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富田流小太刀の基本技、表(前)の形の復元

小太刀で有名な富田流小太刀の表(基本)の技六本を富山県立図書館所蔵、「中条流兵法手鏡」を主に参考にして文章より復元しました(実際に伝承されてきたものではありません) あくまで、現時点での解釈という事にご注意ください。 なお、主に参考にした「兵法手鏡」は富山県立図書館WEBサイト、古絵図貴重書ギャラリー、古文書「武道・兵学」の中にあるので全文読むことが出来ます。 http://www.lib.pref.toyama.jp/gallery/collection/top.aspx
平法 富田流小太刀 人文
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中世平法研究会 @empiken
youtubeにまとめた動画を投稿しました。 中条流(富田流)小太刀の復元 Reproduction of Toda ryu kodachi youtu.be/roaLkLBGTBA
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中世平法研究会 @empiken
中條流の表(加賀藩の系統や長谷川宗喜の戸田流では前六)の復元です。四箇と同じく、今回は富山藩の中條流伝書を主に参考にしています。
中世平法研究会 @empiken
中條流の目録は以前ツイートしたように、四箇、本手(三十三手)、刀…という体系になっていますが、富田郷家、富田勢源、富田景政の三兄弟から別れたいずれの系統でも一番最初に「前(または前六)」という六本の形がありました。
中世平法研究会 @empiken
この六本(数え方によっては七本)は、中條流の四箇と三十三手から抜粋したもので、岡山藩の戸田流太刀書には「前六は手足眼心をきかせ」とあります。初心者がまず学ぶものとされたようです。
中世平法研究会 @empiken
この体系は四箇と違い、一本以外は片手で使う完全な小太刀の技になっています。他の念阿弥慈恩の流派では燕飛燕廻から始まる場合が多いことから、富田家かその前あたりで新たに作られた体系ではないかと思います。 pic.twitter.com/N0clDWLuRK
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中世平法研究会 @empiken
前置きはここまでにして、まずは表(前)の一本目、切先帰(返)です。これは加賀藩山崎家では「夢想の太刀」とされ、一対一ではこの技に極まる、としています。 pic.twitter.com/5P9a4uat08
中世平法研究会 @empiken
中條流の目録では三十三のかなり後半に配置されています。三十三手の切先帰は様々な構えから始まりますが、表では高くあげて敵に切っ先を指し、左手を敵にむけて差し出します。
中世平法研究会 @empiken
表の二本目は命車です。片手で小太刀を頭上にかざして構え、左手は袴を掴み、敵の太刀を左に流し、左手で敵の柄を取り、敵の太刀と腕を右に返して動きを封じます。これも三十三手の中程に現れり重要な技で山崎家では「あいの太刀(いわゆる二の太刀、止め)はこの太刀より生まれる」とされています。 pic.twitter.com/Cc4t0JdyVq
中世平法研究会 @empiken
表の四本目は遊雲、以前復元した四箇の四本目です。受けると同時に左手で敵の柄を取り、敵を崩します。 pic.twitter.com/HgNl2hEdYp
中世平法研究会 @empiken
表の三本目は浦波です。ここで中取り(刃の部分を左手ど挟み構える)の技が出てきます。中取して受けのとめ、敵の太刀を掴み引き崩します。浦波は三十三手の二本目で、一本目の浮舟と対照的な技になったのをいます。 pic.twitter.com/YzKOeem7Xg

※訂正
三本目が遊雲、四本目が浦波、ツイートでは逆になっています。

中世平法研究会 @empiken
表の五本目は燕廻、以前復元した四箇の二本目です。今回は切り上げが無い使い方をで復元しています。いわゆる霞の構えから受け流して袈裟に切ります。 pic.twitter.com/1JFVWdzv2j
中世平法研究会 @empiken
表の六本目は飛龍臥龍、二本の形を続けて使います。ただし表では飛龍臥龍ではなく、「突」や「突太刀」、「槍留」と呼ばれていたようです。名称のとおり、突いてくる敵に対する技で、中取して頭上に構えます。 突きを払う部分が飛龍、しゃがむところからが臥龍です。 pic.twitter.com/0uVXvObfUb
中世平法研究会 @empiken
富田流の表(前六)の名称は、 切先帰、命車、浦波、遊雲、燕廻、飛龍臥龍(突) です。 ところで富田流の形をそのまま採用したという平常無敵流の表は 切先返、命捨、遊雲、浦波、縁会、鑓留 となっていて、富田流の表の形というのは間違いなさそうです。(平常無敵流では小竹刀を使っていました)
中世平法研究会 @empiken
ところで、富田流(ここではあえて富田流とします)の表の復元をみて、ある現存流派の小太刀を思い出した方がいるかもしれません。ご存じ無い方のために、その流派の動画をリンクします。 youtu.be/Xu4IvrF5sNI
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中世平法研究会 @empiken
私の推測では、直心影流の小太刀は山田一風斎が長沼国郷のあたりで富田流小太刀の表を取り入れたのではないか、と考えています。現在の形より、長沼家に伝わった伝書にある小太刀の使い方は、富田流の表とさらに細かいところまでよく似ています。
中世平法研究会 @empiken
直心影流の小太刀の動画を見ていただければわかりますが、富田流の命車、燕飛、飛竜臥龍にそっくりな形があるのがわかると思います。残りの形も切先返や浦波、遊雲との共通点を見ることができます。

