日向倶楽部世界旅行編第37話「航空戦艦日向の恋 その1」

ブルネイ泊地を発ち航海を再開した日向達は、さいの目に従って香港に辿り着く。 そこで日向は久々に一人で行動することになるが…
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三隈グループ @Mikuma_company

そして (ワンタン麺、こいつが無いとな…!) 「海老がッ…弾ける…!」 (美味いッ!香港最高!) 粽、小籠包、雲呑麺を日向はあっさりと平らげた。 「くあーッ!ヴェェリィナァァイスッ!!!最後は、こいつで締めだッ!」 クコの実が乗ったプルルルンプルンの杏仁豆腐ッ!デザート!

2018-03-06 21:52:35
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(甘いっ!甘い甘い甘いッ!山城の奴にも食わせてやりたいな!あいつ何処で何してんだ?) 長い事音信不通になった親友の事を思い出したりしつつ、日向は昼食を終えた。 「リィィィハァァァイッ!!!チィバオゥラッ!ごちそうさまでしたッ!」 美味しい出会いに感謝し、彼女は店を後にした。

2018-03-06 21:53:32
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(いやぁ食べた食べた、軽くのつもりが結構食べてしまったな) ぽんぽんとお腹を叩き、彼女は再び香港の街を歩き出す、続いて向かったのはバス停であった。 タイミング良く来たバスに乗り込み、座席に腰掛ける。 (腹ごなしに歩いても良かったが、まあ時間がかかるからな…)

2018-03-06 21:54:38
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日向はのんびりと窓の外を見る、バスは香港の都会とその喧騒を置き去りにして進んで行く。 やがて走り続けたバスは、ビル群を抜けトンネルへと入る、窓の外が暗くなり、黒い窓に彼女の顔が映った。 (…私の顔、こんなに丸かったか?変わるもんだな。) ほっぺを指で押しながらそんな事を思う。

2018-03-06 21:55:34
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そしてトンネルを走り続け、抜けると、なんと緑が現れた。 山や海、低層住宅がポツポツと立ち並ぶ、香港のもう一つの顔が姿を現したのだ。 (過密都市だからこそ、都市と自然の境目がくっきりとしている…都市の中に緑を置くのも、都市と緑を完全に分けるのも、共存の形としては正しいのかな。)

2018-03-06 21:56:39
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日向を乗せたバスは緑を走り、終点へとたどり着いた。 「ふぅ…さて、のんびり歩くか」 目的地を何処と定めるでもなく、彼女は香港島の自然を歩き始めた。 実際に香港島の中心部近くは自然豊かなハイキングコースがあり、観光客に人気があるのだ。

2018-03-06 21:57:30
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そんなこんなで歩いていると、日向はよく慣れた香り、潮風の香りに気が付いた。 「む、海が近いのか…?こっちだな。」 歩道から少し逸れた道、生い茂る草木を掻き分けながら匂いの方向に進む、強くなる潮の香りに誘われるように、彼女は道無き道を進んで行く。 そして彼女はたどり着いた。

2018-03-06 21:58:31
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「おおこんなところに…綺麗な砂浜じゃあないか。」 そこは僅かな面積の海に接した小さな小さな砂浜、周囲は崖に囲まれており、ほとんど人目につかない場所である事が伺えた。 故に、美しい 「いいないいな、こういうところが良いんだ。」 スマートフォンで写真をパチリ、もちろん自分入り。

2018-03-06 21:59:31
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「どれどれ、折角来たんだ砂浜だけじゃつまらん」 日向はサンダルとソックスを脱ぎ、裸足になって波打ち際に寄って行く、ほんのり冷たい海水が足を濡らした。 「ひゃあぁ…?いや、思ったほど冷たくはないな、遊泳シーズンじゃないが、泳ごうと思えば泳げそうだ。」 そう言ってもう少し深く入る

2018-03-06 22:00:31
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「やっぱりだ、水着持ってくれば良かったな」 摘んだスカートの下、膝下までが水に浸かる、砂のジャリジャリは足裏に心地良いし、水面はこそばゆく膝をくすぐった。 と、彼女が海を楽しんでいたその時、ほんのりと強く、波がぐいっと引いた 「おっ?おおああっ!」 彼女の脚もぐいっと引かれた

2018-03-06 22:01:35
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ドボーン!大きな水飛沫が上がった 「ぶはぁっ!」 びしょ濡れになって海面から顔を出す日向、髪も服もみずみずしく濡れた。 「やっちゃったなぁ、着替えなんてないぞ…」 彼女は水の滴る髪をかきあげてぼやく、ぼやきつつ、吹っ切れた。 「…どうせこれじゃしばらく戻れないんだ…泳ぐか!」

2018-03-06 22:02:30
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彼女は濡れた衣服を砂浜に脱ぎ捨て、下着すらも取り去った。 「ヒャッホォォ!もう知るかーッ!」 素っ裸で透明な海へズンズン入り、揺れる水面にダイブ!一糸纏わぬ身体中を水が優しく撫で、全身に自然が駆け巡った! 「アハハハハハッ、サイコーだ!こんな感覚はプールじゃ味わえないぞ!」

