【悪堕ちシナリオ】『融合や異形系悪堕ちシナリオ』+生体ユニット化

人類と、正体不明の敵性生命体が戦っている世界において、同じ部隊に所属していた男性パイロットである「ケン」と、女性パイロットである「アリス」、そして彼女の愛機である「グリフォン」を巡る、悪堕ちの物語。
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悪堕研究機構 @utakuochi

そして、隙を突いた俺のブレードの一撃が、その機体の胸部に直撃し、表面の装甲を乖離させる形になった。 通常の機体であれば、その部分は正にコックピットであり、破壊の程度にも依るが、剥がされた装甲の下からコックピットに鎮座するパイロットが露出するはずであった。

2018-02-21 00:50:56
悪堕研究機構 @utakuochi

だが、そこにあったのは 「アリ……ス……?」 露出した胸部をこちらに見せ付けるかのように停止している機体の、その部分を見た俺は絶句した。 確かに、そこにはアリスがいた。 だがそれは、磔にされたように上半身を触手状のワイヤー群の外へと露出されている、裸の状態の彼女であった。

2018-02-21 00:54:03
悪堕研究機構 @utakuochi

そして、かろうじて確認できる彼女の上半身も、彼女の頭部は右目に極太の管が突き刺さって周囲と同化しており、残された左目とその下の口元の部分から読み取れる表情は、精気を失ったように虚ろであり、活動を停止したかのようにピクリとも動かずに佇んでいた。

2018-02-21 00:58:15
悪堕研究機構 @utakuochi

機体が静止したこの瞬間に、胸部ごと彼女をブレードで貫けば全てが終わったのかもしれない。 だが、俺にはできなかった。 いや、俺自身が、目の前の状況をすぐに理解することができずに、ただその情景を眺めていることしかできなかった。 動かないはずの彼女の左目が、俺を射抜いたようにも感じた。

2018-02-24 02:02:07
悪堕研究機構 @utakuochi

「うう……うおおおお……!」 機体の頭部、女性の口元をしている部分が口端を噛み締めたかと思うと、勢いよく口を開けて咆哮した。 それと同時に、目の前で静止していた機体が変化を始める。 露出していた彼女の身体は、周囲のワイヤーによって装飾され、側面からせり上がる装甲によって覆われた。

2018-02-24 02:14:15
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の身体が機体に飲み込まれるようにして消えるのと同時に、ぐらりと機体の上半身が傾き、勢いよく両手を地面へと叩き付ける形で倒れ込んだ。 その機体は女性のようなフォルムとは対称的な肥大化した異形の両手を形成していたが、確かにそれまで二足歩行を保っていたのが不思議なくらいだった。

2018-02-25 00:59:24
悪堕研究機構 @utakuochi

四つん這いになったその機体は、頭部を垂れて、異形の両手で地面を抉り出そうかというくらいに握りしめ、がっちりとその全身を固めていた。 この体勢になると、機体の背部から伸びる巨大な翼のような構造物もよく見え、そしてその機体も、自らの翼を誇示するかのように上空に向かって広げた。

2018-02-25 01:48:16
悪堕研究機構 @utakuochi

「ワタシ ハ グリフォン」 地面に向かって垂れている頭部から、そのような声が聞こえた。 「グリ……フォン……」 俺は、今まで“謎の機体”として処理し切り、すっかり忘れていた、彼女の機体の名前をふと呟いた。 それは、俺が彼女と彼女の機体に贈った名前だった。

2018-02-25 03:44:15
悪堕研究機構 @utakuochi

グリフォンとは、鷲の翼と上半身、獅子の下半身を持つ伝説上の生物であるが 「まさか……!」 そこで俺は、“グリフォン”の更なる変貌を見ることとなった。 「ア……アア……アアア……ア……」 彼女の声が聞こえてくる。 これまでとは違って、はっきりと、アリスの声がグリフォンの頭部から聞こえる。

2018-02-25 03:55:40
悪堕研究機構 @utakuochi

抑揚を失って、まるで機械のような声だったが、それでも彼女が、アリスが、苦しそうに呻いているような声に聞こえた。 その呻き声に呼応するかのようにグリフォンの全身に変化が訪れる。 メリメリと音を立てて変形、破断していく装甲。 全身からはち切れるばかりに勢いよく飛び出す無数の触手状の管。

2018-02-25 04:00:51
悪堕研究機構 @utakuochi

その無数の管が、いくつかはグリフォンの身体に巻き付き、いくつかはグリフォンの装甲と同化し、いくつかは謎の液体を先端から撒き散らしながら蠢いていた。 先程まで交戦していたグリフォンは、確かに俺の知っている、彼女のグリフォンの意匠を残しており、未だ細身の、女性らしい機体であった。

2018-02-25 04:06:01
悪堕研究機構 @utakuochi

しかし、いま俺の目の前で変貌を遂げているグリフォンの、前肢と化していく両腕は、本来のそれの何倍もの太さへと肥大化していく。 後脚となる両脚も、触手状の管によって関節の向きを変えるよう改造され、何倍もの太さへと肥大化し、先端が前肢と同じく地面を掴んで抉り取るほどの鉤爪へと変貌した。