構えと打太刀の攻撃方法についてのご質問

中世平法研究会 @empiken
前置きはここまでにして、まずは表(前)の一本目、切先帰(返)です。これは加賀藩山崎家では「夢想の太刀」とされ、一対一ではこの技に極まる、としています。 pic.twitter.com/5P9a4uat08
佐山史織 @doranekocompany
@empiken @zefu_kai これは八双側があえて右袈裟ではなく、すでに守りがある面を斬ってくるのは、袈裟に対してはそのまま小太刀が進んで首を斬る方が速いからそうしてくる、という解釈でしょうか?
佐山史織 @doranekocompany
これも面白い。構造としては単推手を縦にしているような感じで、受けないで負けることで流して勝ちを取っている。 twitter.com/empiken/status…
古武術 刀禅 是風会 @zefu_kai
@doranekocompany @empiken こんにちは。 実伝ではなく伝書からの復元なので確証ありませんが、協力中の当方の解釈をば。 一つは仰る通りの展開がありうるからです。また類似の点として、左右に開いた打ち込みは中墨に構えた太刀からの応じに負けやすいので、仰る展開よりも間が遠ければ刃ないし手元にて打ち負けます。
古武術 刀禅 是風会 @zefu_kai
@doranekocompany @empiken 打太刀側としては、上記の展開を嫌って敢えて敵の構えの上に打ち込むというのも常套の一つですね。 もう一つの点は、この形は基本であり象徴的な位置付けでもあるので、教育的な意味もあり、敵が太刀筋を変化させるよりもまずは真っ向に打ってくるものに勝つ、ということを学ばせたいのかと思います。
古武術 刀禅 是風会 @zefu_kai
@doranekocompany @empiken 実際、この構えで進んだ時に敵が変化して左右に開いた打ちをしてくれると、結構受けやすく、また柄を取りやすくなります。 真ん中に構えているのは、そのように敵に変化させたい(変化してくれればしめたもの)とも言えますね。 もっといろんないたずらをされて位が崩されたら厳しくなりますが…
佐山史織 @doranekocompany
@zefu_kai @empiken 回答ありがとうございます。聞いた上で見ると、すでに上げられている動画の中にも袈裟を中墨から応じる技法がありましたね。 一連の流れ全部を関連づけて見ればわかることでした。失礼しました。
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コメント