2018-03-06 22:03:32
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誰もいない浜辺で悠々と泳ぐ日向、海鳥や小魚は突如現れた自由な巨人を奇異の目で見ていたが、彼女は御構い無しに泳ぎ続けた。 やがて太陽が真上から少し動いた頃、彼女は一旦浜辺へと戻った。 「フゥーッ、少しは乾いたかな…」 干しておいた衣類を手に取る、どれもまだまだ生乾きだった。

2018-03-06 22:04:41
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だが彼女は露出狂ではない、全裸で陸はまずい、日向は乾きかけの下着を水着代わりと身に着け、砂浜に腰掛けた。 「ふぅ、しかし良いところを見つけたな…雰囲気も良いし、最上達も連れて来てやりたいものだ。」 白くサラサラとした砂を手に取りながら呟き、目を閉じてごろんと横になる。

2018-03-06 22:05:35
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さわさわと吹く風やさざーんと響く波に囲まれ、時折遠くから聞こえてくる車の音に耳を傾けながら、輝く太陽を浴びてゆったりする。 もっと良い場所はあるかもしれない、だが誰にも邪魔されない、それだけでここには価値があった。 (日焼け止め持ってくれば良かったな…まあ良いか、顔は塗ってあるし)

2018-03-06 22:06:37
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シミにはならんだろうと適当な事を考えつつだらだらする、すると、していると、ガサガサと何かの近寄る音がした、それは二足歩行で、人間らしいものだった。 (ん…人が来たのか、ここって私有地だったりするのか?) 狸寝入りしつつ薄眼を開ける、若い男のものらしき健康的な脚が見えた。

2018-03-06 22:07:32
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(男…何者だ?) 警戒しつついると、その男が声をかけて来た 「あの、大丈夫ですか?」 彼の言葉で日向は自身が下着姿で寝転んでいる事を思い出す、水死体と間違えられたのかと思い、彼女は目を開けて答えた。 「…なんだ、見ての通りリラックスしているぞ。」 日向は眉をひそめて男を睨む

2018-03-06 22:08:33
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だが男の顔を見た瞬間、その眉から緊張感が抜けた (…む、この男…) 理由は簡単であった (なかなか、ハンサムだ…) 男の顔が良かったのである。 ついでに声と出で立ちも、なんだかときめくように感じた。 「…キミも泳ぎに来たのか?」 日向の声はいつも通り、しかし心はドキドキだ。

2018-03-06 22:09:34
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男はハンサムなマスクに甘い笑顔で答える 「ええまあ…穴場ですよね、ここ。」 そう言いつつ男は着ていたスポーツウェアを脱ぎ、あっという間に水着一枚になった、その様子を日向は、まるで珍しいものでも見るようにまじまじと見ていた。 (なかなか良い体つきをしてるな…背中がその、良い。)

2018-03-06 22:10:31
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男の身体は細身だったが、貧相ではない、彼女の目には彼の無駄なく筋肉のついたその背中が、とても魅力的に映った。 「さーて、泳ぐか!」 そんな日向の視線から男は外れ、浜辺を走って海に飛び込む (綺麗なフォームだな…) ぼんやりそれを眺める日向、水を弾く男の肉体を気に入っていた。

2018-03-06 22:11:39
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やがて一通り泳ぎ終わると、男は海から上がり、ボストンバッグからタオルを取り出して身体を拭った。 (近所の人間なのかな…それとも常連な観光客か?) さっきから彼の事しか見ていない、日向は頭のリソースの大半を、目の前にいるハンサムでスマートな男に向けていた、OTOMEだ。

2018-03-06 22:12:35
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そんな彼女の熱い視線に、男も気が付いてこちらを向く、二人の目が合った。 「どうかしました?」 「へあっ!?あっ、いや、何でもない…」 目をそらす日向、背中がじんわりと熱くなり、心臓の鼓動が強くなった。 (なんだ、私が緊張してるのか?あの男に…) 息を止めるように心を落ち着ける。

2018-03-06 22:13:31
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「観光ですか?」 そこへ男が気さくに話しかけてくるのだから、日向はますます熱くなり 「ああ!?いやっあのうん、まあそうだ…観光だよ観光。」 上ずった情けない声で答える、完全にペースを乱されていたというか、勝手に乱れていた。 そこへまた男が話しかける

2018-03-06 22:14:32
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「その格好…大丈夫ですか?」 「んひゃ!?」 日向は知恵の身を食べたアダムとイブの如く自分の身体を見る、薄ピンクのブラとパンツ、無防備すぎる下着が身体に巻きついていた。 「あっ、ああ、えっと…」 完全にペースの乱れていた彼女は、男のもっともすぎる指摘に顔を真っ赤にした。

2018-03-06 22:15:35
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「その、大丈夫だ、これは、水着を忘れてあの…大丈夫だからこれが…」 大丈夫の連呼とは裏腹に日向の体勢は縮こまる、その恥じらう姿は、先程まで全裸で泳いでいた者と同一人物とは到底思えないだろう。 「…良ければ僕の服、お貸ししましょうか?」 「はぁっ!?」 完全にダメな声を上げる日向

2018-03-06 22:16:42