蔵臼 金助選 #1日1本オススメ映画 “ドラマ、コメディ、その他篇”

銃声が控えめな映画、あまりオバケや怪獣が出て来ない映画、恋愛要素控えめなドラマ、スポーツ物、ドキュメンタリー、音楽もの、ミュージカルを抽出しました。
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

『キャロル』 「人は惹かれ合うか合わないかなんだ」…1950年代を背景に、二人の女が惹かれ合い、自分の気持ちに正直に、生き方に忠実に、正しい居場所を模索して、求め合う。節度と気品のある『テルマ&ルイーズ』。 #1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/vSSE25GBbI

2016-02-13 22:33:51
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

1950年代と言えば、第二次大戦の戦後処理も一区切りがついた頃だ。 丸っこいデザインの車、家具。パステルカラーの衣装に街並み。バービー人形のような女性たちのファッションに、甘ったるくノスタルジーを感じさせる流行音楽…。

2016-02-14 00:46:09
蔵臼 金助 @klaus_kinske

だが、これは原作がパトリシア・ハイスミスだぞ。 『プードルの身代金』の結末を思い出せ。『ふくろうの叫び』の主人公はどんなになったんだったかな?

2016-02-14 00:51:09
蔵臼 金助 @klaus_kinske

確かトビー・フーパーの『スポンティニアス・コンバッション』も甘ったるい、人工甘味料で味付けをしたかのような1950年代から始まり、あの悪夢のようなオープニングに至るのではなかったか。

2016-02-14 00:53:24
蔵臼 金助 @klaus_kinske

『キャロル』はパトリシア・ハイスミスが『見知らぬ乗客』を書き上げた後、自身がデパートのおもちゃ売り場で働いていた時に一目惚れした年上の女性に関するエピソードを元に書かれたのだと言う。

2016-02-14 00:57:12
蔵臼 金助 @klaus_kinske

若い頃のパトリシア・ハイスミスだ。 『キャロル』でデパートの店員を演じたルーニー・マーラの代わりに出てもおかしくない雰囲気を持っている。 pic.twitter.com/VgPk0gBx9E

2016-02-14 00:59:15
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

年上の女性に惹かれた彼女は次第に彼女に興味を持ち、一緒にランチをするまでになり、彼女の置かれた状況を知って、そして、彼女の一緒に旅行へ行かないかとの申し出(逃避行と見紛うばかりの距離と時間をかけた移動だ)を受けてしまうのである。

2016-02-14 01:03:25
蔵臼 金助 @klaus_kinske

旅行の準備の際に、彼女はバッグに赤い色の服をしのばせる。 赤は決意の色だ。男女の別れ話の時に、女性は赤い色の服を無意識に選ぶことが多いらしい。

2016-02-14 01:06:03
蔵臼 金助 @klaus_kinske

そして、1950年代によく作られた男女の密会の話、逃避行の話が、展開されていく。この映画の場合は女と女だが。

2016-02-14 01:07:53
蔵臼 金助 @klaus_kinske

物語の終盤近くに、年上の女性は再び、年下の女性に向かって聞く。 「うっじゅうぅ?」 その時、娘(もはやこの時は、レストランのメニューも決められない小娘ではない)は考える。考えて考えて決断を下す。

2016-02-14 01:11:49
蔵臼 金助 @klaus_kinske

その想いが込められた視線が切ない。 どうしようもなく切なくて切なくて、切ない。 受け止める側の視線も同様だ。 彼女の心情を思うと、切なくて切なくて切ない。

2016-02-14 01:14:31
蔵臼 金助 @klaus_kinske

その激しい感情を抑制の効いた演出で、情感豊かに描いた映画なのである。 『キャロル』は。

2016-02-14 01:16:12
蔵臼 金助 @klaus_kinske

それにしても、『キャロル』の画面のトーン、構図、色調は完璧にエドワード・ホッパー。敢えてSUPER16を使って撮ったのも、輪郭をぼやかしてエッジを殺し、ホッパーの絵画に近付けたかったのか? ケイト・ブランシェットの虚ろな表情がまた… pic.twitter.com/aajQmNDtE5

2016-02-14 11:34:31
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ホッパーの絵画は映画人に愛されているよね。 リドリー・スコットは撮影現場にホッパーの『ナイトホークス』を持ちこんでいたと言うし。 pic.twitter.com/gvNq270HVb

2016-02-14 11:40:45
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

そしてね、カーター・バウウェルの音楽がいいんですよ。 主張し過ぎず、でも木管とピアノが心にしみて。 時折挟まれるスタンダード・ジャズの選曲も素晴らしい。 Jo Stafford - No Other Love youtube.com/watch?v=8UjhDU…

2016-02-14 11:50:57
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

『キャロル』におけるスタンダード・ジャズの使われ方にはたぶんそれぞれ意味があるのだと思うが、とりわけビリー・ホリデイの「イージー・リビング」、ジョー・スタッフォードの「ノー・アザー・ラブ」(原曲はショパンの「別れの曲」)が流れるシーンが気になった。

2016-02-14 12:01:09
蔵臼 金助 @klaus_kinske

河出文庫から出ている原作の表紙から既にホッパーを使っているというね。 ホッパーの絵画の虚無感は人の琴線に訴えるのだ。 そして、1950年代のアメリカの時代背景と非常にマッチする。 それは、「Vanity」だ。 pic.twitter.com/UYghlvSmLf

2016-02-14 12:10:59
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

エドワード・ホッパーの「ナイトホークス」は「スターバックス」のマグカップにも使われていたし、あちこちでパロディにもされている。 pic.twitter.com/F5eVSkrnRA

2016-02-14 12:27:01
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

検索するといくらでも出てくるw pic.twitter.com/SDP5YpHxj5

2016-02-14 12:28:27
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ちなみに夕暮れから夜にかけて、街並みに明かりが灯り、寂寥感を感じさせる現象のことを、私の妻は“ホッパー効果”と呼んでいる。 pic.twitter.com/O8bq84vpc3

2016-02-14 12:46:48
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

人が人を想う時の様子、眼差し、行動が、観る者の心を震わせるんだよね。そこには女が女を想うからとか、時代とか年齢差とか職業とか階級などは関係ないのだ。 『キャロル』はそう思わせてくれる映画です。

2016-02-14 12:53:48
蔵臼 金助 @klaus_kinske

『キャロル』のオリジナル曲は、ジャン=フィリップ・グードの作品を思い出しました。サントラが気になった人は彼の作品も好きになると思います。 Jean Philippe Goude- Ainsi de nous- Spero lucem youtube.com/watch?v=Jal_kD…

2016-02-14 13:02:19
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

『趣味の問題』 金持ちの美食家が天才的な舌を持つ若者を見い出し、側に置くようになる…。『キャロル』を観ながら思い出したが、こちらは『召使』にも似た、スリリングな心理葛藤劇。音楽が ジャン=フィリップ・グード。 #1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/ZHBhP7BQTK

2016-02-14 16:54:32
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

『死刑台のメロディ』 1920年代に冤罪で死刑となった「サッコ=ヴァンゼッティ事件」を映画化したイタリア映画。淀川長治氏はTVの解説で「この作品はアメリカ人に映画化して欲しかった」と言ったが、その通りだ。 #1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/HzlFwv06Vx

2016-02-17 00:38:24
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

『まぼろしの市街戦』 「愛すべき映画とは?」と問われたら、「『まぼろしの市街戦』!」と即答するね。辛辣なテーマを中和させる、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドの愛らしさと、ジョルジュ・ドルリューの煌めくサントラ♪ #1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/u4mbbtUcPm

2016-02-18 00:08:33
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