中世平法研究会 @empiken 2018年3月16日
TATukoma1987 中條流は香取神道流より成立が数十年から百年程度古いですよ。
Hoehoe @baisetusai 2018年3月16日
そういや前田家は織田の時代は越前が領地だったんだなあ
中世平法研究会 @empiken 2018年3月16日
TATukoma1987 現代では一般的には三大源流(念流、陰流、神道流)と言われていますね。
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
念流から中条流…一刀流諸派がでているし、陰流から新陰流諸派がでているしで、この二つがかなりの割合を占めると思う。神道流から新当流…これも結構多いと思うけど、「だいたい神道流」は無理があるんじゃないかな
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
剣術の流派は無茶苦茶あるし、あれこれ複数やってるひとが開くことがあるので、実際のところは陰流系とか一刀流系と分けるのは結構恣意的になる場合も多いけども、流派が爆発的に増殖するのは江戸後期で、その頃に流行ってたのは直心影流とか一刀流とかだしなあ。直心影流…新陰流を新当流系と見なすこともできないでもないのかなあ
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
もっとも、シントウ流も伝書によれば、上古流は義経流、中古流は念流という話で、そこから生み出されたことになっているそうなので、シントウ流も念流系といえなくも…義経流も念流からだっけ?源遮那王以来の剣術はみな念流から出ているという言葉もありましたが…
新陰流広島稽古会@剣術道楽 @kenjyutudouraku 2018年3月17日
三代源流的な話ですけど、新陰流の影目録にあるのが「その中間上古の流有り 中古念流 新当流 亦陰流有り 其の外は計るにたえず」となってるんですがら何か他にもあるんでしょうか。伝書とかほとんど読まないもので…
新陰流広島稽古会@剣術道楽 @kenjyutudouraku 2018年3月17日
そういえば、新陰流の「九箇之太刀」は新当流系と聞いたことがありますね。確かに他の方とは少し異質な気がします。
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
kenjyutudouraku 以前にせみさんに教わった話のツリーですけどhttps://twitter.com/SagamiNoriaki/status/913422836609331201 中古念流という言葉は新当流にすでにでている言葉なんだそうで、影目録のその言葉は当時普通に流通していたのか、新当流を学んだという石舟斎、あるいは上泉武蔵守からのものかも
nekosencho @Neko_Sencho 2018年3月17日
斬り合いの現場に指がたくさん落ちていたって話があるんだが、思わずつかみに行っちゃったのだと思ってたけど、こういう手でつかみに行く技もあるんなら、思わずじゃなくて普通に手を出して斬られてたんだろうなと。 もちろんうまくやればきれいに決まる技なんだろうけど、達人ばかりが斬り合うわけでもなし
みょうけんさま @myoukensama 2018年3月17日
完全素人の疑問ですが、1.長い方の刀は手元を動かすだけでいろんな場所(逆方向も腰の下ぐらいまでも)を狙えるのに、手元だけの短い方は対処できるのですか? 2.待ち構えたとおりに頭に振り下ろしてくれても、両手でグッと固定して振り下ろす長い刀は片手で持った短い刀の倍どころじゃないほどパワフルになりそうですが、押し返せるのですか?
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
二刀流の議論の時もあったけど、両手打ちを片手で受けられるのかという疑問は何処でも生じるものなんだなあ。動画を見る限り、片手で受ける時は打太刀の力が乗り切らないところで受けているように見えるし、時に両手持ちにしているようでもある。
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
kenjyutudouraku あ、ちょっと読み違えてたかな。三大源流以外のものがあったかはわからんですが、多分、色々とあったんじゃないかと思います。上泉師の時にはすでに念流から何百年もたっているわけで、その間に新しくできた流派は幾つもあって不思議ではないですが、大半は一代限りとか家伝で有名にならずに消えたとかしたんじゃないですかね…
新陰流広島稽古会@剣術道楽 @kenjyutudouraku 2018年3月17日
SagamiNoriaki いえ、三大源流という言い方がいつ頃からのものかよく知らなかったものですから。先のコメントで大丈夫です。(^_^;)
新陰流広島稽古会@剣術道楽 @kenjyutudouraku 2018年3月17日
SagamiNoriaki 中条流は両手で持って受けたりもするようですね。新陰流の小太刀では柄の長さが四寸と短いこともあって片手で使いますが、動画の使い方と同じように打ち乗られる前に入り身して打太刀の打ち込みをおさえます。でないととても受けられるものではないですね。入身の仕方によっては殆ど触れるくらいしか受けずに対処することもあります。
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
kenjyutudouraku そういえばいつ頃からある言葉なんでしょうね…幕末三大道場も明治に誰ぞが三つの道場がすごかったというのが、どうも後に時代小説なんかでそう言われるようになった…みたいですし…はっきりしませんが…
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
myoukensama わたしも玄人ではないですが…あの手元動かすだけで何処でも打てるのは近間に入ってからで、遠間から戦いが始まると想定した場合、まず相手の間合いに入り込んでからになりますから、その場合に小太刀の半身からの突きがカウンターに入ることもありえます。いずれ拍子に優る方が勝ちますから、どっちが有利にってこともないかと。
我乱堂 @SagamiNoriaki 2018年3月17日
myoukensama 動画を見る限りでは、打太刀の力が乗り切る前に受けているように見えます。実際のところ、両手持ちの打ちでも、力が乗り切る前は片手打ちとそんなに変わりませんから、受けの拍子が合えば対処できるものかと。
新陰流広島稽古会@剣術道楽 @kenjyutudouraku 2018年3月17日
myoukensama 概ね我乱堂さんのコメントであってます。つけくわえると、手元を操作するだけでどこでも打てるという事は、手元を見ていれば何処を打ってくるかわかるということで、目付は切っ先ではなく手元、さらには体全体を見ますし、手元で切っ先を操作できるということは逆にいえば切っ先が大きく動いても手元は切っ先ほどには動かないということです。なので、強く当たる前に受けるので受けることができます。
中世平法研究会 @empiken 2018年3月18日
myoukensama この動画は復元ですので、江戸時代以前どうだったかは不明ですので、その点を前提として聞いていただきたいです。一般的な物理現象として、三尺以上の大太刀の切先側を小太刀の根本近くで、自分の頭上あたりで受け止めれば、モーメントの問題で受け止めた側の小太刀にかかる力はそれほど大きくなりせん。(物差しかなにかで、握った近くで下に抑えるのと、先の方でしたに抑えるのではどちらが力が強くなるかやってみればわかります)
中世平法研究会 @empiken 2018年3月18日
myoukensama それとは別に、上で他の方々が書かれているように、高い位置で相手の力が入りにくい場所、タイミングで止めれば、さらに楽になるかと思います。
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