- Gocome1968
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16 怪生物が突き刺さった石畳は新しい物に取り替えられており森の木も戦闘の際に傷ついた木は、伐採されたのか切り株が鎮座するのみとなっていた。 少女は自分でも先日の戦いは無理をしすぎたと反省していた。服がボロボロで汚れていた事情を聞いたオルさばにこっぴどく叱られたのは記憶に新しい。
2018-01-29 01:43:4617 「次からはもっと上手く戦えるようにしないと…。怒られるのはまだいいけど、悲しんでほしくないし…。部屋で訓練…も限界あるよね。はんちょ〜に頼んだらシミュレーターみたいなの作ってくれるかな…。」
2018-01-29 01:44:3318 普段は性欲魔人で元気の有り余っているかのような親友の、あの泣きそうな顔を思い出す。あんな顔はいけない。折角美人なのだから笑っていてほしい。悲しませるのは… 「…いけない。思考を切り替えよう。ポジティブポジティブ。」 さて、と改めて街を一回りしようと足を踏み出したところだった。
2018-01-29 01:45:0619 「きゃぁー!」 背後の森の中で少女の悲鳴が上がると同時に爆発が起きる。思考するより先に少女は踵を返した。向かうは森の中。そこまで深い位置ではない。 ごーかむが森の奥へ進む間、何度も爆発が起こる。それに合わせてごーかむの森を走る速度も上がる。助ける。必ず。
2018-01-29 01:45:5020 「こ、来ないで…」 森の中でも少し開けた空間。その中心に座り込むのは鮮やかな空色の長髪に、栗色の瞳。特徴的なのは髪と同じ色をした狐の耳と九つある狐の尻尾。身につけている白い和服は森の中を走り回ったからか所々黒く汚れている。
2018-01-29 01:47:1021 その少女の正面。先日掃討したものよりも1周りサイズの大きい、3体の人型の黒い怪生物が少女との距離をじりじりと縮めていた。どうやらごーかむの事には両者気付いていないようだ。
2018-01-29 01:48:4722 怪生物が1歩進むと座り込んでいた空色の少女が怯えたように顔を背けながら手に持った札を投擲した。札は風など感じさせないようにまっすぐ怪生物に向かって真っ直ぐ進み、それに触れる寸前で突如として爆発した。先程から続く爆発は空色の少女が起こした物だったのだ。
2018-01-29 01:49:1323 爆煙の中から怪生物が飛び出す。先程の鈍間な動きとは打って変わり、先日の小サイズの怪生物の槍を思わせる突進にも匹敵する速度だ。 空色の少女と黒い壁が激突する寸前、白い影が間に割り込み、突進する黒の腕を掴み勢いをそのままに地面に振り落とす。一本背負いだ。
2018-01-29 01:50:14(補足:この怪生物はナニモノかによって強化された、いわばバイオ怪生物ゆえ、殆ど狙いをつけていないむーんちゃんの爆発札は殆ど効果が無い。数は最初から3体だ)
2018-01-29 01:52:4624 そのまま顔を思わせる突起に向かって拳を落とす。ズガンと重い物が落ちるような音と共に黒はその生命を散らした。 「逃げてください。」 「あっぇっ…?」 「速く!」 「っ!」 ごーかむの声に弾かれるように空色の少女は怪生物とは反対方面に走って行く。
2018-01-29 01:53:2625 その後を追おうと黒の影が地面の亡がらに向かっているごーかむの脇を通り抜けるべく疾駆する。しかし、それは失敗に終わった。起き上がり、振り向きざまの勢いを乗せた肘打ちが影の顔面を捉え、その形を粉砕する。 「大丈夫、大丈夫。ちょっと痛いけど昨日のに比べれば…。っ!」
2018-01-29 01:54:1826 ごーかむの肘打ちを受け、頭の形を無くした怪生物の影から最後の1体の拳が突き出る。 ごーかむはそれを自身の身体の外側へ往なすように軌道をずらし攻撃を加えようとするが、目の前の死骸が邪魔をする。やむなく距離をとろうと死骸の、腕が飛び出した反対側へ向かうよう地面を蹴った。
2018-01-29 01:55:3227 「“そっちに黒いのがいます!”」 突如脳内に直接何者かの声が響いた。先程飛び出して来た腕を見ると、それは肩から先だけが無理矢理ちぎれたかのような残骸だった。 「ふっ!」 ごーかむはほぼ宙に浮いた体勢のまま無理矢理身体をひねり回し蹴りを放つ。
2018-01-29 01:56:4528 狙いは目の前の首無し死骸、その後ろにいるであろう最後の1体ごと蹴り抜く。 ズダンッと衝撃音を残しながら2体の影は吹き飛び、背後に屹立する木へと衝突。黒い液を撒きながらその動きを止めた。
2018-01-29 01:57:4929 ごーかむはつんのめりながらも着地し、周囲に黒い影がいないか即座に確認する。静けさを取り戻した森からはその気配は感じられなかった。 「…ふぅ…。それにしても、さっきの声は…。」
2018-01-29 02:00:2730 ごーかむが声の主を捜そうと周囲を見回していると頭上から魔女然とした女性が箒に乗りながらゆったりと降りて来た。リンドウだ。 「遅くなってごめんなさい。怪生物は?」 「あ、リンドウさん。大丈夫ですよ。全部片付けました。襲われていた子も無事逃げられたみたいです。」
2018-01-29 02:01:2531 「そう…。それで、ごーかむちゃんは…見た所怪我も無さそうね。服もほとんど汚れてないから無理もしてなさそうで安心したわ。」 「ありがとうございます。…そういえば、さっきの声ってリンドウさんですか?」 「声?何の事?」
2018-01-29 02:01:5232 「いえ、戦闘中に怪生物のフェイントを教えてくれた声が聞こえたんですけど…。リンドウさんじゃなければ誰が…。」 その後、怪生物のサンプル回収などを済ませた2人は街へと戻って行った。木の陰に隠れた空色の狐に見守られながら。
2018-01-29 02:02:47(これにて幕間は終了でございます。後日談ならぬ後時談がありますが内容が暗いためnoteにぶん投げます。この時間にみても暗い気分にならないせいしんりょくの強い方はどうぞご覧下さいませ。)
2018-01-29 02:05:42お待たせしました その在り方|gocome1968|note(ノート) note.mu/gocome1968/n/n…
2018-01-29 02:21:37