2018-02-25 04:16:38
悪堕研究機構 @utakuochi

だが、グリフォンは、その前肢と後脚の変貌だけに留まらなかった。 全身から飛び出た触手状の管が行き場を失ったかのように蠢き、上半身へ向かった管群は、グリフォンの胸部装甲と再び同化し、女性の胸のような大きな2つの膨らみを弛ませながら、どんどんと装甲を滑らかなものへと作り変えていく。

2018-02-25 04:25:31
悪堕研究機構 @utakuochi

下半身へと向かった管群は、どんどんとグリフォンの背部から臀部に掛けて集まり、管同士を激しく結ばせ、絡み合いながらグリフォンの後ろへと伸びていき、極太の尻尾のような、靭やかで、そして重量のある構造物へと変形しきった後で、その“尻尾”を地面へと叩き付けて重低音を響かせた。

2018-02-25 04:28:41
悪堕研究機構 @utakuochi

「ウウ……ウウウオオオアアアーーー!!!」 垂れていた頭を上げて、とても彼女らしからぬ咆哮を上げた。 それが、最後のグリフォンの変貌だったようだ。 グリフォンの頭部が、女性の口元をしていた部分は、肉食獣のように巨大な口となり、牙を生やしながらどんどんと口が裂けていく。

2018-02-25 04:36:25
悪堕研究機構 @utakuochi

グリフォンの叫びと呼応するようにバイザー部分が割れ、その下から、あろうことかアリスの目が現れた。 それはまるで、仮面の下に彼女の顔が用意されていたかのような光景であり、更に驚くべきことに、頭部からは彼女の髪まで生え、垂れ下がっていたのである。

2018-02-25 04:39:22
悪堕研究機構 @utakuochi

だがその髪も、先程の管群の変形のように、咆哮に釣られて上部へ向かって移動し、山羊……いや、悪魔のように、彼女の頭部生える、立派な二本の角を形成した。 咆哮を終えて口を閉じ、四肢で地面を掴んで佇み、頭部を俺の機体に向けるグリフォン。 その目に該当する部分は、じっと俺を見つめていた。

2018-02-25 04:44:34
悪堕研究機構 @utakuochi

「アリス……なのか……?」 俺は、静かに佇むグリフォンだったモノへと機体越しに問い掛けた。 「ア……リ……ス……?」 それは、巨大な口をぎこちなく動かしながら、彼女の声で答えた。 「チガ……ウ……」 彼女の目が、キッと俺を睨みつけたように感じた。 「ワタシハ、グリフォン」

2018-02-25 04:49:50
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女は、俺に見せ付けるかのように自慢の巨大な両翼を少しだけはためかせ、臀部から伸びる極太の尻尾を、先程叩き付けた地面から持ち上げて言葉を続けた。 「チカラガ、ホシイ。ツヨクナリタイ。ダレヨリモハヤク、ジユウニ、ソラヲカケタイ。ソレガ、カナッタ」 彼女の口元が少し緩んだ気がした。

2018-02-25 04:59:39
悪堕研究機構 @utakuochi

「ダカラ、ツギハ、ワタシヲ『グリフォン』ニ、シテクレタ、『大切な人』ヲ、テニイレル」 尻尾を空中で左右させ、両翼を僅かにはためかせながら、地面を掴む四肢を一脚ずつ持ち上げて少しずつ俺の機体に向かって前進してくる、グリフォンだったモノ。 そしてそれはアリスだったもの、である。

2018-02-25 05:07:39
悪堕研究機構 @utakuochi

目の前の正体不明の機体がグリフォンだと言っても、誰一人として信じてくれないであろう。 ましてや、その機体の中にアリスが取り込まれているという事実は、誰も受け入れてくれないだろう。 この事実は俺しか信じられない。 この基地に飛来したそれと交戦した俺だからこそ、その一部始終を見ていた。

2018-02-25 12:14:37
悪堕研究機構 @utakuochi

一歩ずつ、基地の、固く舗装された地面を軽く削り取りながら、俺の機体へ向かって前進してくる彼女。 極太の四肢と先端の巨大な鉤爪。 とてつもなく長く、靭やかな尻尾。 背部から展開される、彼女の身体を覆い隠すほど巨大な、天に向かって反り上がった翼。 そして肉食獣と悪魔が融合した彼女の頭部。

2018-02-25 12:25:14
悪堕研究機構 @utakuochi

彼女の歩行は、機体の見た目からすればとても重厚な歩行であったが、その事実とは裏腹に、とても優雅で妖艶なものに映った。 「オペレーター、聞こえているか?」 「ああ、さっきからお前の戦闘はモニタリングしているし、音声は拾えているからだいたい分かる」 「この機体はグリフォンで間違いない」

2018-02-25 12:34:44
悪堕研究機構 @utakuochi

「……そうか。信じたくはないが、それが敵の“技術”ということか」 「分からん。だが、お前に見えていたかどうか分からないが、これはグリフォンであり、アリスでもある」 「どういうことだ?」 「説明している時間はないが、ただ1つ……こいつは俺が食い止める。お前たちはこの基地から脱出しろ」

2018-02-25 12:37:59
悪堕研究機構 @utakuochi

「何を言って……」 「こいつをこのまま大人しく引き付けられるのが、この基地の構造を考えてあと250秒程度。そこから交戦に入ったら、この機体の状況を鑑みるに、持って1800秒程度……それだけあれば十分だろ。こいつからも引き離せられる距離は逃走できる」 「ケン! ダメだその提案は……」

2018-02-25 12:43:49