！ 致命打ではない、だがクワガタマンの体勢を崩すには、十分過ぎる勢いがあるッ！！

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「くっ、しかしこの程度でクワガタの装甲は破れない！」 クワガタマンは地に膝をつくが、ほぼノーダメージ、その硬いアーマーは人間の徒手空拳を容易く弾く！ しかし日向の本命は、別！ 「なら殺虫剤だな！」 「なんだと！？」 「これの事だッ！」

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そう言って彼女は手に持っていたものを… 大きなラフレシアの花を、クワガタマンの顔面に叩きつけた！ 「もごっ、ごもっ…」 人間は口や鼻を抑えられると本能的に呼吸をしてしまう、クワガタマンはラフレシアの強烈な匂いを前に、大きく息を吸ってしまった！

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「おっ、おろっ、おえええっ」 故にクワガタマン、悶絶！ ほんの一瞬ラフレシアの花を叩きつけられただけだが、剣を手放し口元に手をやらねばならぬ程には、悶絶！ 日向はその隙に剣を奪い、クワガタマンの大顎にそれを振り下ろす、しかし硬い素材なのか大顎にはヒビ一つ入らない。

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「こいつ硬いな…ハリボテじゃないのか。」 手をぶらぶらさせてぼやく日向、そんな彼女をクワガタマンは鬼のような形相で睨む 「く、くしょっ…おほえてひろ！」 クワガタマンは吐瀉物を撒き散らしながらその場を逃げ去った、汚いので日向も追う気にはならなかった。

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「ふぅ、なかなか手強い相手だった…」 クワガタマンの残した剣にはクワガタをあしらった紋章が描かれている、見た所丈夫そうで悪くない剣だった。 「刀ではないが…まあ繋ぎにはちょうど良いか、もらっておこう。」 日向はクワガタマンの剣を得物として手に入れた！

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そんなこんなで最上も彼女の元へ戻ってきた 「最上、怪我はないか？」 「大丈夫ですよ、日向さんは？」 「ああ、手に切り傷を貰ったが応急処置は済ませた、平気だ。」 互いに無事を確認して一息つく、虫取りのつもりが随分と大変な目に遭ってしまった。

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「帰ります？」 最上が問う、体力的には余裕があったが妙なものに出会ったせいで疲れてしまっていた。だが日向は首を横に振った。 「いや、クワガタマンとやら…ここにクワガタを結構放したらしいな。」 見れば近くの木々に大小様々なクワガタがたむろしていた。

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「…なるほど。」 最上は察したように頷き虫網を構える、日向も同じようにし、笑った 「そういうわけだ、環境の為にも虫取りとしゃれこもう、私より獲ったら酒でも奢るぞ。」 「良いですね〜」 そんな事を話しつつ、二人は片っ端からクワガタを捕まえ始めた。 〜〜

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〜〜 その後二人は夕方までクワガタを獲り続けた、捕獲したクワガタはブルネイ泊地が預かる事となった為、今回の事件は一件落着となった。 「しかし大変だったが、虫取りが出来て良かったな。」 「そうですね、珍しいクワガタも沢山見られたし、貴重な体験でしたね。」

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二人は夕焼けを前に話す 「珍しさ、綺麗さ、そういった人間のエゴで優劣や害の有無を決めつけてしまうと、今回のような事が起きてしまうんだ。」 放されていたクワガタの中には貴重な種なども居た、しかしそれらは皆本来ここには居ない、所謂外来種であった。

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最上は頷く 「貴重な種でも外来種は外来種、むやみやたらに放したり、繁殖させようとするのは決してやってはいけない事ですね。」 「ああ、我々はより深く知り、ありのままの自然と向き合わなければならないな。」 今回の教訓を胸に刻み、二人は一層自然への理解を深めたのだった。

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第27話「クワガタマン」 おしまい。

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【ボルネオ島の熱帯雨林】 多種多様な生物が暮らす熱帯雨林、こう書くと栄養豊富な楽園のように見えるが、地面そのものは粘土質な上、降りしきる雨が腐葉土を洗い流してしまう為、植物にとってはかなり過酷な環境。 半世紀ほど前からは開発が進んでおり、森林は減少傾向にある。

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【日向の徒手空拳】 日向は刀や盾、瑞雲や艤装などをフルに使いこなす故、艦娘としての強さが非常に際立つ。 だが身体能力そのものも高く、彼女自身の機転の良さもあって生身でも十二分に強い、生半可な者では軽やかな動きとダイナミックな技で圧倒されてしまうだろう。

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【クワガタマンの剣】 クワガタマンが使っていた剣…を日向が奪ったもの、丈夫で物は良い為、ザイアン・ネオとの戦いで破損してしまった刀の代わりに使う事となった。 刀とは使い勝手が異なるものの、日向の戦闘スタイル自体が独自のもの故に大した問題ではない。

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【クワガタマン】 ブルネイの熱帯雨林で日向達の前に現れたクワガタマン、性別は不明。 クワガタムシが世界で一番偉いと考えており、世界をクワガタムシで征服しようと企んでクワガタムシを熱帯雨林に放っていた。 大顎で挟んだり、剣を振るったり、クワガタ型艦載機を飛ばしたりと中々器用。 pic.twitter.com/L7pbvgc27R

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