富田流小太刀の基本技、表(前)の形の復元
youtubeにまとめた動画を投稿しました。 中条流(富田流)小太刀の復元 Reproduction of Toda ryu kodachi youtu.be/roaLkLBGTBA
2018-03-16 22:42:35中條流の表(加賀藩の系統や長谷川宗喜の戸田流では前六)の復元です。四箇と同じく、今回は富山藩の中條流伝書を主に参考にしています。
2018-03-14 22:28:00中條流の目録は以前ツイートしたように、四箇、本手(三十三手)、刀…という体系になっていますが、富田郷家、富田勢源、富田景政の三兄弟から別れたいずれの系統でも一番最初に「前(または前六)」という六本の形がありました。
2018-03-14 22:28:02この六本(数え方によっては七本)は、中條流の四箇と三十三手から抜粋したもので、岡山藩の戸田流太刀書には「前六は手足眼心をきかせ」とあります。初心者がまず学ぶものとされたようです。
2018-03-14 22:28:07この体系は四箇と違い、一本以外は片手で使う完全な小太刀の技になっています。他の念阿弥慈恩の流派では燕飛燕廻から始まる場合が多いことから、富田家かその前あたりで新たに作られた体系ではないかと思います。 pic.twitter.com/N0clDWLuRK
2018-03-14 22:28:12前置きはここまでにして、まずは表(前)の一本目、切先帰(返)です。これは加賀藩山崎家では「夢想の太刀」とされ、一対一ではこの技に極まる、としています。 pic.twitter.com/5P9a4uat08
2018-03-14 22:30:11中條流の目録では三十三のかなり後半に配置されています。三十三手の切先帰は様々な構えから始まりますが、表では高くあげて敵に切っ先を指し、左手を敵にむけて差し出します。
2018-03-14 22:30:57表の二本目は命車です。片手で小太刀を頭上にかざして構え、左手は袴を掴み、敵の太刀を左に流し、左手で敵の柄を取り、敵の太刀と腕を右に返して動きを封じます。これも三十三手の中程に現れり重要な技で山崎家では「あいの太刀(いわゆる二の太刀、止め)はこの太刀より生まれる」とされています。 pic.twitter.com/Cc4t0JdyVq
2018-03-14 22:36:04表の四本目は遊雲、以前復元した四箇の四本目です。受けると同時に左手で敵の柄を取り、敵を崩します。 pic.twitter.com/HgNl2hEdYp
2018-03-14 23:06:58表の三本目は浦波です。ここで中取り(刃の部分を左手ど挟み構える)の技が出てきます。中取して受けのとめ、敵の太刀を掴み引き崩します。浦波は三十三手の二本目で、一本目の浮舟と対照的な技になったのをいます。 pic.twitter.com/YzKOeem7Xg
2018-03-14 23:03:51※訂正
三本目が遊雲、四本目が浦波、ツイートでは逆になっています。
表の五本目は燕廻、以前復元した四箇の二本目です。今回は切り上げが無い使い方をで復元しています。いわゆる霞の構えから受け流して袈裟に切ります。 pic.twitter.com/1JFVWdzv2j
2018-03-14 23:12:18表の六本目は飛龍臥龍、二本の形を続けて使います。ただし表では飛龍臥龍ではなく、「突」や「突太刀」、「槍留」と呼ばれていたようです。名称のとおり、突いてくる敵に対する技で、中取して頭上に構えます。 突きを払う部分が飛龍、しゃがむところからが臥龍です。 pic.twitter.com/0uVXvObfUb
2018-03-14 23:16:52富田流の表(前六)の名称は、 切先帰、命車、浦波、遊雲、燕廻、飛龍臥龍(突) です。 ところで富田流の形をそのまま採用したという平常無敵流の表は 切先返、命捨、遊雲、浦波、縁会、鑓留 となっていて、富田流の表の形というのは間違いなさそうです。(平常無敵流では小竹刀を使っていました)
2018-03-14 23:31:17ところで、富田流(ここではあえて富田流とします)の表の復元をみて、ある現存流派の小太刀を思い出した方がいるかもしれません。ご存じ無い方のために、その流派の動画をリンクします。 youtu.be/Xu4IvrF5sNI
2018-03-14 23:38:13私の推測では、直心影流の小太刀は山田一風斎が長沼国郷のあたりで富田流小太刀の表を取り入れたのではないか、と考えています。現在の形より、長沼家に伝わった伝書にある小太刀の使い方は、富田流の表とさらに細かいところまでよく似ています。
2018-03-14 23:48:03直心影流の小太刀の動画を見ていただければわかりますが、富田流の命車、燕飛、飛竜臥龍にそっくりな形があるのがわかると思います。残りの形も切先返や浦波、遊雲との共通点を見ることができます。
2018-03-14 23:43:09構えと打太刀の攻撃方法についてのご質問
前置きはここまでにして、まずは表(前)の一本目、切先帰(返)です。これは加賀藩山崎家では「夢想の太刀」とされ、一対一ではこの技に極まる、としています。 pic.twitter.com/5P9a4uat08
2018-03-14 22:30:11@empiken @zefu_kai これは八双側があえて右袈裟ではなく、すでに守りがある面を斬ってくるのは、袈裟に対してはそのまま小太刀が進んで首を斬る方が速いからそうしてくる、という解釈でしょうか?
2018-03-16 11:34:51これも面白い。構造としては単推手を縦にしているような感じで、受けないで負けることで流して勝ちを取っている。 twitter.com/empiken/status…
2018-03-16 11:41:04@doranekocompany @empiken こんにちは。 実伝ではなく伝書からの復元なので確証ありませんが、協力中の当方の解釈をば。 一つは仰る通りの展開がありうるからです。また類似の点として、左右に開いた打ち込みは中墨に構えた太刀からの応じに負けやすいので、仰る展開よりも間が遠ければ刃ないし手元にて打ち負けます。
2018-03-16 12:25:28@doranekocompany @empiken 打太刀側としては、上記の展開を嫌って敢えて敵の構えの上に打ち込むというのも常套の一つですね。 もう一つの点は、この形は基本であり象徴的な位置付けでもあるので、教育的な意味もあり、敵が太刀筋を変化させるよりもまずは真っ向に打ってくるものに勝つ、ということを学ばせたいのかと思います。
2018-03-16 12:27:49@doranekocompany @empiken 実際、この構えで進んだ時に敵が変化して左右に開いた打ちをしてくれると、結構受けやすく、また柄を取りやすくなります。 真ん中に構えているのは、そのように敵に変化させたい(変化してくれればしめたもの)とも言えますね。 もっといろんないたずらをされて位が崩されたら厳しくなりますが…
2018-03-16 12:34:16@zefu_kai @empiken 回答ありがとうございます。聞いた上で見ると、すでに上げられている動画の中にも袈裟を中墨から応じる技法がありましたね。 一連の流れ全部を関連づけて見ればわかることでした。失礼しました。
2018-03-16 12:35:06